侵・隣室
さて、盗賊は相変わらず1階のロビーにいます。
ここで、入り口を見張っていたエートが、商人が帰ってきたことを伝えます。
レイディア:センス・ライ! (ころころ)成功。ついでに、あの人にも聞いとくわよ。
ディース :とりあえず、また女3人で頼む。
フアナ :……ラジャー……リノ……連れてく……。
カトレア :僕たちは部屋に戻りますから。
G M:では、女性3人は、階段を上ろうとしている商人に追いつきますね。
カトレアと少女はその横を抜けていきます。
レイディア:1人で帰ってきたんですか?
商人 :ええ。帰ってもいいと言われましたから。
レイディア:ええ。そうじゃないと帰れませんよね。あの役人に許可されて帰ったと。
商人 :はい。そう言っていますが?
レイディア:ええ。まさか、役人の身辺に危害が加えられたりとかはないでしょうし。
商人 :一介の商人の私には、そんな大それたことなんてとても……。
レイディア:ええ。あの人が帰ってこない件に、あなたは無関係ですからね。
商人 :もちろんですとも。
レイディア:ええ。そもそも、あなたは4号室の件にかかわっていませんからね。
商人 :はい。そう言ったのですが、なかなか信じてもらえませんで。
レイディア:そうですね。第一、被害者の身元に心当たりもないですし。
商人 :そうです。それなのに疑われるとは、悲しいものですね。
レイディア:わかりました。お時間をとらせて申し訳ありません。
G M:商人はそのまま階段を上っていきます。
1号室を見張ってるツクヨミの前を通り過ぎて、
先程2人が戻ったばかりの2号室に入りますね。
ディース :2号室? あの2人と約束でもしてたのか? 一応伝えとくか。
トゥエリ :どうしたんデスか?
ディース :いや、あの2人の部屋に商人が入ったんで、一応報告を。
トゥエリ :リノが聞いてましたが、あの商人、まずいデスよ。早く伝えて下さい!
ディース :なにっ!? 行ってくる!
フィーエル:ぼく、おるすばん。
トゥエリ :ルーシュンさんは2人で守りますから!
G M:一方その頃、女性陣。
フアナ :……商人が……あの役人になんかして……帰れなくした。
レイディア:殺したか、拉致したか。とにかく、危険人物ね。
マリア :しかし、それなのに首無しの件にかかわっておらぬとは。
G M:このタイミングで、ディースが1・2・3号室の階段下に到着します。
ディース :大変だ。商人が2号室に入った。
レイディア:カトレアが危ないわね。助けにいくわよ!
フアナ :……おそらくは……闇司祭……。
G M:ここで、誰が2号室に向かうか、宣言してください。
レイディア:私とフアナとマリア。ディースはエートとここで待機。
リノは私が連れてく。ツクヨミは1号室を見張ったまま。以上。
G M:わかりました。2号室への到着までは12ラウンドかかります。
2号室の中を先に処理しましょう。
カトレア :鍵をかける前に開けるとは、無粋な人ですねー。
少女 :この人、怖いです。
商人 :いえ、お二人に、ぜひともお見せしたいものがありましてね。
G M:と言いながら、商人はさりげなく2人の肩に触ろうとしますが。
カトレア :当然かわしますよ。暗黒司祭ですから。
少女 :避けます。
G M:2人同時に触ろうとしていたので、簡単に避けられます。
商人は驚いた表情を浮かべていますが。
カトレア :(笑顔で)ポイズン、ですよね?
G M:お互い接触できる距離です。敏捷度順の処理ですが。
カトレア :毒には毒ですかねー。ポイズンの麻痺毒を。(ころころ)21です。
G M:(ころころ)抵抗16も出てるんですが、相手が悪いですね。
痺れて倒れます。
少女 :ありがとう……ございます。
カトレア :あの時は守れませんでしたからね。
少女 :………………。
カトレア :あなたの罪じゃないですよ……どうします、これ?
少女 :まず、何をしようとしていたのかを調べないと。
G M:外からノックの音が聞こえます。駆けつけたレイディア一行のようですが。
レイディア:大丈夫ー? 開けていいー?
カトレア :大丈夫ですから少し待ってください。
少女 :……もう、戻るんですね。
カトレア :んー。結局、傷の舐め合いでしたね。
少女 :でも、私は忘れませんから……。
カトレア :僕もです。
少女 :ミゴリの加護を。
カトレア :あなたにも。
レイディア:おーい。開くんでしょ? 開けるわよ?
カトレア :こちらから開けますよ。
G M:カトレアは扉を開きます。
レイディアたちが見たのは、床に倒れている商人の姿でした。
レイディア:ちょ、ちょっとこれ!?
