神紡ぐ祝詞
前回は、紆余曲折の末、ピニーズが死亡してしまいました。
前回の各自の使命に照らし合わせると、レイディアが失敗、トゥエリが成功、
ディースが成功、フィーエルが失敗、フアナが成功、カトレアが失敗、マリアが成功。
トゥエリとディースとフアナとマリアは基本経験点が5000点、
レイディアとフィーエルとカトレアは基本経験点が500点となります。
個別の経験点は、降伏した相手の分も含め、レイディア組が全員52点、
カトレアが270点、積極的に戦っていないフアナとマリアは0点となります。
なお、オドソフは契約に従って義務を果たしているので、経験点は5052点です。
G M:それでは、成長申告をどうぞ。
レイディア:次のレベルまであと1万点以上あるんだけど。
フアナ :……上がらない……。
トゥエリ :生命力を2点上げますヨ。
ディース :やっと平均だな。
カトレア :……。
ディース :生命力2点アップだぜ! あと、レンジャー1取った。
トゥエリ :本格的に経験点余ってますネ。
G M:生命力をもっと上げてもいいですが。
ディース :いや、やめとく。トランスファー・経験点できねーかなー。
トゥエリ :できませんヨ。
フィーエル:あう。生命力を1点、精神力を2点上げた。
トゥエリ :妥当な選択デスね。
マリア :ファイターが10レベルじゃ。
トゥエリ :おめでとうございます。
オドソフ :レンジャーが7レベルだ。知力も上げた。
トゥエリ :どこまでも真面目デスね。
さて、前回の冒険では、大変なことが起こりました。
確実に勝利すると思われたカトレアの敗北、そして、ピニーズの死亡。
カトレアはピニーズの蘇生を試みますが、どういうわけかリザレクションが発動しません。
カトレアの精神点は、残り65点。
レイディア:(包帯を外しながら)私の傷治してみて。大丈夫だとは思うけど。
カトレア :(ころころ)18で成功、17点癒しました。
G M:普通に治りますね。全快です。
フアナ :……特定の魔法が……封じられてる?
トゥエリ :高位魔法だけ使えないという可能性もありますネ。
カトレア :……僕が信仰に反している、ということでしょうか?
レイディア:復讐を忘れたわけじゃないんでしょ?
カトレア :もちろんです。
レイディア:ボスの息子なんだから、連れてけばそいつより役に立つでしょ。
G M:縛られてオドソフに見張られているイングィーは、ほぼ無反応です。
ピニーズが死んだことについても、
それほど大きな衝撃を受けているわけではありません。
自分を見捨てたボスの息子なんて、もうどうでもいいですから。
自分についても、最初から無事に解放してもらえるとも思ってませんし。
レイディア:生き返らせるだけで、復讐って信仰に反するほどとは思えないわ。
フアナ :……精神力、減った……?
カトレア :!
G M:冷静に考えてみれば、わかります。
リザレクションの分も、確かに減っていますね。
カトレア :……減ってます。
レイディア:祈りは届いたけど、聞いてもらえなかったってこと?
フアナ :……神なんて、あてにならない……。
カトレア :でも、今までこんなことは……。
ディース :現に起きてるんだからしょうがねーだろ。
トゥエリ :確かにそうデスね。
レイディア:ミゴリの都合でそうなってるとしたら、他に生き返らせてもらえばいいわ。
フアナ :……誰が……ダークエルフなんか蘇生させる?
レイディア:……ファンドリアの、ファラリス最高司祭に頼むわ。
トゥエリ :そんなことしたら、学院にいられなくなりますヨ!
ディース :俺らのレベルなら、会ってもらえねーこともねーよな。
レイディア:宿屋のおじさんのコネもあるしね。
フアナ :……なら、プリザーベーション……。
カトレア :はい。(ころころ)20です。
G M:かけた本人にはわかりますが、魔法がかかりました。
ピニーズの死体の腐敗が防止されます。
カトレア :どうにか、かかったみたいですよ。
ディース :どういう基準なんだ?
