レストア
G M:さて、仲間集めには1週間ほどかかります。
その間、ある日、ディケイが冒険者の店に来ます。
ディケイ :レイディアさん、使い魔ご入用じゃないっすか?
レイディア:急に何?
ディケイ :この前、親戚の猫が子猫生んじゃったんすけど、いかがっすか?
マリア :レイディア、例のあれ、試してみてくれぬか?
レイディア:(場合によっては命にかかわるけどね。)まあ、マリアの頼みなら。
マリア :いざとなれば、我が連れて逃げることもできるしのう。
レイディア:その猫の中に、双子とかそういうの、いる?
ディケイ :4つ子なんで、双子のうちといえなくもないっすけど。
レイディア:じゃあ、1匹もらってもう1匹預かるわ。見せて。
ディケイ :今からよろしいっすか?
レイディア:ええ。
G M:マリアの父上の秘術は、精神構造が似ている動物を
2匹同時に使い魔にするというものです。使いますか?
レイディア:使うわ。せっかく持ってきてくれたしね。
G M:儀式は成功しました。レイディアは2匹の子猫を使い魔にします。
レイディア:白に黒色のぶち猫が生命力3、精神力2ね。じゃあそっちはカルーア。
白に茶色のぶち猫が生命力2、精神力3ね。じゃあそっちはティフィン。
よろしくね。
猫たち :にゃー。
マリア :成功か。さすがは父上じゃ。
G M:では、1週間経過しました。ディケイとマッコイの努力に、
クーンやフィーナという実力ある有名人の加入によって、
わずか1週間でなんとこれだけの人が集まります。
依頼には対価が必要ですが、一種の仲間ですので、
持っている技能は原則公開されています。
(なお、※印は名簿に表示されていない備考です。)
01“首魁”レイディア(人間・女・3階)
特待生:様々な技能
※首謀者。
02“参謀”ディケイ(人間・男・2階)
一般生:セージ2、マーチャント3
※暇人。平和裏に進む情報収集ならお手の物。
03“懐刀”マッコイ(人間・男・2階)
一般生:セージ1、マーチャント3
※親は武器商人。でも、小遣いの額には同情を禁じえない。
04“暴君”クーン(人間・男・1階)
一般生:ファイター2、ソーサラー2、セージ2
※不良だったが、ある女性に牙を抜かれてしまった。1階ではストリィ派。
05“ガリ勉”フィーナ(人間・女・3階)
特待生:ソーサラー1+、セージ2+、ヒーラー3
※恋多き乙女。
06“男嫌い”アリエル(人間・女・5階)
一般生:ファイター3、ソーサラー3※、セージ3、
オールラウンダー1、テンプテーション5
※レイディアの感触が忘れられない。
07”不幸の星”リリー(ハーフエルフ・女・4階)
一般生:ファイター1、レンジャー1、ソーサラー1、セージ1、
ブランダラー3、ラウドボイス1
※不幸体質の少女。トゥエリに片思い中。
08“俊足”レミィ(人間・女・3階)
特待生:ソーサラー1、セージ3、ファイター1、ランナー2
※隠れ貴族。学食へのダッシュは基本。
09“アリエルの女”ルコ(人間・女・3階)
特待生→一般生:ソーサラー1、セージ1、ファイター1、シーフ4※
※アリエルをレイディアに取られたくないらしい。
10“4階の雄”リコリス(人間・女・4階)
一般生:ソーサラー2、セージ2、シーフ2、バード1、イントゥイション5
※犬好き直感少女。アホの子。
11”箱入り娘”シエナ(人間・女・4階)
一般生:セージ3、ポエマー3
※アリエル大好き。
12“ギルティアが狙ってる”クロウ(エルフ・男・2階)
特待生:セージ1+、ソーサラー1+、シャーマン1
※腐男子エルフ。
13”手に入れし者”タルゼン(人間・男・1階)
一般生:シーフ1、ソーサラー1、セージ1
※とりあえず一派で唯一の諜報要員。1階ではアクトゥス派。
14“単位くれない”グラース(人間・男・本館)
導師:ソーサラー6、セージ7、ファイター3、ティーチャー3
※お目付け役。
レイディア:特待生が私以外に3人も……ソーサラーは9人か。……げ、導師!
フアナ :……面白そうなことやってるね……リスト見せて……。
ディース :げ、導師!
オルフ :レイディア君とディース君は仲がいいですね。
フィーエル:あうー。げ、導師!
