街中のブーランジェ








結局、キャンディが受付から情報を引き出し、
予選通過者の名前と、住所又は定宿がわかります。






キャンディ:チャームなんか、いらないもんね。

ディース :それにしてもこの女、ノリノリである。

レイディア:フアナはほっときましょ。

トゥエリ :では、情報を整理しましょうカ。

G   M:予選通過者はアルフィア、イリュー、ウルク、エッシャー、オーマの5人。
      訴えている症状ですが、アルフィアが発熱など、イリューは異常なし、
      ウルクは気分が悪い、エッシャーは腹痛など、
      オーマは異常なしです。

ディース :見事にあいうえおだなー。

トゥエリ :そこは見逃してあげましょうヨ。

キャンディ:異常がない子が犯人だねっ。

レイディア:いや、裏をかいてくる可能性もあるわ。

キャンディ:でもさ、わたしたちの存在は予想外なんだよ?

トゥエリ :裏をかく価値がなかった、ということデスね。

キャンディ:うん。そういうことだよ。

レイディア:なら、病気の子から順番に調べるわけね。

カトレア :ただの病気だとしても、犯人に気取られにくいですしねー。

マリア  :ハズレならハズレで困らぬというわけじゃな。

トゥエリ :誰から行くのがいいデスかね?

フィーエル:レイディアさん、決めて。

レイディア:アルフィアよ。私と名前ちょっと似てるし。

ディース :似てるか?

G   M:アルフィアの家は町の一角にあります。何の変哲もないパン屋ですね。
      店にはなぜかマイリーの聖印が掲げられていますが。

ディース :戦うパン屋なのか?

パン屋  :いらっしゃい。でも、もう店じまいだよ。

レイディア:祭のコンテスト受付の方から来ましたー。

トゥエリ :(嘘は言ってませんね。)

パン屋  :ああ。アルフィアは熱出して寝てるよ。

レイディア:実は、私もコンテスト参加者なんです。病気はこちらの神官が治しますから。
      噂のアルフィアさんと、正々堂々戦いたいんです!

パン屋  :その心意気は嬉しいが、うちにはそんな金はないよ。店見たらわかるだろ?

レイディア:もちろん無料です!

パン屋  :篤志家だね。みたところマイリーではないようだけど……?

カトレア :フェネスです。こちらの女性は精霊使いです。

キャンディ:よろしくねっ!

パン屋  :こ、これは強敵だなぁ……。ま、出られないのも困るから、頼むよ。






結局、レイディア、カトレア、キャンディの3人が奥に通されます。






G   M:アルフィアは、目のぱっちりした美少女ですね。
      光の下ではなお映えるであろう明るい茶色の髪も印象的です。
      ベッドで寝ていますが、そんなにやつれてはいません。

アルフィア:ううー。頭が痛いー。頭が熱いー。

カトレア :……これ、「ケ」で始まる病気じゃないですか?

キャンディ:精霊力はどうかな?

G   M:まったくの健康体です。強いて言うなら、恐怖の精霊がやや強い程度。

レイディア:当然、センス・ライは使ってるわけだけど。

G   M:はい。頭が痛い、頭が熱いというのは全くの嘘です。

レイディア:……だそうよ。

カトレア :んー。「ケ」ですねー。

キャンディ:どっかに行かなきゃいけないときに限ってかかる、謎の奇病なんだよ。

カトレア :はじめまして。僕はフェネスの神官です。

G   M:嘘ですね。

レイディア:それはわかってるから。

カトレア :事情を話してくれれば、あなたの恐怖を取り除くことができるかも
      しれませんよ? さあ、勇気を出して話してくれませんか?

アルフィア:……。

レイディア:……私には、好きな人がいるわ。
      その人に認めてもらうために、コンテストで優勝したい。
      でも、あなたがいないコンテストで勝っても、本当の勝ちじゃない。

G   M:最後の一文が嘘ですね。

レイディア:わかってるわよ!

アルフィア:……私も同じ。ジャッシュに私のことだけ見てもらいたい。
      そのために、勝ちたかっただけなのに……。

G   M:女の子は泣き出します。

レイディア:その気持ち、わかるわ。……何があったの?

アルフィア:……し、死神に脅されたの。……私に出場するなって。

キャンディ:魔法の幻覚かな?

アルフィア:そんなんじゃない! 死神からの手紙も、ほら!

G   M:アルフィアが差し出した羊皮紙には、こう書かれています。
      「アルフィアが出場しませんように。」
      1枚の羊皮紙が、その言葉でびっしりと埋め尽くされています。

レイディア:一般人にはそれだけで怖いわね。ちなみに、何語?

G   M:西方語です。この辺一帯で使われている言語ですね。

レイディア:はぁ!?

キャンディ:死神は、手紙を持ってたの? 置いてったの?

アルフィア:持ってた、と思う。……あ、片手が鎌みたいだった!

レイディア:片手が鎌?

G   M:では、セージチェックを。

レイディア:(ころころ)16

キャンディ:(ころころ)14かー。

カトレア :(ころころ)んー。9ですね。

G   M:レイディアにはわかります。ガランザンですね。
      契約した人間に自分の魂を預け、その間に倒しても何度でも蘇るという
      下位魔神です。魂を預けられた人間を殺すか、
      昏倒させるかすれば強制的に実体化し、他の人間に魂を預ける前に倒せば
      復活しません。なお、モンスターレベルは8です。

レイディア:ガランザンに間違いないわ。特殊能力以外はザコね。

キャンディ:よくわかんなかったよ。もっと勉強しなきゃ。

レイディア:安心して。死神は私たちが倒すわ。明日の準備だけしといて。

アルフィア:……でも……。

レイディア:勇気を出して。ジャッシュのこと、好きなんでしょ?

アルフィア:……わかった。






カトレア :治りましたよ。精神的なものだったようです。

パン屋  :そうか。ありがとう! パン持ってくか?

キャンディ:ありがとっ! でも、宿があるから、1個でいいよ。

パン屋  :そうか。何かできることがあったら言ってくれ。

レイディア:では、この羊皮紙に、この神官がアルフィアの病を治してくれました、
      と書いてください。他の参加者と掛け合いやすくなりますので。

パン屋  :お安い御用だ!






レイディアは、少女に聞いた話を、中に入っていない仲間に全て話します。
ここで敵の正体に関するセージチェックを行いますが……。






トゥエリ :(ころころ)15デスね。

ディース :(ころころ)14だ。

フィーエル:(ころころ)13。あうー。

マリア  :(ころころ)本を使わずとも20じゃ。

G   M:トゥエリはガランザンだと思いました。あと、マリア。

マリア  :なんじゃ?

G   M:ガランザン以外の、そのような外見の持ち主に心当たりがあります。
      ガランザンの上位種ではないかとされる、上位魔神のザワンゼンです。
      ザワンゼンのほうが一回り大きい他は、特殊能力はほぼ同じ。
      ただし、強制的に契約を結ぶ際の精神攻撃が段違いに強力です。
      ちなみに、モンスターレベルは12。上位魔神の中でも最強レベルです。

マリア  :ガランザンなどでなく、ザワンゼンではないかのう?

レイディア:確かに、敵のレベル的にはそうね。

キャンディ:危ないとこだったよ。





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