G M:たいした物音は立てていませんが、1号室の老人が扉を開けて出てきます。
そして、2号室を覗き込んで、納得顔で自室に戻りますね。
カトレア :なるほど。そういうことですか。
あの老人もおそらく暗黒神官でしょう。
フアナ :……も?
カトレア :ここに倒れている男は、僕が麻痺させた暗黒神官です。
フアナ :……どうしてわかるの?
カトレア :んー。フェネスのお導きです。
G M:嘘ですね。レイディアにはわかります。
レイディア:しまった。センス・ライがまだ切れてない!
マリア :違うぞ。カトレアは法に触れることは何もっ……!?
G M:嘘ですね。レイディアにはわかります。
レイディア:マリア。後で話があるわ。
マリア :……ぬかったわ。勘弁せい。
カトレア :あ、聞き込み中でしたか。参ったなー。
レイディア:……とりあえず、謝っとくわ。
カトレア :いえいえ。お構いなく。
レイディア:……こっちで、午後10時に犯人がわかるって情報を得たんだけど。
カトレア :犯人がわかったんですか?
レイディア:予言のようなものよ。
カトレア :それ、確かなんですかねー?
少女 :聞いたことがあります。おそらく、相当程度確かな情報でしょう。
レイディア:その男が仕掛けてきたみたいに、固まってないと危険なことは確かよ。
カトレア :違いないですね。彼女も一緒にいいですか?
レイディア:いいわ。名前は?
カトレア :僕がややこしいので、それはナシにしましょう。
レイディア:仕方ないわね。とりあえず、それは?
カトレア :フェネスの裁きで……おっと。嫌な魔法ですね。
G M:嘘です。
レイディア:嘘ね。でも、仲間を疑いたくないし、嫌なことはしゃべる必要はないわ。
カトレア :そいつは、さりげなく、こちらを麻痺させる魔法を使ってきました。
フアナ :……それは暗黒魔法で……こいつにかかってる魔法?
カトレア :お答えできません。
レイディア:暗黒魔法って、どういうことよ!?
カトレア :お答えできません。
G M:そこで、少女が前に出ます。
少女 :私は暗黒神官なんです。宗派は、ミゴリ。
G M:嘘ではありません。
レイディア:……元々、フェネスじゃなかったわけね。
少女 :はい。
カトレア :その辺でいいんじゃないですか。それより、こいつを何とかしましょう。
マリア :麻痺しておるだけじゃから、意識はあるのう。
レイディア:マリア、本を使うのよ。ある程度削ったら、カトレアの剣で吐かせるわ。
フアナ :……目を閉じたら……無理やり開けさせればいい……。
カトレア :ははは。皆さん、拷問吏になれますねー。
G M:最初の一撃は抵抗されてダメージゼロですが、彼にとって不利益な内容が、
開かれたページいっぱいに浮かびます。見ますか?
レイディア:もちろんよ。
G M:かいつまんで説明すると、彼は、ニルガルという暗黒神の高司祭のようです。
まだただの商店主だった頃、思いを寄せている相手が教団により
食物と判断され、教団に拉致されました。
その際、部下を引き連れて監禁現場に赴いたところ、
×××××××××××××××××××××。
××××××××××××××××××××××、××××。
××、×××××××××××××××××××××××××××、
××××××××××××××、×××××××××××××。
というのが入信の動機であり、彼の心的外傷となっています。
レイディア:……さすがにちょっと気持ち悪いんすけど。
フアナ :……首ちょんぱより……効くね。
カトレア :んー。なかなかに壮絶な方ですねー。
少女 :復讐すべきですよっ! 何でそんな奴らの仲間になったんですかっ!?
フアナ :……それより……ニルガル?
レイディア:正確な名前がわかってれば、大抵のことは調べられるわよね、その本。
マリア :ならば、「ニルガル」で調べるか。(ころころ)19じゃ。
G M:人が生まれながら持つ役割を果たすことを尊ぶ邪神です。
その役目には食物も含まれており、教義上食人を肯定しています。
また、人間以外の種族を激しく嫌います。
マリア :ファリスよりろくでもないのう。我は関わりとうない。
レイディア:なら、本は私が使うわ。フアナ、目を閉じさせないようにして。
フアナ :……了解。
結局、マリアが数回本を見せた後、カトレアの剣で1点ずつ傷つけて誘惑します。
カトレア :事件について、知っていることを全て教えてください。
商人 :犯人も、被害者も、わからない。
カトレア :では、他の人間について知っている情報を。
商人 :1号室のは忌物。弱そうなので機会があれば殺しても構わないと思った。
レイディア:忌物?