レイディア:無理に真似しないでいいから。
マリア :うむ。無理に真似をせずともよいぞ。
フアナ :(小声で)……オマエモナー……。
ディース :どうすんだよ、これ……。
フアナ :……多分、導師のグラースは……お目付け役……。
レイディア:でも、それは学院のお墨付きに近いものがあるわね。
トゥエリ :目を離してる間に、また無茶なことをやってますネ。
レイディア:なによ。あんたが実戦のレポート書いてくれないからじゃないのよ。
トゥエリ :注目される資料ですから、将来のためには自分で書いた方がいいデスよ。
レイディア:まったく、何のために普段から私に近い筆跡にさせてると思ってんのよ。
ディース :お前、最悪だな……。
レイディア:ふん。合理的と言ってほしいわね。
トゥエリ :私はいいデスから。
レイディア:まあいいわ。せっかくだから顧問の先生になってもらいましょ。
ディケイ :では、グラース師も参加でよろしいっすか?
レイディア:ええ。是非参加してもらって。
フィーエル:仲間、なっかまー♪
レイディア:ありがとう、ディケイ。マッコイにもよろしくね。
ディケイ :もったいないお言葉っす!
レイディア:では、魔晶石の情報をお願いするわ。
ディケイ :手筈通り、安いのはもらったお金で買い取ってあります。
高いのは預かりです。
G M:ディケイの差し出した箱を開けると、魔晶石がじゃらりと。
個数は2D6で決定。1点のが(ころころ)8個。
2点以上は出目に−1ずつ累積で。ゼロになったら終了です。
(ころころ)2点が3個。3点が2個。4点が4個。5点が3個。
6点が3個。7点が1個。8点が0個ですね。
マリア :我の古文書と服を売った金はいくらになるのじゃ?
G M:マリアの初期の所持金扱いとして、2D6×1000ガメルとしましょう。
トゥエリ :期待値で貴族の子弟の倍デスね。
レイディア:気合を入れるのよ!
マリア :うむ。(ころころ)3じゃ。
ディース :恐ろしく低いな。
レイディア:きっと、私が安売りしすぎたんだわ。
マリア :……我の保存が悪かったのか?
レイディア:そんなことないわ。私のせいだから気にしないで。
オルフ :このパーティー、生死判定の出目だけは異常にいいですから、
その皺寄せでしょう。むしろ、この目が生死判定で出なくて良かったかと。
ディース :どっちも高いのが一番だよな。
レイディア:お前、空気読めよ。
トゥエリ :しかし、ありがたいようなありがたくないような。
オルフ :全てはラーダのお導きです。
レイディア:仕方ないわね。安いのから買うわ。
G M:マリアの所持金だと、2点までなら買い占められますね。
レイディア:それ以上は累積して高くなるから、そこまでで。
フアナ :……3点のはわたしが1個買う。……レイディアと違って、節約してるから。
フィーエル:あう。お酒、飲みすぎ。
レイディア:ちょっとは減らすわよ。気が向いたらね。
トゥエリ :むしろ、増えてますよネ?
オルフ :飲みすぎは良くないですよ。
レイディア:ぶー……。じゃ、用途も決まってるんで、
2点の全部と1点の1個で、今晩マリアを全快させるわよ。
ディケイ :……魔晶石で回復っすか?
レイディア:聞き違いじゃない?
ディケイ :す、すみません。残りの高いのはひとまず持ち主に返しておきますね。
レイディア:謝ることないわ。まあ、貴族の娘ともなると色々ややこしいのよ。
ディケイ :は、はあ……。
レイディア:で、これは仲間集めの報酬。古代語の本2冊ね。1冊ずつ分けるのよ。
ディケイ :く、くれるんすか!?
レイディア:本当なら酒代になる筈だったんだけど、手際よく働いてくれたからね。
ディケイ :ありがとうございます!
G M:お礼を言ったディケイは、きびすを返してそのまま走り去ります。
レイディア:まあ、お金持ちの息子には居辛い店だろうからねー。
フアナ :……うまく手懐けたね……レイディアのこと、あれだけ馬鹿にしてたのに。
レイディア:同門みたいなもんだから、お互いの凄さはわかるしね。
フィーエル:あうー。同門?
