し・か・え・し








カトレア :気絶した手下の1人を生贄にして、コール・ゴッドを唱えます。

G   M:知力と敏捷度の双方で上回るフアナは、止めるチャンスがありますが。

フアナ  :……力じゃ勝てない……信じて、様子をみるしか……。

カトレア :コール・ゴッド! (ころころ)20です。

G   M:一瞬、周囲が無音になります。
      そして、生贄の体が灰色のオーラに包まれたかと思うと、
      突然むくりと起き上がります。
      口は動かしていませんが、なぜか言葉が伝わってきます。

ミゴリ  :われはみごり。うらみのかみ。

マリア  :!?

フアナ  :……これが、神……。

カトレア :ミゴリの前にかしずきます。

G   M:ゴーストたちも、カトレアに倣ったのか平伏します。

ミゴリ  :わがしもべよ。にくたいをもってまみえるのははじめてか。

カトレア :お会いしとうございました。
      崇高なる復讐のため、ミゴリのお力をお貸し下さい。

ミゴリ  :このからだではふそくじゃ。
      そこにおるふぁらりすのしんとのからだをわれにささげよ。

カトレア :恐れながら申し上げます。その男は既に死んでおりまして、
      わたくしめの力では、生き返らせることができません。

ミゴリ  :ぬしにちからをあたえる。うけいれよ。

カトレア :はっ。

G   M:カトレアの体に、人知を超えた力が流れ込んできます。
      抵抗するなら簡単に効力は消えますが、抵抗しますか?

カトレア :愚問ですね。

G   M:カトレアの体に力が満ち溢れます。
      精神力の最大値はそのままで、現在値が99になりました。
      精神抵抗力が+4されました。
      そして、降臨から1分が経過し、生贄の魂が砕け散ります。
      神の降臨を受けた脆弱な人間の魂は砕け散り、二度と復活しません。
      肉体の死でなく、魂が壊れてしまうからです。

カトレア :このお力、必ずや崇高なる復讐のために。

G   M:さて、次はどうしますか?

カトレア :ミゴリの御為に、この暗黒司祭を復活させて、生贄に捧げます。

G   M:どうやっても2ラウンドかかるので、隙はできますが。

フアナ  :やめとく。

マリア  :(小声で)我は恐ろしい……これでよいのか……?

カトレア :リザレクション!(ころころ)魔力13+死体6+出目10=29。
      コール・ゴッド!(ころころ)魔力13+出目5=18。

G   M:この男、ファラリスの高司祭なので生贄のボーナスが+5あって、
      実際は達成値23なわけですが。
      先ほどと同じように、ミゴリが降臨します。
      相性がいいのか、今度は生贄の体がずっと宙に浮いた状態ですね。

ミゴリ  :このからだはきにいった。だがふそくじゃ。

カトレア :申し訳ありません。

ミゴリ  :われはだーくえるふをしょもうする。いけにえにささげよ。

カトレア :(……ダークエルフ……。)……かしこまりました。

ミゴリ  :このからだではなごうない。はようねがいをいえ。

カトレア :よろしければ、逃げた賊を捕らえる力をお貸し下さい。

ミゴリ  :たやすいことじゃ。

G   M:数十秒後、部屋の中に、ご丁寧にも足首から下だけが石化した男たちが
      瞬間移動してきます。おそらく、リマンドのようなものと
      ストーンカースのようなものをミゴリが無詠唱で使ったのでしょう。

カトレア :…………すばらしいっ!!!

ミゴリ  :われはかえる。

カトレア :ま、またお呼びしてもよろしいでしょうかっ!?

ミゴリ  :すきにせい。

カトレア :はっ。

G   M:サイルの魂も砕け散り、ミゴリは再び肉体を失います。
      サイルの体は床に落ち、もう二度と生き返りません。
      そして、ダメージを受けたゴーストの傷が、いつの間にか癒えています。
      さて、部屋の中には、村を見張っていた男が5名、
      この酒場から逃げ出した男が3名、フアナもどきになる前の男も1名います。
      おそらく、ミゴリが勝手に解除したのでしょう。あとは、
      気絶している男が1名。この男についても、足首から下は石化しています。
      彼らからしてみれば、まんまと逃げおおせた筈がいつのまにか連れ戻されて、
      あるいは突然リーダーの死体を見せられて、
      どちらにせよ足が動かないという絶望的な状況です。
      命乞いをしたり泣いたり叫んだり這って逃げようとしたりと、
      人それぞれでかなり賑やかです。
      そして、戦闘音がおさまってかなり経ちましたので、
      村人たちが何事かと様子を見に来ます。中を覗いてみると、
      酒場はめちゃくちゃ、商人のお兄さんたちはなぜか武器を持って倒れてたり、
      明らかに死人みたいな顔色の人がなぜか立ってたり、
      見慣れないエルフや女の子や怪しい神官が立ってたり、
      挙句の果てには酒場の主人が倒れてたりします。

村人A  :お父さんっ!?

G   M:酒場を覗いていた1人の少年が、酒場の主人に駆け寄ります。
      死後あまり経っていませんが、触れば死んでいるのはわかりますね。

村人A  :お父さん! お父さんっ!!

カトレア :…………。

G   M:体を揺り動かしますが、反応はありません。

カトレア :(サイルを指しながら)……殺したのは、そこで倒れている男です。

村人A  :……嘘だ! ピニーズさんがそんなことする筈ない!

