敗北








G   M:とある山奥の村。
      衝撃波を受けて倒れた騎士を、ダークエルフが見下ろしています。
      周囲には、細身の剣で刺された村人の死体と、
      爆風を受けた騎士の死体が転がっています。

ダークエルフ:ははははははははははは。

タンザ  :……あ、足さえ、動けば……。

G   M:騎士は剣を振るい、魔法で封じられた自らの足を切り落とそうとします。
      が、起き上がることすらままならない状態ですから、結局果たせません。

ダークエルフ:おぅ。まだ生きてたか。オランの騎士は強いなぁ。

タンザ  :……お、お前らが……村を……!?

ダークエルフ:そんなこと、どうでもいいだろーがよぉ。

G   M:ダークエルフは騎士の頭に手を置き、クエストを唱えます。

ダークエルフ:ここに来た事情、仲間、背後関係とか、全部正直に書け。

G   M:ダークエルフは、ペンと羊皮紙を騎士の傍に置きます。

タンザ  :愚弄するか!! 仲間を売れるわけが……。

G   M:クエストを破ろうとしたことによる強烈が苦痛が、騎士を襲います。

タンザ  :ぎゃあああああああああああぁ! 何をしたぁぁぁっ!?

ダークエルフ:ほら、さっと書いちまえって。楽になれるからよぉ。

G   M:騎士はしばらくの間おぞましい悲鳴を上げて抵抗していましたが、
      やがて悲鳴が止まり、ペンを走らせ始めます。

ダークエルフ:おーおー。剣を投げ捨てて仲間を売るとは、立派な騎士様で。

タンザ  :…………わ、我らの仲間が……必ず、お前を……。

G   M:やがて、騎士の手が止まりました。
      苦しんでいないところをみると、命令が達成されたようです。

ダークエルフ:ご褒美に、楽に殺しとくかぁ。

G   M:ダークエルフの剣が、騎士の首を三度貫きます。騎士は死にました。

ダークエルフ:とりあえず、読んどくけど。

G   M:ダークエルフが、騎士に書かせた羊皮紙を読んでいると、
      爆風で傷付いた小屋の中から、ローブをまとった整った顔立ちの男が現れます。

男    :ボス、お怪我は?

ダークエルフ:あるわけねぇだろ?

男    :あまり無茶をなさらないでください。

ダークエルフ:ははははは。悪い悪い。けど、足封じてたからいいじゃんよぉ。

男    :この国は騎士が強いですから、用心してください。

ダークエルフ:聞くだけ聞いとくわ。これ、お前も読む?

男    :はい。

G   M:羊皮紙には、質問に対する回答が書かれています。
      『ベブリス子爵の領内巡察隊第1班。焼失したルバレンの村の視察のため、
      詰所から馬で北方の街道を通り、クラシドの村の東から北に向かう。』

ダークエルフ:その程度のが追いかけてくるなよなぁ。

男    :とはいえ、大陸最強の車輪騎士団ですよ。ボスが強すぎるんです。

G   M:『ベルーナの村の村長から、コバルの村が何者かによって皆殺しにされたとの
      情報を受け、コバルの村へ。調査により、野盗の襲撃と断定。
      賊が北東へ向かった痕跡を認め、道に沿って北東へ。サンミュンの村は全滅。
      そこで隊長以下5名が賊を発見。隊長は逃走し、4名で交戦する。』

男    :た、隊長は逃走!?

ダークエルフ:近づいてきた奴らは、囲ったんだよなぁ?

男    :……はい……抜かりはありませんでしたが……。

ダークエルフ:隊長だけ逃げるかぁ、普通?

男    :……実戦経験のない貴族なら……それでも、逃げるのが速すぎますよね。

ダークエルフ:オレの強さ知る前に逃げたってことだからなぁ。

男    :フライトで追いますか?

ダークエルフ:いや。深追いはあぶねぇし、見られたとしても俺らだけだ。

男    :しかし……いえ、ボスのおっしゃる通りに。

ダークエルフ:これ、初めての生存者って奴かぁ?

男    :……はい。……念のために、予定を変更しましょうか?

ダークエルフ:いや、伝えるだけでいいや。おーい、馬鹿息子!

G   M:別の家屋から、ダークエルフの少年が出てきます。

ダークエルフ:合流早めるぞ。こっちの全員に伝えて来い。

G   M:少年はうつろな表情でうなずき、村の外に向かいました。





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