ドッジが好き? 女王様と子悪魔








G   M:さて、ある日、カトレアに神の啓示が舞い降ります。

カトレア :んー、なんでしょう?

G   M:『ときはちかい。そのときまでいまのつれとともにあれ。』だそうです。

カトレア :では、過去を詮索してこないトゥエリさんに接近しましょうかねー。

G   M:さて、そんな啓示とは裏腹に、しばらく何も起こりません。

カトレア :でも、期待して、しばらく付き合いをよくしないといけないんですよねー。

G   M:そういう日常です。一方その頃、寮では。

ローディス:……という訳で、レイディアたちがいないと、越境が増えるんだよ。

リコリス :たいへんだねー。

ローディス:窓から干している服を盗まれたり、廊下でスカートをめくられたり。

レイディア:あ、あいつらは、子供か……。

アリエル :服なんて、また買えばいいさ。

リコリス :いぬさんのごはんが、買えなくなるよー。

アリエル :僕が小さい頃の服が余っているんだけど、サイズを合わせてみるかい?

リコリス :ありがとー。でも、私は取られてないよー。

レイディア:ていうか、私の服があんたにどう使われてたか想像すると、寒気がするわね。

アリエル :ははっ。レイディアも喜んでくれていたじゃないか。

レイディア:そりゃ、自分で縫った服なのに貴族の服と交換とか、絶対食いつくでしょ!

レミィ  :大きさが合わないのです。合ったのは不自然すぎると思うですが……。

レイディア:何が言いたいのよ! こいつだって、昔は貧相だったかもしれないでしょ!?

アリエル :物心ついた頃から、完璧なプロポーションをキープしているけど。

レイディア:んなわけあるかっ!!

ローディス:そろそろ、話を戻したいんだけど。

レイディア:あ、ごめん。気持ちはわかるけどさ、そんなの昔からでしょ?

レミィ  :レイディアは男と馴れ合いすぎなのです。

レイディア:ふん。魅力がありすぎるのも困ったもんね。

レミィ  :何が言いたいですか?

アリエル :やめなよ。お互い抱き合えば、だんだんと愛しくなってくるから。

レイディア:それ、あんただけだから!!

レミィ  :い、や、で、す!

ローディス:お願いだから、これ以上寮の問題を増やさないでよ。

リコリス :たいへんだねー。

アリエル :僕の恋人たちは、被害を受けていないようだけど?

ローディス:あいつらも馬鹿じゃないから、その辺は心得てるみたいなんだ。

レイディア:部屋に忍び込んでアリエルがいたりしたら、洒落にならないしね。

レミィ  :怒ったら、アリエルが一番怖いと思われてるからです。

アリエル :心外だなあ。レミィも同類だし、レイディアの方が強いっていうのに。

レミィ  :ここのみんなは知ってるとはいえ、同類扱いするなです!

レイディア:まあ、私の優秀さは誰もが認めるところだけどね。

ローディス:その優秀さを見込んで、お願いしてるんだよ。

レイディア:いや、断ったりとかはないけど、ちょっと方法を考えないとね。

レミィ  :各個撃破では、限界があるのです。

レイディア:栄光の四人は名誉職だから、情報は持ってても、命令はできないし。

アリエル :その情報を使って、うまくやるんだよ。

レイディア:前から気になってたんだけど、貴族に生まれて、何の不満があるわけ?

レミィ  :……口ではうまく言えないのです。

ローディス:雄なんて名ばかりだ。寮の運営には、貴族の力が必要なんだ。

レミィ  :力が正義。そこは否定できないのです。

アリエル :無茶をするには、それなりに面倒な手順が必要だけどね。

ローディス:ただ、地位も人脈もお金もあるから、怒らせるとどういう不利益を被るか。

レイディア:親もろとも潰されたんじゃ、一家で路頭に迷うことになるしね。

ローディス:男女が同じ寮なのに、大きな問題が起こっていない理由が、それだからね。

リコリス :そーいうのだけじゃなくて、レミィはいい子だよー。

ローディス:そうだね。

レミィ  :ありがとです。

アリエル :寮に入っても、僕らは1人では生きていけなくて、必ず群れを作るからね。

レイディア:まあ、庶民の女の子は、貴族にあこがれてるし。

ローディス:5階の女の子は、ひときわ個性的なのが多いからね。

レミィ  :てひひひ。3階の私には関係ないです。

アリエル :共生関係ということにしておいてくれるかな?

ローディス:(げんなりした顔で)共生?

アリエル :貴族のお嬢様は他の女の子と仲がいいですよ、というアピールをね。

レイディア:あんたのは、やりすぎだから!

アリエル :ははっ。 ←ちょっと自慢げ

レイディア:ほめてないからっ!!

ローディス:私としては、アリエルに有効な方策を求めたいわけだけど。

アリエル :そうだね。でも、3階だけだと、あの2人が管轄外だからね。

レイディア:当然、その情報もキルシュにもらってるわ。寮母とおばちゃんね。

レミィ  :もっと大事にならないと家の力は使えないです。申し訳ないです。

リコリス :やっぱり、仲良く話し合おうよー。

レイディア:いや、協力を渋るわけじゃないけど、そういうの、私が来た頃からあったし。

アリエル :裏を返せば、それだけ根が深いということでもあるね。

ローディス:迷惑してる子がいる以上、なんとかしてあげたいんだけど……。

レイディア:確認させてもらいたいんだけど、どうせ1階の仕業よね?

