ラブラヴ?
G M:さて、準優勝のレイディアには花の首飾りが贈られ、大会は終わりました。
レイディアとキャンディは他の女の子と一緒に控え室に戻るわけですが、
そこにはディースの姿があります。
オーマ :?
ウルク :誰だ?
イリュー :戦士のお兄さん。
レイディア:なっ、なんであんたがいるのよ!?
ディース :ふっ。女の子しか入っちゃいけねー場所に忍び込ませたら、
俺の右に出る奴はいねーぜ。
キャンディ:威張っちゃダメだよ。
ディース :お、それ付けてると、女の子みたいだな。かわいいかわいい。くししし。
レイディア:ば、ばかっ! 何しに来たのよ!?
ディース :いや、ここに気になる女の子がいてな。すぐに会いたくて。
レイディア:え……それって……。
キャンディ:席、外そっかな。
ディース :俺から言っていいのかわかんねーけど、大事なことだから、言っとく。
レイディア:うん。待ってた……ずっと待ってた。
ディース :ウルク。お前弱いぞ。悔しかったらかかってこい!
ウルク :な、なにをっ!?
レイディア:……?
G M:(ころころ)ウルクの攻撃をディースがかわし、
続くフェイントにも惑わされません。
その間、デコピンが2発、ウルクの頭に命中します。
レイディア:…………?
ウルク :いてっ! いてっ! ……アンタ強いな。
ディース :俺が強いんじゃない。お前が弱すぎるんだ。
ウルク :な、なにをっ! このっ!
G M:(ころころ)防御を捨てた攻撃ですが、技量が違いすぎて当たりません。
反対に、隙だらけの頭に攻撃できます。
ディース :当たらねー。カウンターでデコピン。
ウルク :いてっ!
ディース :実戦なら3回死んでるぞ。つーか、その武術、誰に教わった?
ウルク :……死んだ爺ちゃん。
ディース :お前は大事な部分を教えてもらってない。防御だ。
相手の隙を作るための動作が、お前の隙を作ってる。
実戦は防御あっての攻撃だ。
頭砕かれたら1回で全部パー、まずは守りから入れ。
ウルク :……どうしろって言うんだよ。
ディース :攻撃動作のときに頭のガード空けるな。食らったら一撃だぞ。
……間合いを詰めてもう一度デコピン。
ウルク :いてっ! 話の途中で汚いぞ!
ディース :ガードが常に甘い。腕を上げろ。それよりもうちょい下。そう。
その辺で構えてると……こう踏み込まれて、どうだ?
ウルク :左を合わせる。
ディース :だな。並の腕だったらその左は食らう。だから踏み込まねー。
使わない腕は、すぐ使えるように準備しとけよ。
ウルク :……わかった。
ディース :ケンカと戦いの違いは、ガードだ。
食らっても押し勝とうって考えるのは素人。
食らわずに相手を圧倒しろ。常に相手の攻撃を意識するんだ。
ウルク :こうか?
ディース :甘い。左のガードが下がってる。蹴りにやられるぞ。
ウルク :なら、こうか?
ディース :お。大体いい。あとは、移動した体重をすぐ戻せよ。引っ張られるぞ。
ウルク :わかった。
ディース :言っていいかわかんねーけどさ、
かわいい女の子だから、頭ががら空きでも攻撃しづれーんだよな。
それに、弱い相手なら攻撃だけで倒せるし。
ウルク :……今まで、ボクが手加減してもらってたって?
ディース :ああ。実戦で今まで通りやったら、初戦で死ぬぞ。
ウルク :…………アンタが言うなら……そうなのかもな……。
ディース :俺の防御を見せてやる。実力が違いすぎるから、今は防御は捨てていい。
本気で攻撃して来い。俺は目ぇ閉じて避けるから。
ウルク :気配だけで戦えるってか!? フェイント! (ころころ)13。
ディース :効くか。(ころころ)14。
ウルク :超強打! (ころころ)9。
ディース :(ころころ)11。
ウルク :ちくしょう! フェイント! (ころころ)10。
ディース :(ころころ)10。あぶねーあぶねー。
ウルク :三回攻撃! (ころころ)1ゾロ、13、1ゾロ。
ディース :(ころころ)12、16、13。
G M:攻撃は全てかわします。が、2回も1ゾロを振ったウルクは、
無理な体勢になる攻撃オプションということもあり、転倒します。
目を閉じていたディースは事故による転倒という事態を読めないので、
さすがにかわせません。お互いもつれあって転倒します。
ディース :うおっ……一緒に転んだのか? あれ? 目開けても見えねー。
……顔になにかやわらかいのが。この感触は……お、DかE。
ウルク :ひゃうっ!!?
レイディア:……股間は狙えるわよね?
G M:はい。避けられません。1ゾロのみ攻撃失敗です。
レイディア:渾身の蹴りを……ダメになっても、私の気持ちは変わらないからねっ。
むしろ、ダメになれっ!! 全力攻撃、クリティカル−1で!
(ころころ)9で命中。(ころころ)ダメージが3。
G M:痛いものは痛いですが、冒険者レベルで止まります。
あ、1ゾロということもあるので、一応鎧のロールを。
ディース :(ころころ)嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! ぐおおおおおおーっ!!!
天国と地獄がいっぺんに〜!!
G M:では、うそ臭いですが、大事なところに3点通ります。
レイディア:ふん。当然の報いよ。
ウルク :びっくりしたけど、ボクは気にしないよ。今のはボクが悪かったから。
変な声出しちゃったけど、その……イヤじゃ、なかったし。
レイディア:……残念ね。これはうちの所有物だから。……そろそろ時間ね。帰るわよ。
ディース :……。 ←まだ痛いらしい
ウルク :行っちまうのか……。
レイディア:実は仕事中で、無理言ってお祭に参加させてもらってたのよね。
ウルク :そっか……。
イリュー :皆さんに伝えてください。ありがとうございました、って。
レイディア:わかったわ。あんたもうまくやるのよ。
イリュー :はい!
ウルク :アンタ、名前は?
ディース :……ディース。
ウルク :また来いよな、ディース。歓迎するから! ……ホームタウンとかある?
ディース :……オーファンの……ファン……。
ウルク :……こっちに来ることはそうそうないか……。
もし今度会ったら、また色々教えてくれよな!
ディース :……おう。……それまでに鍛え……とけよ。
ウルク :うん。次はボクが勝つ!!
ディース :……そ、その意気だ……っ。 ←よろめく
レイディア:うまく歩けないの? つかまりなさいよ。
ディース :……いい。
かくして、少女と街を救った一行は、隊商と共に街を後にしたのでした。
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