レイディア:とりあえず、テレポートで寮の私の部屋に飛ばすわ。
万が一ということもあるから、『深い事情があるから誰にも言わないで』
って簡単な手紙つけて。(ころころ)成功。
G M:レイディアのテレポートが発動し、死体が消えました。
時空を超え、オーファンにあるレイディアの部屋に
到着していることでしょう。
ディース :くししし。これにて一件落着ってか。
レイディア:いや、まだこれっぽっちも落着してないから。
トゥエリ :なんでわざわざこちらに戻って来たんデスか?
フィーエル:あう。もっと、東、行ってると思った。
フアナ :……神信者が……ミゴリを降臨させて、道を聞いた……。
マリア :賊の死体が道しるべとなったのじゃ。趣味の悪い……。
レイディア:で、ボスはこっちにいるの?
イングィー:……。
レイディア:マリア、やっちゃって。
マリアンヌ:うむ。眼帯の男に向けて、本を開くぞ。
G M:男の名前はイングィー。
元は平の団員でしたが、働きを認められ、幹部に昇格しました。
彼が人を殺すのに良心の呵責を感じないことも、昇格の要因になりました。
平時代に『野盗団にとって不利益なことをするな』というギアスを
かけられており、未だ解除されていませんが、
悪事は彼の意志によるものです。
その他、罪状が延々と続き、最後の方に重要な情報が。
彼は最初からまともに道案内をする気などさらさらなく、
案内をするふりをして隙を伺っていたとのこと。
あと、先ほどレイディアを殺そうとしたことも。
そして、決定的な情報。
幹部だけが理解できる秘密の地図があり、
その地図には多くの情報に紛れて、領地の境界などが書かれています。
平時は大抵辺境である境界近くに目が届かず、
また、騎士団の越境は色々と面倒なことから、
事を起こしてすぐに越境すれば、組織立って追われる危険性が激減すること。
そして、騎士団を組織して追ってくるようなことがあれば、
山賊に濡れ衣を着せるなどして自分たちは逃げおおせること。
以前全滅させた山賊の根城などを改造して、
緊急時の基地にしている場合があること。これらの情報を知っています。
そして、教えられてはいないものの、
その地図の中から緊急基地を示す記号を独自に解読しており、
自分を捨て石にしたボスが、別れた位置から計算するに
その1つに逃げ込んだ可能性が高いことまで知っています。
レイディア:へぇ……いい度胸してるじゃない。
G M:心の中を見透かされたイングィーは、さすがに顔面蒼白です。
フアナ :……位置……わかる?
G M:フアナたちはわかりますね。サイルの襲撃対象の村から北東です。
カトレア :(笑顔で)絞めていいですかね?
レイディア:好きにすればいいんじゃない?
マリア :うむ。
イングィー:好きにしやがれ!!
ディース :開き直ったぞ、こいつ。
G M:冷静に考えてみれば、これ以上立場が悪化することはないですからね。
カトレア :あなたは、死後の世界について、どう思いますか?
イングィー:?
カトレア :死後の世界は、信仰によって、様々な形があるようです。
イングィー:は? それがなんだって?
カトレア :あなたのような人は、ファラリスに気に入られそうですね。
死後の幸福は約束されていたかもしれません。
イングィー:……ま、まさか……。
カトレア :ただ、アンデッド化しちゃった場合は、例外なんですよ。
魂が変質しちゃうんですよね。
イングィー:やめてくれ! それだけはやめてくれ!
G M:ゴーストは結構見てますので、ああはなりたくないようです。
誰か止めますか?