ローディス:うん。フィーナのロケーションで確認したから。

リコリス :見習いなのに、凄い魔法が使えるんだねー。

ローディス:内緒だよ。

リコリス :うん。秘密は守るよー。

レイディア:要は、こっちの力が上だって認めさせればいいわけよね?

ローディス:そうだね。現に、アリエルの周辺には危害が及んでない。

リコリス :暴力はよくないよー。

レイディア:違うわ。もっと平和的なものよ。

ローディス:要するに?

レイディア:あいつらが得意そうな勝負を持ちかけて、勝てばいいのよ。

ローディス:でも、レイディアだけの力で勝っても、結局は……。

レイディア:そこよ。寮の女全員からメンバー集めて、男全員のチームに勝つ!

アリエル :なるほど。集団戦というわけか。

レミィ  :足が鳴るです!

ローディス:それを言うなら、腕だよ。

レイディア:勝った方がいろいろ突きつけられるとこにしたら、絶対食いつくから。

ローディス:リスクが高いと思うけど……?

アリエル :こちらが有利なルールにすればいい。

リコリス :だめだよー。勝負は公平にしないとー。

レミィ  :こっちが有利すぎたら、乗ってこないです。

アリエル :賞品は、レミィの胸触り放題ということで。

レミィ  :い、や、で、す! あと、自然な流れを装って触るなです!

レイディア:ていうか、自然な流れでもねぇよ。

ローディス:……話を戻したいんだけど。

レイディア:悪かったわね。で、こっちが勝ったらやりたいことがあるんだけど。

アリエル :僕に断りを入れるような内容というわけだね。

リコリス :ふぇ?

レイディア:察しが早くて助かるわ。

ローディス:で、どういう目的なんだい?

レイディア:今は待って。それ呑んでくれるなら、私がフアナ連れてくるから。

アリエル :ふむ。退けなくなってから持ち出さないだけ良心的じゃないか。

レミィ  :男子が乗って来るルールでやるなら、フアナの能力は必須です。

アリエル :……なんとなくだけど、大体は理解したよ。

リコリス :ふぇー?

ローディス:一般の私にも分かるように話してよ。

レイディア:ルールが決まるまでには全部話すわ。とにかく、勝たなきゃね。

ローディス:それはわかってる。勝つよ!

リコリス :おーっ!

アリエル :僕も乗るとしようか。

レミィ  :仕方ないです。

レイディア:力を恐れるんなら、見せつけてやろうじゃないのよ。女の子の力を!






G   M:その日の夜、寮1階。

クーン  :……というわけだ。

ディース :いや、服盗んじゃうのはちょっとまずいんじゃね?

クーン  :俺はもう、フィーナがいないと生きていけない。

ディース :いや、他にいい女いくらでもいるって。

クーン  :お前に何がわかるって言うんだ!

ディース :だったら意見求めるなよ!

クーン  :肯定してほしいだろ、そこは!

ディース :そんなこと言われても……あ! あの人、ロケーション使えるぞ!

クーン  :知っている。もう一度話し合いたいだけなんだよ。

ディース :いや、あの人はちょっと無理じゃね?

クーン  :お前に何がわかる!!

G   M:そのとき、部屋の外から大きな声が聞こえます。

ランラン :お前ら、召集だ!! 集合! 20秒以内! 遅れたら鉄拳制裁!!

クーン  :なんだ。リクランか。

ディース :俺らにゃ関係ねーよな。

G   M:部屋の外から大きな声が聞こえます。

ストリィ :(鍋を叩きながら)みんなー、すぐ出てきてー!!

アクトゥス:非常事態!! 1階寮生全員集合! 非常事態!! 1階寮生全員集合!

クーン  :……なっ、何事だ!? 1階の全派閥が同時に……だと……!?

ディース :くししし。こりゃ戦争かぁ?

G   M:2人が部屋を出ると、1階の寮生が、続々と掲示板の前に集まっています。

トゥエリ :何があったんデスか!?

カトレア :んー。お祭ですかねー?

ディース :なんでお前まで寮にいるんだよ。つーか、お前ら、最近仲いいよな。

カトレア :ははは。色々ありまして。

G   M:1階の掲示板に羊皮紙が掲示されています。
      寮の全ての女子と全ての男子との間で、
      以下のルールに基づく試合によって雌雄を決しようといった内容です。
      試合の場所だけでなく、開催日まで決定されています。
      開催日は4日後の夕刻。
      ルールには、敗者の階は勝者の階の支配下に置かれ、
      敗者の階の者が関わった問題は、勝者の階の者による裁定に服し、
      罰則も設けられるといった内容等を含んでいます。
      また、試合のルールに変更したい点があれば、
      前々日までに各階の雄を通じて書面で申し出ることとされています。
      あとは、試合のルールが細かく書き記されています。
      その下に、女の子に負けるのが怖ければどうぞ逃げてください、とも。
      最後の署名は、アリエル、リコリス、ローディス、レイディアの連名です。
      
アクトゥス:……どう読んでも宣戦布告じゃないか……!

カトレア :んー、治外法権ですかー。

ディース :何だ、それ?

カトレア :簡単に言うと、勝ったらやりたい放題ってことです。

ディース :やりたい放題……うひょー、夢が広がるぜ!!

クーン  :これでフィーナとよりを戻せるのかっ!

トゥエリ :これは相手に自信ありということですから、ルールを調整しないと……。

ストリィ :……ということらしいよ。

ランラン :お前ら、ケンカ売られてるんだぞ!!

アクトゥス:いくらなんでも手に余る……OBの判断を仰がねば……。





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