6人の冒険者
G M:かくして、休学して冒険に出るメンバーは、
レイディア、フアナ、トゥエリ、ディース、フィーエルの5人に決定しました。
冒険に必要な道具を買い揃えた5人は、初仕事を求めて冒険者の店に向かいます。
全員皮の鎧で。
ディース :復活したギルティア師、本気で泣いてたなぁ。
トゥエリ :5人も一気に出るのに、本気で引き止められたのフアナだけでしたネ……。
レイディア:ちょこっとでも引き止められた奴は文句言わない!(泣)
ディース :ま、俺は入って日が浅いからな。あんま覚えられてねーし、当然だろ。
レイディア:喧嘩売ってるの? ←特待生三年目なのに1レベル
ディース :へへっ。俺は喧嘩不敗記録保持者だぜ!
フアナ :(ディース。何発食らっても倒れない男だとか……。)
フィーエル:あう。ディースさん、凄い。
レイディア:私以外はちゃんと呼べるのね……。
フィーエル:あうー。ごめんなさい、レチュアルさん。
レイディア:私はレイディアよっ!!
トゥエリ :まあまあ。仲良くしましょうヨ。
レイディア:しゃべる内容は問わないから、とにかくあんたは黙ってなさい。
トゥエリ :そんな……。
フアナ :……。 ←鍵をかちゃかちゃ
レイディア:でも、底辺からの成り上がりこそが冒険者の醍醐味よ!
ディース :おー!
レイディア:(結局、最後まで誰にも引き止めてもらえなかったよぅ……。(泣))
ディース :ていうか、フアナ〜、歩きながら鍵の練習するの危なくね?
G M:すれ違うフアナの指の動きを見て、
目を剥いている皮鎧のお兄さんもいたりするわけですが……。
(器用度が24もあるから、並のグラランより器用なんですよね。)
レイディア:無視!(きっぱり) とにかく、冒険者の店に行くわよ!
G M:さて、冒険者の店、青い小鳩亭に到着しました。
レイディア:師匠にもらった紹介状を手渡すけど。
G M:君らのパーティー編成を見た店のおばちゃん、絶句してます。
全員皮鎧だし、メイジスタッフ持ってるし。
レイディア:まったく。ソーサラー5人なんて、冗談きついわね。(笑)
トゥエリ :(パーティー集めたのレイディアさんですよ……。
怖いから口には出しませんけどね……。)
ディース :若い俺らは薄い皮鎧でも怖くねーぜ。
フィーエル:あう。怖くないっ!
G M:おばちゃんは困ってしまったらしく、店のおじさんに相談しに行きました。
フアナ :(かちゃり)……うん。だんだん早くなってきた。
ディース :俺前衛な! 絶対前衛もらうからな!
レイディア:わたしの華麗なる魔法をもってすれば、冒険なんて楽勝よ!
(本当に楽勝だったらいいなぁ……。(嘆息))
フィーエル:あう。レイリアさん、いれば、心強い!
レイディア:レイディアっす……。(泣)
トゥエリ :この面子で生きて帰れますかネ? 今日はおいしいもの食べましょうカ……。
フアナ :……賢い選択……かも……。(にやり。)
ディース :なら、バード技能持ちの俺が一曲歌うぜ。
愛し合う2人がオラン賢者の学院に入ると幸せになれるという話を信じて、
幼馴染との約束を胸に、2浪した学生の話だーっ!
レイディア:ふん。たかが一般生の入試で2浪とか、愛も頭も足りてないわね。
フアナ :……それもそうかも。
トゥエリ :一般的には狭き門なんデスよ。
ディース :特待が調子に乗ってんじゃねー! 成績は変わんねーだろ!
フィーエル:あう。変わらない。
レイディア:一般生は黙ってなさいよっ!!
フィーエル:あうー。
フアナ :……成績、興味……ない……。
G M:そうこうしてる間に、君たちのテーブルに近づいてくる男が。
普通の服に、ラーダの聖印を身に付けていますね。
フィーエル:こんばんは♪
男 :(……昼間ですよね?) ……はい、こんばんは。
……いえ、街中であなたたちをお見かけしたのですが、
いでたちが気になりましてね。
失礼とは思いましたが、ついてこさせてもらいました。
フアナ :……誰?
男 :わたくし、オルフと申します。
近くのラーダ神殿で雑務のお手伝いをさせていただいております。
皆さん方は魔術師とお見受けしましたが……。
レイディア:私はレイディア・レインフィールドです。
学院では、同期の中でもかなり優秀な成績をおさめてるっす。
トゥエリ :(ああ、またレイディアさんの大ぼらが始まりましたよ。)
ディース :で、何の用? よかったらジュースおごってよ。
オルフ :いえ、わたくしも昔は魔術を志しておりましてね。
志半ばにして挫折したのですが……。
先ほど、真新しい皮鎧にメイジスタッフといういでたちの
あなたがたをお見かけして、もしかするとこれから冒険を始めるのに
神官がいらっしゃらないのかと思いましてね。
レイディア:確かに、魔術師で神官って少ないわね。
フアナ :……? ……ここで神官の仲間を探すんじゃないの?