マリア  :……ピニーズ? はて、どこかで聞いたような……。

フアナ  :……偽名って……覚えやすいのにしとかないと、間違うから……。

カトレア :フアナさん、クリエイト・イメージをお願いします。

フアナ  :(精神力なくなるけど、ここはカトレアを信用するよ)……(ころころ)21。

G   M:これで、フアナの精神力は残り1点です。幻覚の内容はどうしますか?

フアナ  :……サイルとこいつらが、あの町で殺戮するシーンを……。

G   M:では、サイルたちが、逃げ惑う一般人を悪鬼の形相で追いかけながら
      殺戮していく映像が浮かびます。
      もちろんフアナはその場面を見たことないんですが、
      幻覚なので捏造上等なんですよね、これ。
      ただ、実際の場面は映像とは比較にならないほど酷かったんですが。

カトレア :これが真実の姿です。

G   M:幻覚を見た魔法に不慣れな村人は、それが過去にあった事実だと
      ちょっと信じそうになりますね。映像の力は偉大ですので。

村人A  :ソリッシュさん、嘘だよねっ!?

フアナ  :……ソリッシュって、どの人?

G   M:村人は、元フアナもどきの男を指します。

カトレア :幹部の名前は、地位が高くないと使えないんですかね。

元もどき :う、嘘です。そいつらが殺したんです。た、助けてください!

カトレア :マリアさん、お願いします。

マリア  :できればやりとうないが、近づいて、奴に本を向けるかのう。

G   M:(ころころ)与えた精神ダメージは、気絶するほどではありません。
      ただ、実はこの能力、周囲の人間の思考すら読み取った上で
      対象にとって不利益な内容を表示しますので、この状況下では凄いですね。
      具体的には、彼のこれまでの罪状をかいつまんで示した後に、
      『このまま嘘をつき通したとしても、事態は好転しない。
      そればかりか、生きたまま全身を引き裂かれ、
      気絶することも死ぬこともできないまま苦しみ続けることになる。』
      とか書かれています。
      ページを見れば、対象が読んでいるのと同じ内容が見えますので、
      認めるなという声が飛びますね。なお、位置関係上、
      捕虜以外には本の内容は見えません。

元もどき :……すみません……その人の言う通りです……。

G   M:捕虜たちから醜い罵声が飛びます。
      それによって、村人たちの心証は、さらにこちらに傾きますね。

カトレア :正直に言えば酷いことはしませんよ。誰にだって、悪い心はあります。
      この村にも、同じことをするつもりだったんですよね?

元もどき :…………はい。……許してください……。

村人A  :……そ、そんな…………。

カトレア :彼らは今まで多くの人を殺してきました。あなたのお父さんも。

村人A  :……何でそんなことを……。

元もどき :……わ、私は止めたんです。どうか許してください。

カトレア :現実に起こった以上、理由は問題ではありません。結果が問題なんです。
      そして、結果には結果で応えなければいけません。

村人A  :……結果には……結果で……。

カトレア :あなたのお父さんはどうなりましたか?

村人A  :……死んだ……殺された。あいつらに殺された!

カトレア :そうです。その結果に対して、どういう結果が望ましいですか?

村人A  :……殺す。あいつらを殺す。

カトレア :そうです。よく気付きましたね。
      丁度あそこに、最後まで罪を認めなかった悪い人がいます。

G   M:罪を認めなかった者達は、凍りつきます。

カトレア :その中から適当に1人選んで運んで行きますよ。
      僕が正しいと思う人は、ついてきてください。

G   M:足から下が石化しているだけなので、そう重くはありません。
      抵抗はしますが、カトレアだけで引きずって運べますね。
      そして、数人が賛同や好奇心でついていったら、
      集団心理が働いて、みんなついてきちゃうんですよね。

マリア  :我は行かぬ……。

フアナ  :……わたしもパス。

G   M:結局、フアナとマリアとゴーストと捕虜以外、全員ついてきます。
      ゴーストは知能が残っているので、空気を読みました。
      捕虜はまだいっぱいいますし。

カトレア :近くに川ありましたよね。そこに放り込みましょうか。

G   M:村人たちは黙って見ています。
      これから何をされるか気付いた手下は泣き叫んでいます。

カトレア :じゃ、落としましょうか。

G   M:手下は水音を立てて川に落ちますが、なかなか沈みません。
      足を動かせないのは重いからじゃなくて、
      神経が通っていないからなんですね。
      水の中で、手だけでなんとか浮こうともがきます。そのうち岸を掴みますが。

カトレア :ご苦労さま。もちろん踏みますけど。

G   M:では、踏まれた指はあっけなく岸から離れます。
      その後も岸を掴むたびに指を踏みつけられ、
      やがて、力尽きて沈んでいきます。
      その後、とても無事に潜っていられないほどの時間が経過しましたが、
      浮かんでくる気配はありません。

村人B  :……死んだ、のか?

カトレア :いいえ、殺したんです。彼らはこれまで多くの人を殺しました。
      そして、あなたたちも殺そうとしました。当然の復讐です。
      ですが、あなたたちは、彼を助けようと思えばすぐ助けられました。
      それをしなかったのは、復讐を望んでいたからです。

G   M:村人たちはざわめきます。
      さすがに論理の飛躍が大きすぎたかもしれません。
      ただ、賛同している声もかなり多いですが。

カトレア :ならば、これから、神が復讐を許した証拠をお見せしましょう。





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