闘球せい








女子からの宣戦布告は、寮全体を巻き込む騒ぎに発展します。
もちろん、男子としてはここで退くわけにはいきません。
結局、男女の代表による紆余曲折の話し合いの末、ルールが決定されました。






■ルール概要



基本はチェス+ドッジボール。

参加者は1チーム16人。各自に各駒の役割を割り振る。

1ターンごとに攻守交替。その裏返しとして、攻守交替すれば1ターンが経過している。

ボールが相手方に移動した場合、その時点で攻守交替とみなす。

1ターンは1分とする。従って、18ラウンド持続する魔法は、3ターン持続する。



■攻守について

1ターン目は先攻の攻撃から始まり、以下、1ターンごとに攻守を交代する。

攻撃側は、主行動と副行動を行える。

守備側は、副行動を行える。

攻撃側の主行動が終わり、その直後ボールが地面上で静止した時点で1ターン経過とし、
攻守が交代する。

それ以外に、6ラウンド経過により1ターン経過とし、攻守が交代する。

攻撃側と守備側の双方がボールを所持していない状態で攻守が交代した場合、審判により、
新しい攻撃側のキングにボールが渡される。

守備側がボールを保持し、かつ、攻撃側がそのボールに触れていない場合、
その瞬間に攻守が交代する。



■主行動について



1ターンの主行動として、1つの駒のみが以下の選択を取れる。

・駒を進める

 自分の行ける場所に進む。
   →相手の順番に移る。

・ボールを投げる

 自分の行ける場所にある敵の駒にボールが当たれば、その駒を取り除き、
 敵の駒があった場所まで進む。
   →相手の順番に移る。

 ボールが当たった駒に、アウトが宣言される。
   →相手の順番に移る。

 ボールが当たらなければ、駒を取り除けないし、投げた者も動けない。
   →相手の順番に移る。

・上記の選択を取らず、主行動をパスする。
   →相手の順番に移る。



■副行動について



1ターンの副行動として、時間内であれば、全ての駒が無制限に以下の選択を取れる。

・仲間と相談する。

・自分の現存する枠内で動く。

・持っているボールをパスする。

・自分のマス内で移動する。

・自分のマス内で姿勢を変える。

・魔法を使用する。



■アウトについて



ボールを投げた攻撃側の駒の進路上で、
守備側の駒がそのボールに当たれば、アウトになる。

なお、攻撃側の駒の進路は、守備側の駒に遮られない(つまり、貫通しうる。)。

一度に守備側の2つ以上の駒がボールに当たった場合、
当たった駒のうち、ボールを投げた攻撃側の駒の進路上にある駒が
全てアウトになる(つまり、ダブルヒットあり)。

ボールを投げた攻撃側の駒の進路上にある当てられた駒は、
ボールが地面に触れた時点でアウトになる
(つまり、敵でも味方でも、誰かがノーバウンドでキャッチすれば、セーフ。)。

いずれの場合も、誰かをアウトにするには、
ノーバウンドでボールを当てなければならない。

投げた球が誰に当たった場合であっても、そのことをもってバウンドとみなさない
(誰かに当たっても、地面に落ちるまではノーバウンド)。

頭部の前面半分にボールが命中した場合。その者はアウトとならない(顔面セーフ)。

審判が目視不可能な場所でボールが命中した場合、その者はアウトとならない。



■人員について



女子が白軍、男子が黒軍である。

白軍は女子寮生全員から各自選抜する。黒軍は男子寮生全員から各自選抜する。

その他に、助っ人枠が用意されており、男子は3人まで、女子は2人まで助っ人を
参加させることができる。助っ人は、その性別以外は一切不問である。

助っ人に費用が必要な場合は、自己負担とする。



■装備について



鎧はクロース以下。マジックアイテムの使用は原則自由だが、以下の制約を受ける。

形状が武器、形状が鎧、効果が直接攻撃系、効果が精神攻撃系のものは使用禁止。



■ゲーム開始について



助っ人が1人少ないことの見返りとして、先攻の権利は女子に与えられる。



■反則について



自分のいる枠を出て、進行可能な枠に侵入した駒は、
自軍が主行動を行える状況である場合に限り、主行動を行ったとみなす。

そうでない場合、その駒は反則となり、ゲームから取り除かれる。

自分のいる枠を出て、進行不可能な枠に侵入した駒は、
反則となり、ゲームから取り除かれる。

使い魔の使用は一切禁止である。

使い魔を使用した駒は、反則となり、ゲームから取り除かれる。

攻撃魔法の敵軍に対する使用は、一切禁止である。

パペット・ゴーレムの使用は、一切禁止である。

装備品とボール以外の道具の使用は、一切禁止である。



■数値的なルール



範囲魔法は、3×3マスに効果を及ぼす。範囲をずらすことは可能だが、縮小は不可。

接触魔法は、命中判定に成功すれば、隣のマスにかけられる。

その他の魔法は、1マスの大きさが2×2メートルであることを基準に判断する。

魔法の到達距離は、縦か横1マスごとに2m、斜め1マスごとに3mと計算する。
(つまり、縦に4マス横に2マスの位置に魔法をかける場合は12mと計算し、
 斜め3マスの位置に魔法をかける場合は9mと計算する。)