止めなければ、反撃も逃走もできないのですぐ死にますが。
レイディア:私は止めないから。
トゥエリ :なら、私も。
フィーエル:あうー。かわいそう。
ディース :空気読めよ。
フアナ :……同情できない……。
マリア :楽に殺してやれ。 ←投げやり
G M:オドソフもイングィーを縛ったロープを持ったまま、特に止めません。
カトレア :時間が惜しいですので、さっさと殺しちゃいましょうか。
G M:はい。死にました。
カトレア :クリエイト・ゾンビ。(ころころ)19。
G M:かかりますね。死体はゆっくりと起き上がろうとしますが、
縛られたままなので、起き上がれません。
カトレア :刺しましょう。
G M:はい。ゾンビは活動を停止しました。
フアナ :……これで、幹部は、全滅……。
レイディア:じゃ、急いでボスを倒すわよ。
フアナ :……わたしが、飛んで行かないと……。
ディース :道案内はもういいんじゃね?
レイディア:……そうね。オドソフ、契約は終了よ。妹さんを大事にね。
オドソフ :……もういいのか?
レイディア:一人で帰れるわよね?
オドソフ :ああ。ありがとう。……無事で。
レイディア:ありがと。あんたもね。
この先の道案内は不要と判断し、一行はオドソフと別れました。
さて、本に表示された場所がわかるのは、
現地近くまで行ったことのあるカトレア、フアナ、マリアのみ。
その中で、フライトが使えるのはフアナとマリア、テレポートはフアナのみです。
歩けば1日以上かかる距離ですが、フライトで飛べば1時間と少し。
テレポートで襲撃対象だった村まで飛んでも、そこから徒歩では時間がかかるため、
そこからフライトか、馬もテレポートさせるという移動手段を併用しなければいけません。
結局、この場に魔方陣を書いてフアナがテレポートで戻れるようにし、
フアナとマリアがフライトで現地に移動、
魔方陣を設置してそこからテレポートでフアナが戻り、
カトレアの精神力を使って、全員をテレポートさせる計画に落ち着きました。
なお、レイディアもフライトとテレポートは使えますが、
カトレアとの意思疎通のため、あえて残ることにしました。
フアナを待つ間に、カトレアとレイディア組は、
別れている間にあったことを報告しあいます。
フィーエル:あうー、かわいそう。
レイディア:ていうか、さっきの止めなかった私らも同罪だし。
ディース :別にいいんじゃね?
トゥエリ :あいつら、もっと酷い事やってるでしょうからネ。
カトレア :僕は反省も後悔もしてませんけどね。
レイディア:その場にいたとしても、止めなかったと思う。
トゥエリ :現に、マリアとフアナも止めてないデスしね。
レイディア:それより、精神点ガタガタだから、トランスファーお願い。11点。
カトレア :では、トランスファー! (ころころ)20。
G M:レイディアの精神力が全快しました。
カトレアの残り精神点は、49点。
ディース :ほんと、発動の基準が不明だよな。
レイディア:もっと腑に落ちないことがあるのよね。
トゥエリ :なんデスか?
レイディア:神って、万能なんでしょ?
トゥエリ :そうデスね。降臨に成功すれば、およそ何でもできるかと。
ディース :呼び出してもらわねーと何もできねーとか、ヘタレだよな。
カトレア :(笑顔で)ディースさんは独特の感性を持ってますよね。
フィーエル:あうー。こ、こわい……。
ディース :え、何が?
レイディア:その神が示した道が、ダイレクトに首領に通じないのはおかしくない?
カトレア :ははは。……そういえば、そうですね?
トゥエリ :むしろ、逆方向だったってことになりますよネ。
カトレア :きっと、ミゴリは試練を与えたのでしょう。
レイディア:うーん。推理にはちょっと材料が足りなすぎるんだけど。
トゥエリ :言ってみてくださいヨ。
レイディア:いや、あんま愉快な話じゃないし。
カトレア :僕は別に構いませんよ。
G M:その辺は今から話し合うとして、では、別の場面の話を進めましょう。
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第19話前編・第2節 へ
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