コーヒーブレイク・第21話





伏線はありました。ごく稀に、マリアが文脈に合わない発言をしているアレです。
実は、第2話の時点で、文脈に合わない発言があったりします。
ロベールが探知したマリアの技能も、10レベルの技能が複数あるかのような文脈でしたし。

しかし、神の降臨には、精神力がどうやっても足りません。
伏線も何も全てが無に帰した。正直、そう思いました。
でも、よく考えてみると、レイディアの残り精神力は4、マリアの残り精神力は1。
マリアがフアナから指輪を取り返したので
(あれはディースにキスを迫ったレイディアと似たような考えから出たものでしたが)、
お互いの精神力が使えるんですよね。ちょうど、レイディアはまだ死んでなかったですし。

もちろん、狙ってやったわけではありません。
遅いレイディアの精神力の減りが遅いのはいつものことですし。
マリアの最後の台詞。あれは彼女が勝手に動きました。全くの予定外。
その影響で、異世界のマリアに関する出来事がいくつかから回りしちゃってます。
例えば、みごりのつかいのマリアの首。
ミゴリは挑発のためにあれを送り込んだんですが、
相手は挑発されたことにも気付かなかったという。

みごりのつかいとの戦いで、レイディアにだけ思い出すチャンスを与えたのは、
例外的処置です。彼女と特に仲が良かったですので、
レイディアが忘れてるのにフアナが思い出したりしたら、
「今までの絆は何だったんだ」となりますからね。
かといって出目をごまかすわけにはいけませんから、
あそこは全員分のチャンスをレイディアに与えるという風に処理しました。
しかし、見事に思い出さないもんですね。
この後、なんとか思い出してくれればいいんですけどね。
神の力を破れるのは基本的に神だけですので、ミゴリ戦が最後のチャンスになるでしょう。
この後も、仮面のフラビリスと情の薄い女(リプレイ第5部参照)
みたいなことになりはしないかと、気が気ではなかったり。

ミゴリとヴェーナーとの戦いですが、どちらが勝つかは決まっていませんでした。
時間制限無しで能力制限があるミゴリと、時間制限つきで能力制限のないヴェーナー。
一応、能力的にはほぼ互角ですが、相手の出方を読みつつ、
一撃必殺の放ちあいになるのは必定です。
ミゴリが勝ってもミゴリは高確率で激しく消耗し、
ヴェーナーが勝っても10分で確実に消えます。
仮にヴェーナーが勝ったなら、ヴェーナーが一時的に記憶を戻して、
マリアは最後にレイディアと話せたんですが。

異世界について。平行世界の設定は、一応は頭にありました。
昔のルールブックにはある神が存在しなかったりとか、
人によってファーランドの設定が異なってたり、から思いついてたんです。
でも、使う予定は全くありませんでした。
まさか、それが全滅から脱出するための方策として、ここで使われることになろうとは……。

まず、前提として、肉体を得た神はほぼ無敵です。結界なんぞ通用しません。
そして、神は世界の全てを知ることができます。
したがって、同じ世界にいる限り、神から誰かをかくまうことはできません。
できるとすれば、神の力に頼るしかありませんが、
光の神のコール・ゴッドは10分しか持ちません。
そして、『10分しか持たない分、暗黒神より強力だ。』
とかいう記述はルールブックにないですし。

さて、ファンタジー小説やアニメなどで主人公が『魔王』に敗北した場合、
滅び行く世界の描写の後、世界が滅びるまで逃げ続けるか(あるいは諦めるか)、
それとも戦うかという選択を迫られる場面がしばしば登場します。
その時点で、魔王は、一度は自分に牙を剥いた主人公を放っておいているわけです
(物語の最後にそいつに倒される運命にあるにもかかわらず。)。
その理由付けは作品によって様々ですが、
実力が違いすぎて相手にする必然性を感じないというのが大体の共通点といえるでしょう。
ただ、今回の『魔王』は、恨みと復讐の神。
一度手を出した以上、弱いからって、放っておいてくれる筈はないんですよねぇ。
そこで苦し紛れに思いついたのが、「これって、考えてた『平行世界』の設定と
うまく繋がるんじゃないか?」っていうアイデアです。
「信者がいない世界では、神は無能力」というアレです。
例えば、ソード・ワールドではないですが、ルナル・サーガだとこれが
(高位の信徒にしか知られていないものの)公式設定のようですし。
世界観は異なりますが、ソード・ワールド2.0でも、
信者の少ない地域では神聖魔法の行使に悪影響が出たりと、公式設定であるようです。
とすると、少なくとも論理的には、逃げられるスペースができたじゃないですか!
自分でも驚いています。「これ、ここで言わなかったら、
行き当たりばったりだってばれないんじゃないかな!?」って。
カトレアも一緒に送ったら信者が1人になるので、
ミゴリが追いかけてこられたことの理由付けにもなりますし。
もう1回ミゴリと戦うにせよ、レイディアとフアナがレベル低いんで、
ちょうど誰か強敵がほしかったところですし。

