くまにはしょっく!








G   M:その後、1週間ほど仕事がないわけですが。

レイディア:酒代がきついわねー。

フアナ  :……カラの酒瓶を……ちゅぱちゅぱしゃぶってるといい……。

レイディア:そんな下品なことするわけないでしょ!!

トゥエリ :(ああ、あれは無意識にやってたんですね……。)

マリア  :我の指でよければ、貸してやってもよいぞ。

レイディア:しゃぶらないからっ!!

マリア  :指では不足か? ならば、我の……。

レイディア:指以外もしゃぶらないからっ!!!

トゥエリ :(指じゃなくてどこだったのか気になるんですが……。)

G   M:その間の話を。例によって、ディースに冒険者の店に呼び出されます。

レイディア:わざわざ来てあげたんだから、高い酒おごりなさいよ。

トゥエリ :レイディアさん、けっこうここに居座ってお酒飲んでると思いますガ。

レイディア:うるさいわね!

ディース :パンパカパーン! 第1回、仁義無きベースボールダイス大会!

オルフ  :お、来ましたね。

レイディア:ふん。私にはもう参加する理由がないんだけど?

ディース :そんなつれねーこと言うなよ。マリアも入ったんだし、新歓ってことでさ。

オルフ  :せっかくですから、楽しくいきましょう。

マリア  :それは、楽しいのか?

レイディア:まあ、退屈はしないわね。きついけど。

マリア  :どうしてもというのなら、やってやらぬでもないぞ。

レイディア:じゃ、マリアにもお願いするわ。

マリア  :うむ。仕方ないのう。

フアナ  :……やる……。

フィーエル:あう。

トゥエリ :みんな、かなり乗り気デスね。

レイディア:仕方ないわね。ただし、エロいのはナシだからね?

マリア  :……して、何をするのじゃ?

ディース :ルールは簡単。サイコロ振って、目が小さい方が、1枚脱ぐ。

レイディア:エロいのナシって言ったばっかだろうが!!

ディース :ふっふっふっ。そう言われると思って、別のも用意してある。これだ!

G   M:どこからともなくアシスタントの人が出てきて、
      様々な色付きの○が書かれた四角いマットを床に広げます。

マリア  :なんじゃ、これは?

ディース :ああ、これはな……。






墜趨汰(ついすうた)

古代魔法王国時代、ツイスター伯爵なる人物が、2人が一体となって発動する魔術を編み出した。
その魔術は、2人がマナを生み出す色付きの魔法装置に手足を置くことによって発動されるが、
マナを効果的に生み出すには、2人の手足を、別の魔法装置の指示に従って配置する
必要があるという。なお、2本の尾を持つ幻獣、ツインテール・キャットも、
この魔法装置によって作り出されたという説がある。これは、ツインテールキャットが、
ツイスターしてるキャット→ツイスターテールキャット→ツインテールキャットという
変遷を経て名づけられたことに由来するという説が、現在では有力である。
                  民明書房刊『おねがい☆ツインテール』より







マリア  :そのような話は聞いたことがないぞ。

レイディア:馬鹿はほっときなさい。

フィーエル:あう。馬鹿は、ほっとく。

オルフ  :本当はどうするのですか?

ディース :ああ。サイコロの指示に従って、手足を色のついた丸の中に置くんだ。

レイディア:最初からそれ出せよ。……ていうか、何が楽しいわけ?

フアナ  :……おそらく……どんどん姿勢が、変わる……。

ディース :その通りだ。姿勢を保つだけでも至難の業なんだぜ?

マリア  :我はレイディアとやるぞ。

トゥエリ :2人でやるには狭くないデスか?

ディース :まあ、待て。もちろん、2人同時にやる。男女で。

レイディア:待てや!! どう考えてもエロ目的だろ!!

トゥエリ :レイディアさん、声が大きいデスよ……。

フアナ  :……チョベリバ……。

ディース :やってる途中で固くなっちゃうと大変なんだよな〜。

レイディア:(赤面しながら)それ、完全にセクハラだろ!!!

ディース :関節が固くなっちゃうと大変なんだよな〜。え、関節のことじゃねーの?

レイディア:……くっ!!?

トゥエリ :レイディアさん、落ち着いてくださいヨ。

レイディア:うるさいわね! もっとまともなの出しなさいよ。叩き潰してやるから!

ディース :じゃ、くま蹴りだ。

オルフ  :そ、そう来ましたか……。

レイディア:く、くま……?