透明の敵に対する攻撃は、姿は見えなくても必ず枠内に存在することから、
攻撃側は−2のペナルティで攻撃を行える。
(その他、行動の時点で目標が視認できない場合も同じ。)

闇の中からボールが飛んできた場合、−2のペナルティで回避を行える。
もっとも、標的が動ける場合は、それを見ることのできない攻撃側も
−2のペナルティを受ける。

ダメージを受けた場合、マジックアイテム以外の服の防御力は、防御力2として考える。

魔法に集中している間は、回避不能。(集中を解いた時点で回避可能になる。)

ボールが当たった時点で、集中は途切れる。



相手との距離によって、命中精度が異なる。
相手とのマス数に応じて、攻撃者は攻撃力に以下の修正を受ける。

1マス……+2  2マス……+1  3マス……±0  4マス……−1 
5マス……−2  6マス……−3  7マス……−4  8マス……−5 
9マス……−6 10マス……−7 11マス……−8 以下同じ割合。

斜めに狙う場合、1.5倍のマス数として計算する(端数切り上げ)。

上空から縦か横方向のマスを狙う場合、1.5倍のマス数として計算する(端数切り上げ)。

上記2つが重畳した場合、2倍のマス数として計算する。

ナイトの攻撃可能範囲内は、標準で2マスの距離とみなす。

その他、間にある障害物1枚ごとに、攻撃に−2の修正。

ただし、いかなる場合であっても、攻撃側の達成値が10なければ、

目標にボールが届かない。(目標にキャッチされることもない。)



ボールが当たったことによるダメージはない。

例外的に、顔面に当たった場合、打撃力10+攻撃者の追加ダメージを受ける。
顔面は急所であるため、クリティカル値は9となる。
顔面に当たる確率は、回避に失敗した場合、1Dを振って6分の1の確率。

その他、正面から来るボールは、わざと顔面で受けることもできる。

軌道上に2人以上いて、前の誰かがボールに当たった場合、ダブルヒットの確率は、
6分の1。(回避やキャッチを試みることはできるが、眠っているなど無防備状態であれば
それすら行えず、さらに、ダブルヒットの確率は6分の2になる。)



■狙われた者は、以下の行動を取れる。



狙われた者が以外が行う場合は、その者がボールの進路のマスか、
それに隣接するマスにいることが必要であり、隣接するマスの場合は、
下記に−2の修正がかかる。

回避専念……回避力に+2。

キャッチ……回避力の代わりに、攻撃力を使って判定できる。
      成功すれば、ノーバウンドでボールをキャッチ。
      キャッチされた側は、直後の攻撃に反応する余裕がない。
      キャッチした直後に投球直後の者に反撃すれば、回避力−2。
      (キャッチしようとする場合も、同様にペナルティー−2。)

いずれの場合も、失敗すればアウトになる。

レシーブ……回避力の代わりに、バレーボーラー技能+器用度ボーナスを使って
      判定できる。成功すれば、レシーブされたボールが自分の上空へ。
      −4以内の失敗であれば、ランダムで周囲1マス以内の味方の場所に
      飛んでいく(味方がいなければボールはそのまま落ちる。)。
      いずれの場合も、新たにサイコロを振り、1ゾロ以外はキャッチに成功する。
      近接するマスに敵がいれば、ボールの奪い合いになるかもしれない。
      その場合、冒険者レベル+敏捷度ボーナスでの振り合いとなる
      (自分のいるべきマスで無い側に、−2のペナルティ)。
      同点の場合、勝負がつくまで、冒険者レベル+筋力ボーナスで
      振り合うことになる。

顔面ブロック……回避を試みず、顔面でボールを受ける。
        ダメージを受けるものの、アウトにはならない。
        ただし、回避ロールで1ゾロが出た場合は、
        ダメージ素通しの上に、顔面で受け損なったことになる。



■狙われた者以外は、以下の行動を取れる。



前向きブロック……前を向いてボールの軌道上に立ちふさがる。
         狙われた者のボールに対する判定に+2。

3分の1の確率でボールが顔面にヒットし、ダメージを受ける。

後ろ向きブロック……後ろを向いて、後頭部をガードしつつ、ボールの軌道上に
          立ちふさがる。狙われた者のボールに対する判定に+1。
          他の者の指示を受けなければ、状況に即応することは難しい。



■その他



プッシング……隣接するマスに存在する双方が同意した場合、
       冒険者レベル+筋力ボーナスの振り合いによる押し合いを試みることができる。
       達成値に4以上の差がついた場合、自分のいるべきマスから押し出される。

パスカット……相手側のパスをカットすることもできる。
       ただし、パスした側の進路上であれば、それが攻撃とみなされ、
       パスカットを試みた者がアウトになる可能性もある。
       いかなる場合であれ、キングからの最初のパスはカットできない。
       (もちろん、キングがパスでなく攻撃に出た場合、
       そのボールをカットすることは可能である。)






議論は紛糾し、上記のルールに決定したのは、試合の前日でした。
双方の軍は、ルールを持ち帰り、会議に入ります。





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