灼熱の華
実は、前回のカトレアの完全敗北は、思わぬイレギュラーをもたらしました。
仮に、カトレアが勝ってピニーズを略取できれば、全く問題無し。
そして、カトレアが勝てはしないまでも引き分けるか、
カトレアが勝ってもピニーズを手にできない
(例えば、レイディアがピニーズをテレポートで逃がす)状況であれば、
カトレアはイングィーを生贄にしたコール・ゴッドで目的を果たすか、
万が一負けそうになった場合には苦し紛れに唱えたレスキューによって、
とっくにボスのいる緊急基地に到着しているのです。
そして、車輪騎士団は既に到着しており、野盗団も応戦。
カトレアはそれに巻き込まれ、レイディアたちがカトレアを追う
(フアナがあの夜カトレアの荷物に忍ばせた宝石は、もちろんロケーション用です。)
というのが、(カトレア敗北直前までは)一番可能性の高いシナリオでした。
しかし、実際はカトレアがレイディア組にまさかの敗北。
さらに、生贄を欲していた神の声を無視し、カトレアがピニーズを殺害。
この時点で、事態は思わぬ方向に転がり始めていました。
G M:ボスが手下約20名を連れて篭城したのは、
かつて車輪騎士団が壊滅させた山賊団の砦でした。
独立したやぐらなどは破壊されていますが、
戦略的に重要でないという理由で、その他の部分は放置されていました。
崖をくりぬいて作られた地上3階、地下1階建ての洞窟で、入り口は1階。
窓に当たる部分には、木の雨戸が取り付けられています。
雨戸を開けば、矢などによる応戦が可能です。
そして、その崖を一望できる位置に、騎士団が陣取っています。
車輪騎士団の正騎士が、20名ほど。馬を持たない兵士と民兵は十数名ずつ。
戦闘用の特殊な武具や食料を積んだ馬車の他、
旧式の戦車(単なる移動式改造投石器ですが)も数台。
なお、ここから、普通の戦闘ラウンドとはまた別に、
大まかな時間の経過は、戦略ラウンド単位で処理します。
ロベール :増援を待つ間、危険を冒して敵の動向を探ってきた。
敵の残存兵力は20。奇しくも、我らがオランの精鋭と同じ数だ。
しかし、車輪騎士団の精鋭と野盗風情では、圧倒的な差がある。
正面から突入すれば、我らは必ず勝つことができる!
一同 :おおーっ!!
ベス :邪悪滅するべし!! 正義は必ず勝つ!!
ロベール :正しき我らには、至高神ファリスの司祭様が力を貸して下さる。
オランの明日のため、邪悪を殲滅しようではないか!
一同 :おおーっ!!!
ロベール :民兵隊A、大盾を持って先陣を!
G M:血気盛んな民兵数名で組織された民兵隊Aが、
大盾を組み合わせて体をガードし、進んでいきます。
野盗団は弓矢で応戦しますが、
巨大な盾に阻まれて身体に射線が通っていないので、100%当たりません。
しかし、民兵隊Aが崖に接近したところで、
油と火のついた松明が落とされます。
的が大きすぎるので、今度は逆に外れません。
ロベール :(戦争の準備をする時間があるのなら、車輪騎士団相手に篭城などしない。
敵の油には限りがある。民兵ごときにあれだけ使わせれば大成功だ。)
G M:民兵隊Aは、火だるまになりながら倒れ、全滅します。
民兵A−1:オラン万歳!
民兵A−2:ぐあぁーっ!
民兵A−3:騎士様、後はお願いします!
ベス :彼らはファリスの御許へ行くことが許される。死を恐れるな!
ロベール :彼らの犠牲を無駄にするな!
G M:元々、臆病な人間は開戦前に逃げてますからね。
怯んでいる者も多いですが、戦線が崩壊することはないです。
ロベール :民兵隊B、1号車を押して前へ!
G M:1号車は、崖を攻撃できる位置まで進みます。
(ころころ)命中。鍋ごと落とされた油の直撃を受けた民兵が燃やされ、
また1人死亡。(ころころ)弓矢は2発中1発命中で、1人は生存。
(ころころ)弓矢は2発中2発命中で、また1人死亡。
民兵隊B、残り2名です。
ロベール :(油は尽きたか? もうしばらく様子を見るとしよう。)
民兵隊C、突撃!
G M:民兵隊Cが突撃します。うち1人は明後日の方向に逃走していますが。
ロベール :構わん。臆病者など放っておけ。
ベス :(臆病者はお前だろう……。)
G M:野盗の方が速いので、先に民兵隊Bに攻撃が来ます。
(ころころ)弓矢は2発中2発命中で、1人死亡。
(ころころ)同じく、1人死亡。民兵隊B全滅です。
民兵隊Cが1号車にたどり着きました。
次のラウンド。野盗たちは反撃しますが、降ってくる矢の本数が減ってます。
(ころころ)1人1本ずつ飛んできて、全部命中。全員生存です。
民兵隊の反撃は、戦車(投石器)から打ち出される大量の火炎瓶。
照準を合わせる能力が無いので、
回避力の高い野盗には当たる筈ありませんが、動かない窓に対しては、
一定確率で当たります。(ころころ)1本命中。
3階の窓に火炎瓶が入り、窓の中が一気に燃え広がります。
しばらくの間、3階の窓からの攻撃が不可能になりました。
ここまでで、4戦略ラウンドが経過しています。
ロベール :騎士隊A、騎士隊B、突撃!
