顔のない敵





時刻は9時50分。
食堂には、宿の主人と護衛官2名、1号室の老人、2号室の少女、依頼人のルーシュン、衛視、
その部下。そして、レイディアたちが揃っています。



レイディア:犯人は、ドッペルゲンガーです。

G   M:(ころころ)レイディアたちと、推理のときに一緒にいた少女と依頼人以外は、
      全員知らないようです。衛視も知らない様子ですが、
      彼に動揺はみられません。

レイディア:犯人は、被害者の脳を食べることにより、その姿を記憶を受け継ぎ、
      また、自我に脳の影響を受けます。
      要するに、被害者の記憶に流されることがあるのです。

老人   :そのような話は聞いたことがないぞ。

フアナ  :……おじいちゃんには……心当たりがあるはず。

老人   :それが、ないのだが……。

レイディア:嘘ですね。あなたは犯人に心当たりがある。
      つまり、壷の正体を知っていますね?

老人   :いや、あの盗賊に預けられただけで、知らん。

レイディア:嘘ですね。正直に答えてください。

老人   :……魔神を召喚する壷じゃ。

フアナ  :……だから、この不可解な事件に、魔神が関わってるって……感じていた。

老人   :……そうじゃ。

レイディア:話を戻しましょう。その壷で召喚された魔神は、召喚者の盗賊の頭を
      ひと飲みにしました。これにより、彼の姿と記憶を得ます。

ルーシュン:首が無いのは、どこかに持ち去られたわけではなかったのですね。

マリア  :そうじゃ。あの首の傷は、食いちぎられた跡じゃしのう。

レイディア:私たちは嘘を発見する魔法を使い、
      彼が犯行に関わったか否かを問いただしました。
      しかし、彼はそれをすり抜けます。
      彼は、今の自分が前の自分を殺したことを、覚えていなかったのです。

衛視   :そう考えれば辻褄は合うが、あの盗賊は殺されたぞ!

レイディア:死体の側にあの盗賊の服があったんですね。

衛視   :なぜ知っている!?

フアナ  :……わたしが……外で見た……。

G   M:衛視は部下をにらみます。部下2人はすくんでいます。

衛視   :なら、あの死体は誰のものだ!?

レイディア:正体を現した魔神は、被害者の頭を一口で丸呑みにします。
      出来上がるのは、被害者の記憶に影響された魔神と、被害者の首無し死体。

衛視   :だから、それが誰だと聞いてるんだ!!

レイディア:ここで重要なのは、被害者の服です。
      魔神は姿を映しますから、被害者と同じ服になります。
      被害者の記憶を受け継いだ魔神は、目の前の死体が自分の服と
      全く同じことに気付き、慌てて死体の服を処理します。つまり……。

フアナ  :……死体の服を処理した人間が……犯人……。
      犯人は……(←と言いながら、衛視を指差す。)……お前だっ!

衛視   :なっ!!!?

レイディア:あの死体の服を処理したのは、あなたですね。
      「はい」か「いいえ」で答えてください。

衛視   :ワシが、魔神? なら、本物のワシは?

フアナ  :……路地裏の……首無し死体……。

衛視   :……そうだ。思い出したぞ。ワシはゴーヤマーの神官。
      神の力で、あの盗賊が不自然なほど優秀な魔法使いだと気付き、
      妬ましくて犯人扱いした。そして、尋問した帰りに……
      ……気がついたら、ワシと同じ服の死体があって……ぬおおおおおっ!!

G   M:衛視に化けていたそれは、魔神としての自覚を取り戻し、本性を表します。
      変身は1ラウンドかかりますが。

フィーエル:手筈通り、ルーシュンさんを、避難させる。

G   M:老人は勝手に逃げます。少女は、指示を無視してカトレアの側に。

カトレア :敵は上位魔神です。気をつけてください。

店主   :時間じゃっ。 予定通りっ!!!

レイディア:場に残ったのは、私らと魔神以外、全員暗黒神官っすか……。

G   M:避難完了です。同時に、ドッペルゲンガーが本性を現します。
      身長3メートルほどの黒い巨人で、顔には大きな口だけがあります。
      敵の知力が18なので、行動宣言は敵が先です。
      ブレード・ネットは7人分は無理なので、アシッド・クラウドです。
      自分は毒無効の魔神なのでダメージはありません。

マリア  :1ラウンドもあれば武器は準備できる。グレート・ストライクじゃ。

レイディア:マリアの精神力で・シャープネスを前衛3人に。

フアナ  :……ライトニング。

トゥエリ :移動攻撃です。

ディース :俺が決めてやるぁ!

フィーエル:あう。攻撃。

カトレア :敏捷度0のキュアー・ウーンズ×8で。

少女   :剣で切りかかりますっ!

G   M:では、敏捷度順に処理しましょう。

フアナ  :(ころころ)……19で抵抗された!? ……強いっ!

レイディア:さすがは上位魔神ね。

フアナ  :(ころころ)……でも、4点は通した。

マリア  :グレート・ストライク! (ころころ)ぎりぎり当たりじゃ。
      ダメージが(ころころ)11で回った、(ころころ)10で回った、
      (ころころ)10で回った、(ころころ)11で回った、
      (ころころ)6で止まったのう。合計82点じゃ!

G   M:皮膚で14点も止めますが、68点通りますね。
      敵の初期生命点の実に2倍以上のダメージ。そして、生命力が−38……。
      投げられた剣が敵の大きな口に刺さり、そのまま魔神ごと飛んでいきます。
      剣は魔神ごと壁に刺さって止まり、魔神はそのまま動かなくなります。
      明らかに死んでますね。

少女   :なっ、なっ、なんなんですかっ!!! ……上位魔神を……一撃っ!?

宿の主人 :……ほう。

ディース :おいマリア。俺の出番も残しとけよ!

マリア  :チャンスはまた巡る。それまで精進せい。

ディース :へいへい。わかったよ。





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