ディース :裏庭行くぞ。






G   M:一行は学院寮の裏庭へ。

ディース :この木のとこでいいかな。

レイディア:ルールを説明しなさいよ。

ディース :(木の周りに円を書きながら)よし、説明するぜ。






ある日、森のうさぎさんたちは、森のくまさんたちのおうちにやって来ました。
ところが、こわいくまさんたちは出かけていて、るすでした。
いたずらっこのうさぎさんたちは、おるすばんをしていたこぐまさんをけりとばして
しまいました。こぐまさんは、お空のかなたまでとんでいって、お星様になりました。
こぐまさんがとんでいってお星様になるのを見たくまさんたちは、いかりくるいました。
くまさんたちは言いました。今日からは、毎日うさぎなべだ!






レイディア:ストーリーあるのかよ!

トゥエリ :つっこみどころが多すぎて、つっこみきれないんデスが。

ディース :それ以来、くまはうさぎを襲うようになったとさ。

レイディア:ていうか、昔話だったのかよ!

ディース :あれ? 結構有名な話じゃね?

レイディア:聞いたことないわよ。

トゥエリ :私もデス。

オルフ  :わたくしは、小さい頃に聞いたことがありますね。

フアナ  :……都市伝説……?

レイディア:それって、そういう意味じゃないと思うけど。

フアナ  :……シティボーイ……。

ディース :よせやい。照れるぜ。

トゥエリ :狩人組は、小さい頃の交流範囲が限られますからネ。

レイディア:あんただって似たようなもんでしょ。

ディース :やーい、田舎者ー!

レイディア:て、てめぇ……。

オルフ  :まあまあ。ディース君、そういう言い方はよくないですよ。

ディース :ちぇっ、つれねーなぁ。

レイディア:そういえば、オルフの故郷ってどこなの?

オルフ  :さあ、どこでしょう? それより、うさぎさんには困ったものですね。

トゥエリ :そうデスね。全面的にうさぎが悪いような気がしますヨ。

オルフ  :童話というものは、えてして残酷な話が多いものですからね。

フアナ  :……弱肉強食……。

フィーエル:あうー。こぐまさん、かわいそう……。

レイディア:何しゅんとしてるのよ。お話の中のことだってば。

ディース :じゃあ、ルールを説明するぜ。






ルールは、以下の通りです。
現実世界の缶蹴り+けいどろみたいなものだと思っていただければ、わかりやすいかと。






■ルール

まず、うさぎさんチーム(逃げる側)と、くまさんチーム(追いかける側)の
2チームに分かれます。こぐまさんのぬいぐるみをくまさんの家
(けいどろでの牢屋にあたります)に置き、うさぎさんがそれを蹴飛ばして、ゲーム開始です。
追いかける側はこぐまさんをくまさんの家に戻します。
それ以降、くまさんがタッチしたうさぎさんを、捕虜としてくまさんの家に送ります。
くまさんの家に送られたうさぎさんは、くまさんの家の外に出ることはできません。
ただし、捕虜でないうさぎさんがこぐまさんを蹴飛ばした場合、
こぐまさんが元の位置に戻るまでの間、くまさんの家は一切の機能を失います。
具体的には、捕虜のうさぎさんは捕虜でなくなり、逃げることができます。
うさぎさんが全員捕虜になれば、くまさんチームの勝ちとなり、ゲーム終了です。
うさぎさんが時間切れまで逃げ切れば、うさぎさんチームの勝ちとなり、ゲーム終了です。

■追加ルール
・直接攻撃魔法以外の、全ての攻撃魔法が使用可能です。
・うさぎさんチームが最初に逃げるとき、こぐまさんを家に戻すまでは、
 くまさんチームは使い魔を動かせません。
・使い魔を魔法以外の手段で捕まえるのは禁止です。
・使い魔に対する物理攻撃は禁止です。
・くまさんに対する直接物理攻撃は禁止です。

■数値的な説明
くまさんは、タッチするだけでうさぎさんを捕まえられるので、通常の戦闘より有利です。
具体的には、攻撃が命中すれば、タッチしたことになります。
タッチを避けたうさぎさんは、逃げ道を塞がれていない限り、
1ラウンド分の移動距離を逃げることができます。
もちろん、くまさんは逃げられたうさぎさんを再び追いかけることもできます。
うさぎさんの進みたい方向にくまさんがいれば、
タッチを1回避けてもそちらに進むことができません。
しかし、壁などの袋小路に追い詰められたうさぎさんも、
くまさんのタッチをかいくぐって逃げようとすることができます。
具体的には、3回連続で回避に成功すれば、
相手のくまさんの間を抜いて逃げられたことになります。
もちろん、他に逃げ道があるのならば、抜かずに引き返すこともできます。

