空からくるもの
ディース :じ、爺さんっ!?
トゥエリ :な、何でロマールに!?
フィーエル:あうー。あうー。
フアナ :……おじいちゃん。
マリア :久しぶりじゃのう。我は心が広いゆえ、安心せい。
レイディア:あれって、一応こっちが悪いっぽいしね。
カトレア :んー。どちら様ですか?
ダーゼン :この間は世話になったの。あの後、ロマールに来ての。
フィーエル:あうー。
ダーゼン :名物の闘技場に行ったところ、ワシに熱い視線を送る貴婦人が!
彼女こそワシが守るべき姫であると……。
フアナ :……老いらくの……恋。
レイディア:もういいわ。
マリア :待て。せっかくの縁じゃ。話くらい聞いてやろうぞ。
ダーゼン :お嬢ちゃんは優しいのう。
ディース :姫じゃなくなったのか。なるほどな。
マリア :腐っても貴族であるからのう。ぬしも敬え。
ダーゼン :ワシがつけた傷も治ってるようじゃの。あの時はすまんかった。
マリア :ぬしのおかげで大切なものを見つけられた。気にするでない。
レイディア:わかったから、続けて。
ダーゼン :それでじゃな。姫の目を引くべく、剣闘士奴隷として闘技場に入り……。
ディース :……お、俺の頭を痛くさせるとは、つえーな。
トゥエリ :私もちょっと頭が痛く……。
フアナ :……おじいちゃん……やりすぎ……。
カトレア :あのー。騎士の誇りとか、そういった類のものは……?
ダーゼン :騎士は、退職金もらって引退したからの。
レイディア:で、今は休暇中っすか?
ダーゼン :いや、連勝に連勝を重ねての。気がついたら契約が終わっておった。
フアナ :……おじいちゃんだから……弱いと思われてた……。
ディース :確かに、ゴブリンやオーガーごときなら、この爺さんには勝てねーよな。
ダーゼン :ミノタウロスにも勝ったぞ。
フィーエル:あう。すごい……。
ダーゼン :奴隷は自由がきかぬので引退したが、今ではスターじゃよ。
トゥエリ :簡単そうに言ってのけますネ……。
マリア :姫とはうまくいっておるか?
ダーゼン :交際は順調じゃ。じゃが……。
レイディア:何か問題でも?
ダーゼン :最近、よく魔物に襲われるのじゃ。
ワシが一緒のときだけじゃから、すぐ撃退できるが。
フアナ :……不幸になる、マジックアイテム……?
レイディア:魔物の種類は?
ダーゼン :コカトリス、グリフォン、ワイバーンじゃ。
ディース :ワイバーンって、爺さんより強くね?
ダーゼン :確かに苦戦はしたが、ワシの愛の力には敵わんの。
レイディア:この人、今、何レベル?
G M:熟練の戦士のディース、トゥエリ、フィーエルが話を聞けばわかります。
彼の話に嘘がないという前提に立てば、ファイター8です。
トゥエリ :どうやら、8レベルっぽいデスね。
ディース :へっ。相手に不足はねーな。
レイディア:戦っちゃダメよ。
マリア :8でも、レイディアのブレード・ネットには勝てんがのう。
レイディア:余計なこと言わないでいいから。話を戻すわよ。
フィーエル:コカトリス、グリフォン、ワイバーン。
フアナ :……魔獣ばっかり……。
レイディア:魔獣使いに恨まれてるか、魔獣を呼び寄せるアイテムを持ってるか。
トゥエリ :魔獣使いって、現存しないんじゃないデスか?
フィーエル:あう。センス・マジック。(ころころ)かかった。
G M:ダーゼンの左手薬指。鈍く光る銀色の指輪から、反応があります。
レイディア:鑑定。(ころころ)16。
フアナ :(ころころ)……17。
マリア :(ころころ)14じゃから、事典で。(ころころ)18じゃ。
G M:(ころころ)あとはディースが17で、残りはいつも通りで軒並み低いですね。
マリアのみわかります。2つ揃ったときに魔獣を呼び寄せる呪いの指輪です。
近辺の魔獣の精神に干渉して呼び寄せます。
呼び寄せるだけで操作はできません。
解除方法は二つ。リムーブ・カースで強引に外すか、
発動直後の呪いが弱った段階で外すかです。
マリア :そういうアイテムだそうじゃ。
レイディア:どこで買ったの?
ダーゼン :闇市での。せっかくじゃから、魔法の指輪が欲しいと思うて。
レイディア:効果確かめてから装備しなさいよ!
トゥエリ :しかし、18だと、5レベルに知力+3でも、出目10必要デスからね。
マリア :レイディアすらまずわからんレベルか。作った奴の嫌がらせじゃのう。
ディース :ていうか、俺らのレベルなら、魔獣呼び出しても普通に勝てね?
フアナ :……わたしたちが苦戦する、魔獣……。
マリア :レッサー・ドラゴンとエルダー・ドラゴン。あとはフンババとロックじゃな。
レイディア:それ以外なら勝てる、か。
G M:リムーブ・カースの目標値は20です。
カトレア :8以上を2回連続……不可能ではないですねー。
G M:さて、話しているうちに、宿に来客が。
見たところ、40歳近いおばさんです。上品な貴婦人といった感じです。
ダーゼンと同じ指輪を……。
フアナ :俊足でタックル!
G M:相手は一般人なので、タックルは成功します。
おばさん :ああっ、騎士様ーっ!
マリア :ダーゼンを押さえるぞ。
ダーゼン :……くっ。貴様ら、姫に何をするっ!!? 放せ! 放さぬか!
レイディア:話効いてなかったの? その指輪近づけたら、魔獣が寄ってくるでしょうが!
ダーゼン :案ずるな。最初のコカトリスは、ワシがバルコニーの下におるときに来た。
ディース :お姫様はバルコニーの上ってわけか……ロマンチックだよなー。
レイディア:空気読めよっ!!
フアナ :おばさんの指輪を外す!
G M:すんなり外れました。
おばさん :ああっ!
フィーエル:ダーゼンさんの、指輪、外す。
G M:多少抵抗されますが、外れます。
レイディア:……ってことは、なに?
フアナ :……魔獣……呼び寄せられてる……。
トゥエリ :ここに向かって来るのか、指輪に向かってくるのかわかりませんガ。
レイディア:壁をぶち破られたら面倒ね。依頼人の護衛に1人残して、あと全部出るわよ。
使い魔は全部待機。ブレードネットの私、雑魚を一掃できるフィーエル、
知能が高い相手に先手を取れるフアナ、巨大な敵を想定してマリアは必須。
回復役のカトレアを残すのは論外。あとは2人のうち、どっちかね。
ディース :お前、弱いから残れ。文句は後で聞いてやる。
トゥエリ :仕方ないデスね。任せましたヨ!
G M:では、護衛にトゥエリを残して、あとは出撃ということで。
レイディア:発動時に指輪を装着してた人間を狙う可能性もあるから、
護衛するために、その2人も一緒に出るわよ。お姫様は騎士様が守って。
ダーゼン :わ、わかったから、放せ。
おばさん :騎士様ーっ!
ダーゼン :姫、もう安心ですぞ。
ディース :だから、今から危険だっつーの。
レイディア:言い争ってる暇はないわ。出撃よ!
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