トゥエリ :この場合は、同じ分野って意味でしょう。
レイディア:結果を出せば認めざるを得ないわ。あとは信賞必罰。
オルフ :若者の割には人心掌握に長けてますね。一体どういう育ち方を……。
マリア :うむ。さすがは我を情熱的に口説き落とした口よのぅ。
レイディア:誤解を招く言い方するなーっ!
マリア :寝台でも、その唇で我を甘い眠りに誘うのじゃ。
レイディア:眠れないから何か話せって言ったのあんたでしょうがっ!
マリア :その指で、我の体の、我でも自分で触らぬようなところを気持ちよくして……。
レイディア:背中かけって言われたからかいただけだろうがっ!!!
ディース :やっと帰ってくれたか。名前がちょっと似てるからしゃべり辛かったぜ。
レイディア:(助け舟かな。いや、たまたまか。)また変な空気の読み方を。
ディース :つーか、この“俊足”レミィってそんなに足速かったか?
レイディア:ああ、授業終わると同時に学食にダッシュかけるからそんなあだ名なの。
トゥエリ :さすがは特待生3年目。詳しいデスね。
レイディア:まあね。(えっへん) ……っと、褒めてないだろ、今の!
ディース :特待3年目の見習い……ドラ1、プロ3年目、二軍登板無しってとこか。
レイディア:意味はわかんないけど、ほめられてないのはわかるわ。
ディース :才能あるだけマシじゃね?
フアナ :……給料……いくらだ……。
レイディア:トゥエリは学院入る前にレンのとこに1年いたから、同じ3年でしょうが。
トゥエリ :私は人間観察は苦手デスし、ディースさんとフアナは学院生活短いデスから。
レイディア:ノート写させてくれる人くらいは把握しとかないとねっ。
トゥエリ :頭いいんですから自分でやりましょうヨ。
レイディア:アリエルなら嫌な顔せずに見せてくれてたんだけどね。
トゥエリ :そのアリエルに迫られたって、この前言ってたじゃないデスか。
マリア :……話をつけてくる。アリエルとやらの居場所を教えよ。
レイディア:つけてこないでいいから!!
マリア :安心せい。拳で語り合うだけじゃ。
レイディア:ますます安心できんわっ!!
ディース :5階の大ボスだろ。 なんだ? 変態だったのか?
レイディア:なんか、まだ狙われてるような気がする。
フアナ :……いつものことながら、さすが。……ふふふ……。
マリア :そもそも、アリエルというのは女なのか?
トゥエリ :知らないで対抗しようとしてたんデスか。
レイディア:うん、女。私の方にはそんな趣味はないんだけどね。
マリア :性別に固執するのはどうかと思うぞ。我はレイディアのこと、嫌いではない。
レイディア:ありがとね。私もマリアは好きよ。
ディース :こんな豪傑みたいな性格じゃ、女も間違えて寄ってくるわな。
レイディア:(殴りかかりながら)どこが豪傑ですって?
ディース :(ひらりとかわしながら)そこじゃねーのか?
マリア :(後ろからディースの頬に手をかけて)うーん? レイディアの悪口かぁ?
ディース :へんへんへっはいひはす。(涙)(訳:前言撤回します(涙))
マリア :うむ ←今ので通じたらしい
フアナ :エルフのクロウは……ギルティアが、自分の研究室に引き抜こうとしてる。
トゥエリ :誰かさんの代わりにデスね。
フィーエル:あうー。誰?
オルフ :文脈から察するに、フアナ君の代わりですね。
フアナ :ぴんぽーん……ぱんついー……。
トゥエリ :……パ、パンツイ……?
レイディア:とにかく、発掘品の売却と、魔晶石購入のルートは確保したわね。
トゥエリ :話を大掛かりにしすぎデスよ。
レイディア:私の案ではこれがベストだったわ。
フアナ :……わたしの得意分野とも……企みの種類が違う。わたしじゃ、無理。
レイディア:全般的な思いつきは軍師様のが上だけどね。
フィーエル:あうー。ぐんし?
オルフ :文脈から察するに、フアナ君のことですね。
レイディア:そうよ。フアナのが優秀なのは確かだしね。
ディース :ああ。リーダーがいちいち言う必要もねーくらいだ。
レイディア:お前はいつも一言多いな。まあ、これでマリアの回復は万全よ。
マリア :レイディア、感謝してやるぞ。ありがたく思うがよい。
レイディア:もったいないお言葉よ、姫。
ディース :(小声で)あの2人、怪しいよな?
フィーエル:あうー。何が??