G M:先程、事典のニルガルのページに書いていたのを見ました。
忌物というのは、最低ランクの階級。早い話が、どう扱ってもいいゴミです。
人間以外と、他宗派のプリーストは全て忌物になります。
マリア :最悪のクズ宗教じゃのう。
フアナ :……はやく……人間になりたい……。
レイディア:つまり、判定できるわけね。
G M:そうです。そういう特殊暗黒魔法があります。
カトレア :暗黒魔法は、堂々と使っても案外露見しませんからねー。
商人 :2号室のは忌物。一番弱そうなので連れ去りたいと思った。
少女 :私が1人でいたら、危なかったかもしれませんね。
カトレア :んー。僕に仕掛けてくるとは、勇気がありますねー。
商人 :今にして思えば間違いだった。こんな素晴らしい人が忌物な筈がない。
カトレア :そうですよ。僕ら親友ですからねー。
商人 :4号室は、導き手を目指すものだったのが、忌物となった。
レイディア:何それ。判定はころころ変わるわけ?
商人 :この女を黙らせてくれないか?
カトレア :そうですね。わかりました。その判定は、通常変わるものなんですか?
商人 :ニルガルの選別は絶対であり、二度と変わらない。
カトレア :つまり、あの盗賊は、1日目と2日目で、別の人物だと?
商人 :そういうことになる。
G M:誘惑されてるから当たり前ですが、ここまでの発言に、嘘はないです。
フアナ :……オーラは……普通だったけど……。
レイディア:どうやって入れ替わったのよ!?
商人 :黙らせてくれ。
カトレア :悪かったですね。では、二度と変わらない判定を、なぜ2度行ったのですか?
商人 :あんな下品な人間が私より上の階級だなどと、納得できなかった。
カトレア :わかりました。
レイディア:リノに向かって、こっそりセンスマジックであの盗賊を見るよう指示。
トゥエリ :(遠くから)了解しました。
カトレア :では、次お願いします。
商人 :宿の主人は忌物。
ただ、あの職業は荒くれ出身が多いから、手を出したくはない。
フアナ :……また……忌物……。
少女 :時間にこだわることから、おそらく、ご主人はリアセフォーの神官です。
先程の予言もご主人のものでしょう。ですから、忌物になるのは当然です。
カトレア :リアセフォー?
マリア :本を貸せ。その名で調べるぞ。よいな。(ころころ)成功じゃ。
G M:リアセフォーとは、予定を司る神ですね。
簡単に言うと、この世で起こることの全ては予定されているという教義です。
レイディア:さすがはファンドリアね。変な宗派の神官がごろごろいるわ。
カトレア :変な宗派って……。
マリア :ぬしには関……なんでもない。
G M:なんでもないという部分は嘘です。
レイディア:ついでにミゴリも調べて。
マリア :仕方ないのう。(ころころ)成功じゃ。
G M:ミゴリとは、恨みと復讐を司る神ですね。
簡単に言うと、やられたら倍返し的な教義です。
フアナ :……復讐……。
レイディア:…謎が解けたわね……マリア、どうして隠してたの?
マリア :カトレアと一緒にいられなくなると思うて……。
レイディア:気付いたのはいつ?
マリア :本で色々調べておるうちに、偶然……。
カトレア :ははは。参ったなあ。
レイディア:約束、覚えてるわよね?
カトレア :………………。
マリア :何を呆けておる。
レイディア:犯人を捕まえるのに協力するって話よ。
カトレア :……そんなこともありましたかねー。
レイディア:とにかく、約束は守ってもらうから。
カトレア :んー。では、それまで共闘といきましょうか。
フアナ :……よろしく……色男。
結局、商人はカトレアの提案により、自首させることにしました。
チャームはかかったままですが、念のためにレイディアのギアス(2回目で成功)により、
「ニルガル以外の宗派に言及してはならない」との禁止命令を与えます。
G M:商人は、外にいた衛視の手下により、連行されていきます。
数時間後、教団の秘密基地となっていた商人の店に捜索の手が入り、
拉致監禁されていた衛視が無事保護されました。
フアナ :……僕は……死にましぇーん……。
G M:商人は捜査に対して全面的に協力していますが、
4号室の件に関しては、知らぬ存ぜぬの一点張りのようです。
そして、帰ってきた衛視は、職務熱心にも、次の容疑者を連行していきます。
連れて行かれたのは、盗賊ですね。
レイディア:まあ、あいつの尋問は終わってるからいいわ。
フアナ :……いまのうちに……あいつの部屋を……。
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