トールフォード家−1



第1話スタートの時点では、あの寮の存続にとって、
アリエルの存在がとにかくでかいんです。
魔術師相互の上下関係はさほど厳しくないとはいえ、
普通なら(たとえ魔法が使えても)見習いはさすがに例外でしょうしね。
まず、アリエルの実家のトールフォード家は、武力こそ劣るものの、
旧ファン王国時代からの由緒正しい貴族です。
情報運用に優れる(というか、それ以外に他の旧貴族に勝る武器がなかった)ため、
わりと早々に現オーファン王リジャールに付いてたんですよね。
まあ、なんといってもあのリウイの親ですからね。
アリエルの親も邪竜騒ぎや内乱続きでただでさえ内心ビクビクしてたでしょうから、
あの人のガセじゃない普通の噂話聞くだけで怖かったでしょうよ、いろんな意味で。
結局、即位前からリジャールに付いていたのは正解でした。
新興国オーファンも有能な人材に支えられて安定してきましたし。
ただ、たとえ情報があっても、最低限の武力がないと、
早めに避難する以上のことはできませんからね。
立場上、そうそう逃げることもできませんし。
となると、トールフォード家としては、
今のうちに武力をせめて他の貴族並みにしておきたいところなんですよね。
オーファンを敵視してる隣国ファンドリアはもちろん、ザインの動きも気になりますし。
まあ、行き着く先は政略結婚でしょう。
幸か不幸か、新興国。武力だけは凄いものの、
家格(というか、旧来からの権威付け)に劣る新興貴族なんて、腐るほどいますからね。
なんせ、元傭兵が普通に領主になってたりする国ですから。
(余談ですが、レミィの親なんて元狩人です。
 それゆえに、レミィがレイディアを特に意識してる部分もあります。)
もちろん、曲がりなりにも亡国後の混乱を生き延びたわけですから、
旧貴族同士でくっつくという選択肢もありますし。
結局、アリエルはとても重要な政略結婚の駒なわけです。

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