帰るの 可能?
残留思念にすぎないヴェーナーですが、本体から、
レイディアたちが望めば元の世界に帰すという使命を与えられていました。
しかし、残留思念の身で神の奇跡を行使することによって、
座標に狂いが出てしまうことになります。そして、かすかなズレでも
レイディアたちにとってはとんでもないズレになってしまうことから、
精神力を回復する必要が生じます。つまり、元の世界に戻りたければ、
できるかぎりヴェーナーの精神力を温存して(できればヴェーナーの関与無しで)
勝たなければならなかったのです。
しかし、実際は、レイディアたちは全滅してしまい、
ヴェーナーの助力を必要としてしまいました。
さて、ここまでにヴェーナーが消費した精神点は、キュアー・ウーンズの6点。
ヴェーナーはトゥエリの死体にキュアー・ウーンズを2回かけて、生命力を回復。
ヴェーナーはトゥエリにリザレクション(ころころ)トゥエリは復活します。
ここまでで13点の消費。
麻痺がとけたフアナの助言により、フィーエルが有り余る精神点を使った
ディスペル・マジック。(ころころ)12回目の詠唱で6ゾロを振り、
レイディアとディースの氷漬けが解除されます。
とりあえず、精神力を使い切って気絶したカトレアと、
復活後間もないトゥエリを除いて、全員が復活しました。
G M:カトレア以外の全員が動けないトゥエリの周りに集まり、
今後の話し合いになります。
フアナ :……ほぼ……逝きかけました……。
ヴェーナー:時間を早めました。あなたももう喋れる筈です。
フアナ :……凄い……。
トゥエリ :それはそうとして、体が動かないんデスけど……。
レイディア:馬鹿!!! あんた死んでたんだからねっ!!
トゥエリ :……そうデスか……私にも、そんな顔してくれるんデスね……。
ディース :ていうか、お前、専業の癖に弱すぎな。
レイディア:次死んだら、パーティーから外してやるんだから!!
トゥエリ :……ええと、声の調子が嘘じゃなさそうなんデスが……。
レイディア:当たり前じゃないの!! 私、本気だし!!
トゥエリ :もしそうなっても、勝手についてくだけデスよ。
フィーエル:あ、あうー。
ディース :出た、ストーカー宣言。
レイディア:……まあいいわ。あんたのそういうとこ、嫌いじゃないし。
ディース :嫌いじゃないのかよ。
レイディア:私の「好き」は1人だけのものだけどね。
フィーエル:あう! 知ってる。レイディアさん、好きものー。
レイディア:ちょっとあんた、いきなり何言ってるのよ!?
トゥエリ :それを言うなら「物好き」じゃないデスか?
フィーエル:あう。ものさし!
レイディア:定規じゃないわよ!
ディース :ま、定規っていうよりか、色々とルーズだわな、レイディアは。
フアナ :……もちろん……性的な意味で……。
レイディア:待てや!!!
ヴェーナー:ミゴリの使いの攻撃により、私の存在が弱められてしまいました。
フアナ :……何か、困る……?
レイディア:そりゃ、無事ならもっと早く助けてほしいとは思ったっすけど。
ヴェーナー:正確な座標の指定には、私の存在が必要です。
何をしてもしなくても、私はあと24時間で消えるでしょう。
レイディア:つまり、24時間以内に帰るかどうか決めろってことっすね。
フアナ :……24時間、戦えますか。
ディース :その口ぶり、座標が正確じゃなくても死にゃしねーんだろ?
ヴェーナー:はい。人間の感覚としては、石の中にテレポートすることがないのと
同じ理由と考えるとわかりやすいでしょう。場所ならまだいいですが、
わずかなズレが何日、何月、何年として表れるかはわかりません。
トゥエリ :帰ったら10年経ってたりとか、普通に嫌デスね。
レイディア:そんなんで伝説になりたくないわ。
ディース :帰ったら誰が結婚してるか、当てっこしね?
レイディア:まあ、そういう探究心を持つのはいいことだけど、実行するのはお断りよ。
フアナ :……10年くらい……別に……。
レイディア:エルフはそうかもしれないけど、私は嫌だからね。
ヴェーナー:早くミゴリを倒したければ、回復後、直ちにゲートをくぐるとよいでしょう。
これは本体が開いたゲートですので、ミゴリが干渉を防げる時間は、同じ。
つまり、ここで過ごした時間だけ、あちらへの到着が遅れます。
ディース :どゆこと?
フアナ :……あんまり……ウダウダやってる暇はないってこと……。
ヴェーナー:私がいれば、遅く送還先に着かせることもできます。
トゥエリ :つまり、遅れて着くこともできる、ということデスか?
レイディア:あんたはおとなしく寝てなさいよ。そのくらい私でもわかるから。
フアナ :……なるほど……誰かのコール・ゴッドで、先に倒させる……。
ディース :身もフタもねーな。
トゥエリ :考えようによっては、私たちでなくても世界は救えるってことデスね。
フィーエル:あうー。でも、かわいそうー。
レイディア:でも、それだと、ヴェーナー様が私ら保護するメリットなくないっすか?