G M:馬を下りていた8人の騎士が、走って突撃します。
2階の窓から矢の雨が飛んできますが、
3階の窓から飛んでこなくなったので、回避は可能です。
(ころころ)騎士A−1に4本中1本、
騎士A−2に4本中2本当たっただけで、ダメージは1本につき1点のみ。
騎士の方が速いので、2ラウンド目の弓矢は食らいません。
騎士隊AとBは崖に到達。そのまま中に入れます。
ロベール :民兵隊C、騎士に続け!
G M:荷物を載せた手押し車を押しながら、民兵隊Cが突撃します。
が、騎士が迫っていてそれどころではないので、野盗たちは無視。
続いて、騎士隊AとBは、事前の命令通り、2階へ。
崖を改造した砦なので、中は突入前の予想通りの一本道。
野盗団が立てこもっている2階の部屋の入り口には、
組立て式の椅子、あるいはちょっとした美術品などで
あり合わせのバリケードが築かれています。
野盗団としては、時間稼ぎのためにバリケードを設置したわけですが、
これも事前の予想(の中の1パターン)のうち。
そして、バリケードも資材が不足して天井まで塞ぎきれていないので、
ウォーハンマーによる破砕の必要もありません。
野盗側としては、できれば一方的に攻撃を加えたいところでしたが、
知力差があるので、バリケードに近接して
上の隙間から弓を射かけようとした時点で剣の攻撃を受けます。
また、バリケードから離れて射掛けた場合は、射線が通りません。
野盗団が手をこまねいている間に、
騎士隊Aは隙間から火炎瓶を投げ込みます。
目標が見えていないのと、隙間がそれほど広くないせいで、当たりません。
が、火炎瓶は割れて、室内が油まみれになります。
それらが何本か投げ入れられた後、民兵隊Cが持ってきた、
ランタンも隙間から落とされます。
この時点で完全に意図に気付いた野盗が(ころころ)2名。
何も言わずに窓から逃げます。
残りは、自身が油を浴びていない以上、
仮にたいまつを落とされたところでダメージはほとんどないと判断しますし、
そもそも、スペースの都合で退く場所がありません。
さて、逃げた2名はアクロバットできるので、ダメージはありません。
当然、その2名はロベールから丸見えなわけですが。
背を向けて、走って逃げます。
ロベール :騎士隊C、殲滅しろ。
G M:既に騎乗している騎士隊Cは、4名がかりで逃げた2名を追います。
徒歩対馬なので、すぐに追いつきます。
1ラウンド目は後ろから斬りつけるので、まず外れません。
(ころころ)2回中2回命中。(ころころ)2回中2回命中。
ダメージ6点ずつ。そして、次のラウンド。
野盗たちは降伏。しかし、騎士たちは命令通り、無視します。
(ころころ)2回中1回命中。(ころころ)2回中1回命中。
ダメージ3点ずつ。次のラウンド。
(ころころ)2回中2回命中。(ころころ)2回中1回命中。
野盗は武器を抜いて応戦しようとしましたが、
その前にダメージ6点と3点で両方気絶。
(ころころ)生死判定は両方成功。
しかし、騎士は命令通りとどめを刺します。
現在、窓から外を見る余裕のある者は皆無なので、
その光景は野盗には知られません。
ロベール :よし。
G M:そして、まだ8名が残っている2階の部屋の中。
騎士隊Aのうち1人が、外から炎晶石(完全版269ページ)を
投げ込みます。魔法扱いなので、回避や投げ返しはできませんね。
炎晶石の爆風だけなら、5レベルの野盗にとっては
大ダメージにはならなかったでしょう。
しかし、床に広がる油とランタンのため、
爆風で油やガラスの破片が飛び散り、床の油に引火し、そして、
野盗の体を覆った油に床の炎が燃え移るという阿鼻叫喚の地獄絵図に。
火の勢いが強すぎて、このレベルでは抵抗不能。
ダメージは、炎晶石の打撃力20+追加ダメージが油と合計で15です。
(ころころ)気絶、気絶、死亡、気絶、気絶、気絶、気絶、死亡。
6人気絶、2人死亡。なお、最後の1人はクリティカルでした。
凄まじい断末魔を残して、2階は全滅。
ロベール :素晴らしい戦果だ。
G M:次の戦略ラウンドで、当初の指示通り、全ての軍が戻ってきます。
これで、合計8戦略ラウンドが経過です。
なお、2階の炎はもう少しの間燃え続けます。
その先へと進むには、鎮火を待たなければいけないでしょう。
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