魔神封印器
一行は、次はウルクの家に向かいます。
案の定、ウルクも仮病で、顔がドクロの怪物に手紙を渡されたようでした。
紙にはやはり「ウルクが出場しませんように。」とびっしり。
レイディアはウルクにも出場を勧め、ウルクの家を後にします。
次に、やはり体調不良を訴えているエッシャーの家に行きますが、
時間がまずかったせいか、面会できませんでした。
カトレア :もう夕食の時間ですからねー。
一行は宿で食事を取りながら作戦会議を開きます。
レイディア:魔神に書けない西方語の手紙は、魔神が宿主に書かせたのね。
フィーエル:うん。
レイディア:なら、イリューとオーマのどっちかが犯人よ。
キャンディ:その可能性は高いよね。
トゥエリ :しかし、もう遅いデスから、そんなに時間はかけられませんヨ。
ディース :どっちかにヤマ張れってことか。
フィーエル:どっちが近い?
G M:オーマは同じ宿ですね。イリューは街の子なので、少しかかりますが。
フィーエル:なら、オーマにしよう。近い。
レイディア:ちょ、ちょっと待って。他の参加者の名前を知ってるってことは!?
キャンディ:街に住んでる子ってことだよね。
トゥエリ :でも、この名簿はよそ者のフアナが見られたってことデスから……。
キャンディ:無断で借りてきちゃった。ごめんねっ。
トゥエリ :邪悪な人がここにも……。
レイディア:時間がもったいないわ。イリューの家に行くわよ!
本来ならば、次に狙われるであろうオーマを張り込むか、
イリューのところに突撃するかの二択を迫られるところです。
しかし、セージ技能の判定成功により魔神の性質がわかっているので、
ほとんど迷うことなくイリューの家への突撃となりました。
G M:イリューの家は雑貨屋です。旅人向けの店という側面もあるので、
まだ開いてますね。なお、センス・ライはとっくに切れてます。
レイディア:かけなおすに決まってるでしょ。(ころころ)かかったわ。
こんばんはー。コンテスト受付の方から来ましたー。
キャンディ:雑貨屋か……。品揃えとかで、故買屋かどうかわかる?
G M:シーフ5レベルの目には明らかです。
普通の雑貨屋を装いつつも、宝石や貴金属などのいわゆる「金目のモノ」が
目につきますね。明らかに、盗品でも構わず扱う店ですね。
もちろん、仕入先ルートは街の外が多いでしょうけど。
主人 :いらっしゃい……と思ったら運営の人かい。見かけない顔だねぇ。
レイディア:実は、参加者なんです。他の参加者が次々に辞退したそうなので、
残っているイリューさんにも確認に参りました。
主人 :おお、そうかい。イリューや、降りておいで。
G M:2階から12歳前後の少女が降りてきます。
まだ成長途上ですが、顔はややかわいいかなといった程度。
顔だけ見れば、予選落ちと言われても納得してしまいそうです。
もちろん、今まで会ったメンバーには敵いません。
イリュー :……な、なんですか?
キャンディ:辞退者がいっぱい出たから、補充メンバーになったの。よろしくねっ!
G M:キャンディの顔を見て、イリューの顔が青ざめます。
イリュー :……お、お名前を教えていただけますか?
キャンディ:チョココロネ。
レイディア:ぶっ!!
イリュー :チョココロネさん、ですね?
キャンディ:ほどよく甘いよ。 ←にやり
G M:チョコはこの地方には伝わってないので、偽名だとはバレません。
(チョコについては、公式リプレイ集xSのモニカ参照。)
レイディア:私はラウールよ。
イリュー :ラウールさん、ですね?
G M:イリューは挨拶もそこそこに、2階に上がっていきます。
レイディア:あっ!
ディース :くししし。デスノート持ってるぞ、あいつ。
主人 :イリューはあの通り引っ込み思案な子でね。……外、いいかな?
G M:主人は聞かれたくない話があるようで、外に出ます。
レイディア:ついて行くわ。
主人 :あの子の部屋はあっち側だから、ここからは聞こえないよ。
レイディア:あの子は、なぜコンテストに?
主人 :他に取り柄がないから。けど、取り柄といっても、たいしたもんじゃあない。
それに、実は、去年のコンテストじゃ予選で審査員に笑われて、
泣きながら帰ってきたんだ。
ディース :つーか、予選で笑われるほど酷かったっけ?
主人 :成長期だからね。ここ1年で、だんだんかわいくなってきたんだ。
それで、念願のコンテストに出られそうってことで、
審査員に受けそうな歌も猛練習した。
ディース :せっかくだから予選に通したい、っていう親心かー。
主人 :予選までなら手を貸せるのなら、と思うとな。
マリア :父親としてはそれでいいのかもしれぬが、人としてどうなのじゃ?
フィーエル:?
トゥエリ :つまり、ちょっと予選の点を底上げする方法をとった、と。
フィーエル:よくないよ、そんなの!
レイディア:静かにしなさい。
主人 :……ああ。でも本人に罪はない。責めないでやってくれ。
本選にさえ出られれば、とっておきの歌が使えるんだ。
レイディア:審査員受けということは、郷里の歌っすか?
主人 :そんなものだ。
ディース :それ、誰でも歌えることね?
レイディア:私もそう思ったけど、多分、歌唱力の差を生かすんだと思う。
主人 :そういうことだ。
レイディア:あの建物の中に、今現在、娘さん以外の人間は?
主人 :いないが?
レイディア:実は、コンテストの参加者が次々に辞退を申し入れてまして。
主人 :……そういえば、さっき言ってたな。うちの娘は大丈夫なようだけど。
カトレア :んー。それが、大丈夫じゃないようなんですよねー。
レイディア:この筆跡に見覚えは?
