確かに君はここにいた








G   M:レイディアたちは、アリエルから受け取った魔晶石を使い、
      テレポートします。ちょうど、カトレアが信仰を告白した崖の上ですね。
      ここだけは、他のテレポート可能な場所と違って、
      追っ手が待ち構えている可能性がほぼゼロなんですよね。
      さて、夜明け前なので、町に入るのはちょっと迷惑な時間です。

ディース :朝焼けを背に旅立つんだな。絵になるぜ。

レイディア:ていうか、朝焼けを背に町に入りたいんだけど。

トゥエリ :結局ほとんど寝てないデスからね。

フィーエル:あう!

フアナ  :……騒ぎすぎ……。

カトレア :ははは。僕らは僕らで、楽しいおしゃべりでしたよねー。

ルコ   :ごめん。肝心なこと、何も話さなくて。

カトレア :それはお互い様ですよー。

レイディア:あの街にしばらく逗留して、今後の進路でも考える?

ディース :『でも』って何だよ。まずはそこだろ。

トゥエリ :地酒が目当てデスか?

レイディア:それもあるわね。

ルコ   :そのことなんだけど……。

G   M:ルコは、懐から何か書簡のようなものを取り出します。

ディース :貸してみ。……おお、ほのかにいい香りが。

ルコ   :……。

レイディア:馬鹿の網焼きって、お酒のつまみに良さそうじゃない?

フィーエル:あ、あうあうー。

レイディア:ごめん、あんたのことじゃないわ。あんた、もうそれほど馬鹿じゃないし。

フィーエル:あう!

トゥエリ :全否定はしないんデスね。

ルコ   :私の立場ってどうなの? セクハラされたら絞めていい?

フアナ  :……ちょん切る、くらいなら……。

ディース :おいっ!!

フアナ  :……けじめピザ……。

レイディア:仲間なんだから、あんたの好きにしなさいよ。

トゥエリ :お墨付きデスか!?

レイディア:いや、好きにちょん切られても困るんだけど!

カトレア :僕、治せますよー。

フアナ  :……万事……解決……。

ディース :何も解決してねーよ! 切る時いてーよ!

フィーエル:あ、あうー。

ルコ   :ちょん切らないってば!

ディース :そうだよな。

ルコ   :べっ、別に、あんたのためにちょん切らないんじゃないんだからね!

ディース :ツンデレかよ!! ヤンデレかよ!!

レイディア:どっちだよ。

ルコ   :いいから早く読みなさいよ!

レイディア:そりゃ、読むけど。

G   M:無の砂漠に現れた魔物が、もうすぐ世界を滅ぼすとかなんとか、
      なんとも荒唐無稽な内容が書かれていますね。書状の宛名がカーウェス、
      署名がマナ・ライというところまで、話がダイナミックすぎです。

フアナ  :……………………?

レイディア:これ、どっかから盗んできたわけ?

ルコ   :グラースの懐に入ってたわ。勝った賞品のつもりじゃないの?

レイディア:グラースが、フォルテスから盗んだの?

フアナ  :……レプリカ?

G   M:冷静に眺めてみれば、挨拶が入ってなかったりとか、変な部分はありますね。
      内容から察するに、本物があれば厳重に保管か焼却されてるでしょう。
      複製というか、要約文、といえば納得できるでしょうか。

カトレア :んー、なるほど。

レイディア:これを見たフォルテスが、戦力拡充を急いだってこと?

フアナ  :……これ、最重要機密っぽい……次席にも、秘密にするかも……。

カトレア :世界を滅ぼす魔物ですか。我が神とどっちが強いんでしょうかねー?

トゥエリ :これ、国家機密どころのレベルじゃないような気ガ……。

レイディア:フォルテスからグラースに漏れた、と。

フアナ  :……盗聴?

G   M:確かに、話が断片的なので、そうともとれますね。
      危機に対する対処方法とか、何も触れられてませんし。

フアナ  :……カウンター・センスも……万能じゃ、ない……。

レイディア:誰かが、私たちを動かそうとしてるってこと?

ルコ   :でも、これを、私たち以外が開ける可能性もあったのよ?

トゥエリ :開けない可能性もありましたネ。

フアナ  :……謎……。

レイディア:私ら、直接会って聞けるレベルよね。

G   M:最高レベルの人間がパーティーに何人もいるので、可能です。
      本来ならば、紹介状無しでも会うことができるレベルですね。
      オランの邪神騒ぎの真相が、どこまで知られてるのかは謎ですが。

フアナ  :……これ……消されても、おかしくないレベルの秘密じゃ……。

レイディア:じゃ、その話はなかったことで。

トゥエリ :世界の危機かもしれないんデスよ!

フアナ  :……あれは……不可抗力……。

レイディア:まあ、学院自体はそんなお堅い機関でもないけどね。

ディース :俺が、世界を救った英雄になっちまうのか……腕が鳴るぜ!

ルコ   :あと、アリエルから伝えるように言われたんだけど……。

レイディア:愛の告白なら間に合ってるわ。

ルコ   :違うの。……マリアって、誰?

レイディア:……え?





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