ディース :お前に聞いた俺が馬鹿だったよ。
フィーエル:あう。ディースさん、馬鹿。
ディース :そういう意味じゃねーって!
レイディア:マリア、かわいくしてあげよっか?
マリア :うん? 何じゃ?
レイディア:……あ、鏡、多分荷物の底だわ。
フアナ :(手鏡を差し出しながら)……はい。
オルフ :(何もない場所から急に手鏡が現れたように見えたわけですが……。)
レイディア:ありがとう、助かるわ。持ち歩いてるの?
フアナ :……町にいるときは……。(こいつ、本当に女?)
レイディア:マリア、持ってて。で、髪をこうやって……ね。
マリア :おお!
レイディア:かわいいでしょ? 結ぼうか?
マリア :仕方ないのう。結びたいなら結ばせてやるぞ。
レイディア:じゃあ、結ぶわね。
マリア :しっぽみたいじゃのう。我も嫌いではないぞ。
フアナ :……!! ←突如、テーブルに顔を突っ伏す。
レイディア:ていうか、結んだことないの?
マリア :我の意志で始めたが、何百年もやっておったら、さすがに飽きるわ。
レイディア:……そう。これからは毎日、結んであげるからねっ。(泣)
マリア :その程度のことでいちいち泣くな。仕方の無い奴じゃのう。
レイディア:せっかく綺麗な髪なんだけど、切れないし、
どうしようか考えてるうちに、結んだらどうかなって思って。
ディース :何だ? ツインテールか
レイディア:これ、そんな名前なの?
フアナ :……違うと思う。
フィーエル:あう。ツインテール・キャット!
オルフ :それとはまた違うと思いますけれど。
フアナ :……エビの味が……しそう……。
トゥエリ :(あなた、何歳なんデスか!?)
ディース :焼きソバチェッカーズ……最近チェックしてねーな。
レイディア:あれ高級品だから、アリエルに頼らなきゃ食べられないのよね。
トゥエリ :レイディアさん、海の幸好きデスよね。
レイディア:ふん。将来ビッグになる特待生にふさわしい嗜好ね。
フィーエル:あう。ピ■グー。
レイディア:誰がペンギンになるか!
ディース :ミントアイスか……やっぱ、そっちだよな。胸でけーし。
マリア :我は、レイディアとお揃いなら、切ってもよかったがのう。
レイディア:駄目よ。もったいないわ。(多分、この子の髪は再生しないし。)
マリア :そうか?
レイディア:そうよ。
ディース :ケモノの槍使ったら伸びそうじゃね?
レイディア:お前は黙ってろ。
フアナ :……お前はそこで……乾いてゆけ……。
フィーエル:あう。マミー!
フアナ :……そういえば、レイディアの毛先のウェーブ……どうやってるの?
レイディア:ああ、これね。これは、灰皿に木を敷いて「ティンダー!」(ボッ!)
フィーエル:あう。ティンダーだ!
レイディア:で、金製のペン軸を何本か出して、火傷しないように、
こうやってちょっとあぶって、熱いから木の部分を持つのよ。
で、髪をこうやって左右から。
はい、完成。あとは、伸びてきた頃にちょん切って、また同じことやるの。
オルフ :……なるほど…………。
フアナ :…………それ、結構な発明かも……!
レイディア:絶対内緒よ。みんながやったらオシャレじゃなくなるから。
ディース :そ、そんなことに魔法使ってたのか……!
レイディア:そんなこととは何よ! 火口箱でやってたら髪が乱れるじゃないのよ!
フアナ :…………。 ←言葉にできない
トゥエリ :私が正式に入学したときには、既にその髪型でしたヨ。
オルフ :つまり、2年前からずっと1レベルをキープしてきたと。
レイディア:ふん。飛行魔法は、低空を飛び続ける方が難しいって聞くしね。
ディース :それ、関係ありそうで全然関係ねーぞ。
レイディア:実は、この魔法覚えたのも半分は髪型のためだしね。(えっへん)
ディース :うわ。馬鹿がいる!
レイディア:お前が言うなよ。
フィーエル:あう。レックスさん、馬鹿。
レイディア:私はレイディアだ。遺跡じゃない。あと、馬鹿でもない。むしろ、お前だ。
フアナ :……レイディア……あなたが、ナンバーワン……。
レイディア:ふっ。ようやく私の凄さに気付いたようね。 ←頭はいいけどバカ
第2.5話・第2節 へ
第2.5話・第4節 へ
トップページへ