くまさんは、2人以上で1人のうさぎさんを捕まえようとすることができます。
数的優位により、素早い相手でも捕まえやすくなります。
具体的には、参加する全員が攻撃可能になった時点で、
同時に捕獲に参加する全員の攻撃点をプラスし、1回だけ攻撃することができます
(その場合、攻撃点が1以下の参加者については、
本来の攻撃点の代わりに、攻撃点2点として扱います。
なぜなら、運動オンチでも進路を塞ぐことはできるからです。)。

もちろん、3回連続で回避されれば、全員が一度に抜かれたことになります。






レイディア:これって、思いっきり子供の遊びじゃない?

ディース :それを大人が真剣にやるから面白いんだろーが。

フアナ  :……なるへそ……。

トゥエリ :……へそ?

レイディア:まあいいわ。魔法アリ?

ディース :直接攻撃魔法以外全部アリ。逃げられる範囲は寮内全部。

フィーエル:あう。全部ありー!

フアナ  :……戦術が……広がる……。

レイディア:5階に追い詰められても、フォーリング・コントロールで逃げられるわけね。

オルフ  :使い魔はどうなのでしょう?

ディース :アリ。使い魔を魔法以外で捕まえるのは禁止。直接攻撃魔法も禁止。

オルフ  :使い魔を使い魔で捕まえるというのは?

ディース :それはナシ。

レイディア:使い魔はほぼ無敵か……。使い魔の使い方がカギね。

ディース :組分けは、サイコロ振って偶数対奇数。数が少ない方が追いかける側。

トゥエリ :いきなり運の要素が大きいデスね。

レイディア:それ、1対6とかありえるんじゃない?

ディース :そうだな。そんときは、1人の奴が誰でも引き抜けるってことで。

トゥエリ :確率的には、3対4になる確率が一番多くはありますガ。

ディース :0対7になったら、やり直しな。

フィーエル:あう。当たり前。

ディース :罰ゲームは。参加メンバー以外の同性に愛の告白。全員別の相手にな。

レイディア:ちょっと!! 洒落にならないからやめなさいよ!!

ディース :その光景を、この中の2人以上がカメレオンで消えて、見守る。

フアナ  :……うふふ……。

フィーエル:あう。おもしろそう。

ディース :告白が罰ゲームだったってネタばらしは、丸1日経つまで認めねー。

オルフ  :わたくしが負けたら神殿にいられなくなりますね。

トゥエリ :その割に、嬉しそうな顔してますよネ。

ディース :うさぎが負けたら、最初に捕まった奴はくまの指定した奴に告白。

レイディア:ますます洒落になってないし!!

ディース :お前の頭なら、どっち側に回っても強いだろ?

レイディア:ふん。当たり前よ。

ディース :じゃ、サイコロ振ってくれ。

レイディア:いいわ。(勝てばいいのよね、勝てば。)

トゥエリ :(まったく、この人は……。)

レイディア:(ころころ)1ね。

フアナ  :(ころころ)……2……。

レイディア:げ。フアナが敵になるの!!?

フアナ  :……よろしく……哀愁……。

トゥエリ :(ころころ)5ということは、レイディアさんと同じデスね。

レイディア:これで自由指名はナシか。もっと戦力になる奴よこしなさいよ。

トゥエリ :とほほ……。

オルフ  :トゥエリ君も大変ですね。(ころころ)6。

ディース :うらあっ! (ころころ)2。

フィーエル:(ころころ)あう! 3!

レイディア:こっち弱いんだけど……。せめてマリアよこしなさいよ。

ディース :それはダメだ。逃げるほうが楽しいしな。マリア、振ってくれ。

マリア  :嫌じゃ。レイディアと一緒がいい。

ディース :じゃ、そっちの3人不戦敗な。誰に告白する?

レイディア:く……仕方ないわね。マリア、気合で奇数出すのよ!

マリア  :わかった。

ディース :ちょっと待て! なんで投球動作に入ってんだよ!?

レイディア:違う違う。軽く上に放るのよ。投げないでね。多分、刺さるから。

オルフ  :……。

マリア  :ならば、上に放るぞ。ほれ! (ころころ)2じゃ。

レイディア:ああーっ!