主人 :…………。
G M:想定外のものを見せられて、平静を装ってはいますが、動揺がみられます。
レイディア:こんなことする子じゃないのはわかってます。もし脅されているとしたら、
娘さんに危険が及ぶ前になんとかしないといけません。見覚えありますね?
主人 :……む、娘の字だ……。
レイディア:単刀直入にいうと、娘さんは魔神に憑かれています。心当たりは?
キャンディ:変なルートから仕入れた、鑑定に自信ないアイテムとか。
G M:変なルート、という言葉に多少ぎくっとしますが、返答します。
主人 :……何も入ってない封印系の指輪…………欲しがってたから……っ!?
トゥエリ :多分それデスね。
レイディア:鑑定は正確だと言い切れますか? 既に魔神の目撃者もいます。
主人 :……あの内気な子が……他の子を辞退させてるって……?
レイディア:あの時期の女の子は、自分より優れた者に過敏に反応するんです。
主人 :あの子が……いや、そんなこと……。頼む、今日は帰ってくれ!
レイディア:落ち着いてください。悪いのは全て魔神です。
フィーエル:あう。魔神が、悪い。
トゥエリ :早く解放してあげないと、ろくなことになりませんヨ。
キャンディ:わたしたち、荒事には慣れてるんだよ。
マリア :我が一肌脱ぐと言っておる。ありがたく受けぬか。
ディース :俺ら、上位魔神でも殺せるぜ?
カトレア :流れのフェネス神官を信じてくださいって。
主人 :……お願いします。娘を助けてください!
ベス :話は聞かせてもらいました。
G M:暗闇からぬっと人影が。街の入り口にいた司祭ですね。
ベス :至高神ファリスのしもべ、エリザベート・テイラー司祭です。
夜のお祈りで、「祭に邪悪あり。看過することなかれ。」との
ファリスの神託を受け、情報を収集して参りました。
聞けば、明日の催しの中心人物が次々に……。
G M:さえぎらないと延々続きますが?
カトレア :んー。夜から始めた割には、到着が早いですねー。
ベス :故買屋の娘が怪しいに決まっているでしょう!(きっぱり)
主人 :私は何を言われてもいい。だが、娘のことは悪く言わないでもらえるかな?
ベス :いいえ。邪悪の子は邪悪です!(きっぱり)
主人 :それに、ファリス神官ならダール様に……。
ベス :私は司祭ですっ! その話は聞きたくもありません。
まったくこの街のファリス神殿ときたらこのような邪悪な商売を知りつつも、
成敗しないどころかあまつさえ黙認しようという……。なんたる有様。
腐っている。いつか天罰が下ります。嘆かわしい。
ああ、まったくもって嘆かわしい……。
トゥエリ :(故売屋は、必要悪という見方もできますからね。)
レイディア:私ら、先に行っていいっすかねぇ?
ベス :魔神の存在を知ったからには、この私がファリスの威光をもって……。
カトレア :精神力は補充してきましたか?
ベス :まったく……この街には魔法を使える神官がろくにいやしない……。
カトレア :言い方を変えましょうか。魔法が使えなければ死にますよ?
ベス :自分の身を守る程度には使えますっ!
それに、正義を全うして死ぬなら本望というもの!
キャンディ:失敗したら、魔神が街に放たれるんだよ?
ベス :正義のためなら、多少の犠牲はつきものです!(きっぱり)
レイディア:(小声で)この人、アレだよね?
トゥエリ :(小声で)はい。アレデスね。
マリア :(小声で)アレであるのう。
ディース :お前、頭おかしいんじゃね?
レイディア:ちょ、ちょっと! ストレートすぎっ!
ベス :ファリスの司祭である私の頭がおかしいというのですか?
キャンディ:さっきの話だと、この街の別の司祭は、おかしいんじゃない?
ベス :くっ……しかし、私は正義です!
ディース :ひとつ聞くけどよ……お前の正義は悪に負けるのか?
ベス :正義は必ず勝ちます!
ディース :なら勝て。絶対に勝ってこの街を救え! 犠牲も出すな。
お前の正義を全うするんだ!
ベス :わかりました。旅の戦士よ、名は。
ディース :人は俺をこう呼ぶ。放浪の最強魔法戦士ディースと。
ベス :放浪の最強魔法戦士ディース。覚えておきましょう。
レイディア:(……やばい。センスいまいちなのに、今きゅんってなった……。)
カトレア :司祭様、先頭をお願いします。敵は精神攻撃を使いますよ!
ベス :冒険者たちよ。ファリスは去るものを追いません。
しかし、一片の正義を愛する心があるのなら、ついて来なさい!
G M:ベスは先頭に立って、雑貨屋に向かいます。
レイディア:(……この女、いつか泣かす……。)
カトレア :危ない! と言ってこの女性の腕を掴みつつ、ポイズン。(ころころ)22。
ベス :(ころころ)17……。
G M:ベスは痺れて動けなくなります。
カトレア :今、そこに黒い腕がっ! きっと魔神ですっ!
マリア :妙な詠唱も聞こえたしのう。
ベス :……お…のれ、魔…神めぇ……。
カトレア :僕も精神力が残り少ないので、呪いの治療はできません。すみませんねー。
レイディア:これ、伝染する呪いかもしれませんので、触れないでください。
ファリス神殿に助力を請うのもやめてください。娘さんが危険になります。
キャンディ:ダールって人にも伝えちゃダメだよ。ファリス同士だからね。
主人 :わ、わかりました!
レイディア:じゃあ、行くわよ。いきなり人質とられてるけどね。
主人 :お願いします。
レイディア:絶対に覗かないように。覗くと娘さんが余計に危険です。
主人 :わかりました。どうか、お願いします!
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