物語的には、みごりのつかいについては、半分はヴェーナーのミスです。
カトレアがいると、信者数がゼロじゃなくなるので、
肉体を得たミゴリはその世界への特殊能力を行使できるんですよね。
もっとも、よその世界であそこまで派手にやるのは、ヴェーナーには無理な芸当です。
ミゴリは恨みと復讐の神だけあって、恨みがからむと凄いんですね。
ヴェーナー本体だって、あそこでミゴリに負ける気はありませんでしたし。

戦闘について。神の使いだけあってかなり強いですが、知能が低いのがネック。
弱点を見抜いているといないとにかかわらず、カトレアが死んだ時点で消えるので、
全滅はまずありません(自分の弱点を守る知能すらありません)。
ただ、セージチェックに失敗したのは大きかったですね。
強いけど弱点さえわかれば弱いタイプの敵は、慎重に出す必要があります。
例によって、バランス取ってませんし。
合体怪獣は男の浪漫なんですが、強く作りすぎてしまいました。

たとえこの戦いで全滅しても、回復させるためのヴェーナーの残留思念の
精神力浪費により、元の世界に帰るのが遅れるだけのはずでした。
まあ、遅れれば遅れるほど世界の被害が大きくなるんですけどね。
ただ、アイテム探索の時間も必要ですし、このくらいは想定内といえるでしょう。
残留思念の力無しで勝ったら、元の世界からいなくなった直後の時間に戻れてたんですけどね。

一応、みごりのつかいのデータを載せておきます。



みごりのつかい
モンスター・レベル:15
知名度:16/消す方法を知るには20
敏捷度:12 移動速度:12/1(次元の狭間) 出現数:単独 出現頻度:ごくまれ
知能:人間なみ 反応:使命による
攻撃点:さまざま×各自1回
打撃点:さまざま×各自1回
回避点:21 防御点:19
生命点:50 生命力抵抗値:29
精神点:18  精神力抵抗値:24
特殊能力:9回攻撃
     首の再生
     毒、病気に冒されない
     生命点再生(1ラウンドに3点)
棲息地=ミゴリが送り込んだ世界
言語=なし
知覚=魔法
ミゴリが自らの存在の力の一部と引き換えに送り込んだ刺客です。
ミゴリ本体及びミゴリが降臨した世界に対しては、一切の影響を及ぼすことはできません。
首の人選は、ミゴリが同じ世界にいた時点で思考を読み、
各人に対して恨みを持っていそうな人物等をリストアップしたものです
(マリアに関しては嫌がらせです)。
世界の法則を歪めて本人の特殊能力等を再現していますが、本人とは全く関係ありません。
したがって、本物にトドメを刺した人物を特に狙ったりということはありません。
全ての首及び胴体が知能を持ち、自律的に判断します。
それぞれが独立して判断を行うため、同じ目標に対して9回攻撃することは
(標的が1人しかいない場合を除いて)まずありません。
この怪物に対して魔法を使う場合は、首それぞれ及び胴体について、
別個の標的であるとして考えます。
首の切断及び再生、再生の妨害に関してはヒュドラ(完全版212ページ)
とほぼ同じです。異なる点は、死亡していない限り首は2ラウンドで再生することと、
首が生えたことによる生命点の回復がないことです。
この怪物の正体は、ミゴリの信者を媒介にして投影される仮想現実です。
実体を持ち、幻覚ではないので不信しても無駄ですが、信者がいなくなれば、
存在の基盤を失います。送り込まれた世界にミゴリの信者が1名もいなくなれば、
存在できなくなり、消えてしまいます。
この怪物は、自らの存在をすり減らして、存在するはずのない世界に存在しています。
5ラウンド経過するごとに、数値が1又は1段階ずつ減少していきます。
これによって、数値が0以下になることはありません。

第一の首・名も無き狂気の神の司祭
  攻撃点=かみつき:16 打撃点=16
  特殊能力:暗黒魔法9レベル(魔力11)
第二の首・バグベアード
  攻撃点=体当たり:23 打撃点=24
  特殊能力:光線(抵抗の目標値22、その他は完全版211ページ参照)
第三の首・フォレスト・ジャイアント
  攻撃点=頭突き:21 打撃点=22
  特殊能力:なし
第四の首・ケプクーヌ
  攻撃点=角:21 打撃点=25
  特殊能力:古代語魔法10レベル(魔力12)
暗黒魔法10レベル(魔力12)
第五の首・ドッペルゲンガー
  攻撃点=かみつき:19 打撃点=21
  特殊能力:変身、古代語魔法9レベル(魔力11)
第六の首・ロック
  攻撃点=クチバシ:22 打撃点=25
  特殊能力:なし
第七の首・ドラゴン
  攻撃点=牙:22 打撃点=27
  特殊能力:炎(距離30メートル、敵単体、抵抗の目標値22、
打撃力30、追加ダメージ15)
第八の首・ザワンゼン
  攻撃点=頭突き:19 打撃点=23
  特殊能力:なし
第九の首・マリア
  攻撃点=かみつき:19 打撃点=23
  特殊能力:呪詛の声(抵抗の目標値22、以後1ラウンド行動を取りやめさせる)
胴体・ヒュドラ
  攻撃点=体当たり:18 打撃点=21
  特殊能力:水中適応


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