マリア  :すまぬ。が、離れてこそ愛しさが募るというやつじゃ。

レイディア:だから、そういう関係じゃないってば!

マリア  :そう照れずともよい。






■■うさぎさんチーム:フアナ、オルフ、ディース、マリア
その使い魔:なし、なし、ツクヨミ(狼)、なし

■フアナ
器用度:24(+4) 敏捷度:20(+3) 知 力:20(+3)
筋 力:9(+1) 生命力:8(+1) 精神力:16(+2)
冒険者レベル:2
技能:シーフ2 ソーサラー2 シャーマン1 セージ2 
オールラウンダー(器用度)1 トリックスター1

■オルフ
器用度:17(+2) 敏捷度:15(+2) 知 力:12(+2)
筋 力:12(+2) 生命力:17(+2) 精神力:13(+2)
冒険者レベル:2
技能:ファイター1 ソーサラー0(魔法使用不能) プリースト3(ラーダ)
   セージ3

■ディース
器用度:12(+2) 敏捷度:15(+2) 知 力:13(+2)
筋 力:13(+2) 生命力:22(+3) 精神力:19(+3)
冒険者レベル:3
技能:ファイター1 ソーサラー3 セージ1 バード1
・ツクヨミ 生:5    精:5

■マリア
器用度:4(+0) 敏捷度:18(+3) 知 力:12(+2)
筋 力:50(+8) 生命力:25(+4) 精神力:14(+2)






*************************************






■■くまさんチーム:レイディア、トゥエリ、フィーエル
その使い魔:カルーア(子猫)、ティフィン(子猫)、リノ(大鼠)、エート(猫)

■レイディア
器用度:5(+0) 敏捷度:12(+2) 知 力:18(+3)
筋 力:12(+2) 生命力:15(+2) 精神力:14(+2)
冒険者レベル:2
技能:レンジャー1 ソーサラー3 セージ2
・カルーア  生:3    精:2
・ティフィン 生:2    精:3

■トゥエリ
器用度:14(+2) 敏捷度:14(+2) 知 力:17(+2)
筋 力:10(+1) 生命力:12(+2) 精神力:16(+2)
冒険者レベル:1
技能:ファイター1 レンジャー1 ソーサラー3 セージ1
・リノ 生:4    精:4

■フィーエル
器用度:14(+2) 敏捷度:7(+1) 知 力:4(+0)
筋 力:18(+3) 生命力:17(+2) 精神力:22(+3)
冒険者レベル:3
技能:ソーサラー3 ファイター1 セージ2
・エート 生:4    精:5






ディース :しかし、絶妙なバランスになったな。肉弾チーム対魔法チームか。

レイディア:こっちはソーサラー3レベルが3人いるわね。

トゥエリ :恐ろしいことに、相手チームより足が速いのが1人もいませんヨ。

フィーエル:あう。きっと、だいじょうぶ。数、多い。

レイディア:使い魔4匹+人間3人か。

フアナ  :……負ける気……ないかも……。

マリア  :蛮族の遊びか。戯れにはちょうどよいわ。

オルフ  :使い魔を入れると、7対5になるというわけですね。

ディース :へっ、楽勝だぜ!

G   M:では、まず、攻撃側がこぐまさんを蹴ります。

ディース :マリアが蹴ると敷地外まで飛んでいきそうだからな。俺が蹴るぜ。

フアナ  :……。

レイディア:そのファンシーなぬいぐるみは、どこで買ってきたの?

ディース :ああ、うちの従業員に買わせた。

トゥエリ :ほとんど嫌がらせデスね。

ディース :え、何が?

G   M:では、ファイター+筋力ボーナスで、達成値を。

ディース :(ころころ)げ、8しかねぇ。

G   M:ぬいぐるみはすぐ近くの土の上に落ちます。

フアナ  :……とっとと逃げろ……スカタン……。

トゥエリ :……スカ……?

ディース :ああ。ツクヨミと一緒に逃げるぜ。

G   M:以後、距離的に意思疎通可能な人同士で、作戦を考えることができます。
      その後、各自行動を宣言して、ターンごとに処理されます。
      なお、1ターンは30分です。

レイディア:長っ!

ディース :確認しとくけど、勝負は日没までだ。あと6時間くらいかな?

G   M:逃げる側は、追いかける側の視界から消えました。作戦タイムです。





第2.5話・第3節 へ
第2.5話・第5節 へ

トップページへ