ヴェーナー:それこそが、我が信徒の第一の望みでしたので。
レイディア:見ず知らずの私らのために、いい人っすね。
フアナ :……無償の愛とか……ありえない……。
ディース :でも、自分に神降臨させたら破滅しちゃうんだろ?
フィーエル:その人、ぼくらに、倒してほしかったんだよ!
トゥエリ :(そうかもしれませんが。)たまたまじゃないデスかね。
レイディア:うーん。カトレアがピニーズ殺した影響もあるかもしれないんだけど。
トゥエリ :カトレアの行動も、ピニーズが生贄にされることも、予見不可能デスよ。
フアナ :……わたしたち……1回、命賭けたし……。
ヴェーナー:この世界にとどまれば、歴史を作り変えることができます。
荒らされていない遺跡を探索することもできます。
うまく立ち回って王になることもできるでしょう。
レイディア:却下。戻ってミゴリと戦う。
トゥエリ :レイディアさん!?
レイディア:まあ、元の世界の人間と結構仲良くなっちゃったし、見捨てられないわ。
トゥエリ :戻っても、あんなのに勝てないデスよ!
ヴェーナー:ミゴリはファラリスに呪われ、全ての能力が回復しなくなっています。
生命力はほぼ無傷、精神力が死の雲1回分です。
トゥエリ :その一発で軽く全滅できるんデスが……。
ディース :何人かは残るんじゃね? 俺は行くぞ。
トゥエリ :レイディアさんが行くんなら、私も。
フィーエル:ぼくも!
フアナ :……なんて、主体性のない連中……。
トゥエリ :それも一つの主体性の形デスよ。
レイディア:でも、パワーアップは必要よね。
ディース :命賭けて修行して、一気にパワーアップだ!
トゥエリ :具体的には?
レイディア:対案出してから批判しなさいよ。
フアナ :……この世界で……マジックアイテム漁る……。
レイディア:おおっ!! でも、持ち帰れるんすか?
ヴェーナー:この洞窟にあるゲートと通じている遺跡の宝物であれば、可能です。
レイディア:でも、最初に来たとき、ゲート通れなかったことない?
トゥエリ :そうデスね。通らなかったんじゃなくて、通れなかった記憶がありますヨ。
G M:そして、なぜか2回目は通れたことも覚えてます。
ディース :気のせいじゃね? 2回目は通れたし。
フアナ :……問題は……なんで通れたか……。
フィーエル:誰かが、開けてくれた?
レイディア:どうやって壊れたゲートを修理するのよ。
フィーエル:あうー。わからないー。
ヴェーナー:この洞窟のゲートは、現在封印が解除され、通過することができます。
トゥエリ :そういう歴史もあったということデスか。
ディース :わりと都合いいのな。
ヴェーナー:世界の矛盾を防ぐため、コール・ゴッドの使用者がいる世界へ
飛ぶことは避けるべきです。降臨中といえど魂は砕けていないため、
その世界のその者が、他の神などによって同じ場所に呼び出された場合、
別の世界から来た魂が消え、降臨の土台が失われるおそれがあるからです。
ディース :つーか、ここ150年前じゃねーの?
レイディア:魔法で若い頃の自分に化けて、150年以上生きてたのよ、きっと。
フアナ :……理論上は……可能……。
トゥエリ :でも、プリーストがそんなことしますかネ?
ヴェーナー:この洞窟にあるゲートと通じている遺跡の宝物は、
あなた方の世界では、まだ誰にも取られていません。
レイディア:そりゃ、入り口にアイアンゴーレムなんかいたら、無理っすよ。
ヴェーナー:それらは、元の世界で同じアイテムと接したときに消えます。
ミゴリのアポートでも消されますが、精神力の余裕がないでしょう。
レイディア:でも、時間を消費して取りに行く価値があるほどのアイテムなんすか?
フアナ :……入口のガーディアンが……アイアンゴーレムだから……。
ヴェーナー:私の精神力が回復するまで、13時間かかります。
そして、復活したばかりで、この者が動けません。
フアナ :……でも、時間早めたって……。
レイディア:それが動けるまで、どのくらいかかりますか?
トゥエリ :そ、『それ』って……。
ヴェーナー:本体ならともかく、残留思念たる私には、たいした力はありません。
時間を進めたところで、この者が動けるようになるまでに
24時間は必要でしょう。
レイディア:これから6時間休んで、12時間で探検して戻って、
6時間休憩って計画でいきたいんすけど、行けるっすか?
ヴェーナー:時間的には充分可能です。
レイディア:じゃ、行くわよ。
トゥエリ :……レイディアさんを、お願いします。
ディース :へっ。誰に言ってんだ?
フィーエル:あうっ! 任せて!
フアナ :……アイアイサー……。
ヴェーナー:あなた方が辛い思いをすることはありません。
この言葉は……いえ……残留思念たる私には、過ぎたことでした。
……私を降臨させた信徒のためにも、無事に戻ってきてください。
レイディア:任しといてくださいっす。
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