レイディア:さすがフアナ、そんなこと考えてたのね。頼りになるわ!
トゥエリ :(レイディアさんもそんなこと考えてください、お願いしますよ……。)
ディース :(こいつ、たまに危なっかしいよな……。俺もしっかりしよーっと。)
オルフ :わたくし、初歩の神聖魔法ならば使うことができます。
よろしければ、仲間に加えていただけませんか?
フィーエル:……いい人?
オルフ :……いえ、別にいい人ではないのですが……。(汗)
フィーエル:……じゃあ、悪い人?
オルフ :……ええと……そういうわけでもないのですが……。(汗)
フアナ :……わたしは賛成。(かちゃかちゃ)
フィーエル:……普通の人? なら、よろしく、オルソンさん!
オルフ :……? わたくしの名前はオルフですよ。
レイディア:まあ、断る理由なんて全くないですし、
むしろこちらからなにとぞ宜しくお願いしちゃいたいくらいで……。
ディース :俺が前衛っていうのが揺るがなきゃいいよ!
トゥエリ :渡りに船ですね。助かります。
フィーエル:(オルフを指差して)この人、船、持ってる?
レイディア:違う違う違う。(こいつ、ほんとに成績いいの!?)
オルフ :?? とにかく、ありがとうございます。これからよろしくお願いします。
G M:そうこうしているうちに、皆さんのところに店のおばちゃんが来ます。
おばちゃん:話はまとまったようだね。で、依頼のことなんだけど……。
レイディア:何かよさそうなのがあったんすか?
おばちゃん:ここから歩いて4日くらいの山奥の村近くにゴブリンが住み着いたらしくてねぇ。
中には魔法を使うゴブリンもいたり、統率もとれていたりして……。
まだ家畜がやられたりとかで人はやられてないそうだけどねぇ。
G M:全員セージ技能+知力ボーナスでチェックを。
普通のゴブリンは5、魔法使いのゴブリンは10です。
敵の正体はゴブリンとゴブリンシャーマンのようです。
全員セージ持ちということもあって、ゴブリンは難なく成功。
知名度10のゴブリンシャーマンは、出目6のフィーエルだけが失敗。
セージ2レベルなのに、知力ボーナスが脅威の0なのが地味に痛いです……。
トゥエリ :ゴブリン。たまに人里に現れて悪さをする子鬼のモンスターデスね。
ディース :レベル2と3か。2は殴って勝てる。3は魔法で勝てる。楽勝だな。
フィーエル:あうー。ゴブリン、魔法、使わない、はず。
フアナ :……ゴブリンシャーマンは魔法、使う。……でも、どうして使えるの?
フィーエル:かっこいいから?
フアナ :……それ……いいかも。採用。(にやり)
レイディア:頼むから、依頼の時くらいは真面目にやってくれない?
トゥエリ :(命がけなんですから、常に真面目なのが一番安全な筈ですが。)
オルフ :(無視して)報酬はどのくらいになりますか?
おばちゃん:それが、貧しい村でねぇ。
全員で800ガメル+拘束期間分の食費くらいしか出せないみたいなんだよ。
そのうち前金は300。
ディース :いいんじゃね? でも、どうなんだ?
レイディア:いや、低い。拘束期間が最低8日だから、1日最大100ガメル。
それを人数で割ると1日たった16ガメル(+食費)だから。
でも、わたしたち駆け出しだから……どうしよう。
フアナ :……どうする?
ディース :敵の数って、どんくらい?
おばちゃん:確かな数はわからないけど、家畜の被害から考えて、
10匹もはいないはずだよ。多分、5〜8匹だと思うけど。
フィーエル:受けよう。みんな、困ってる。
フアナ :……鍵……あると嬉しい。
おばちゃん:?
トゥエリ :あ、彼女は気にしないでくださいネ。
レイディア:本来なら、少なくとも楽勝ではないわね。
もっとも、学院の同期の中でも五本の指に入るわたしの力があれば、
さほど苦にはならないでしょうけど。
トゥエリ :(レイディアさんの同期は全員特待生ですから、5番とか不可能ですよ。)
フィーエル:レンドルさん、すごい!
レイディア:レイディアっす……。(泣)
ディース :……レンドルって、誰だっけ?
トゥエリ :導師デスよ……。
フアナ :……アウト・オブ・眼中……。
オルフ :(……だんだん不安になってきましたが……
ゴブリンシャーマンならば3レベル。今のわたくしでも……
いえ、他のメンバーの力にもよりますか……。)
おばちゃん:で、どうするの? 受けるのかい?
ディース :おばちゃんは率直にどう思う? 見ての通り俺ら駆け出しなんだけど。
おばちゃん:そうだねぇ。今はレベルが低いのは出払ってる。
レベルが高いのは他の大事に備えなきゃならないし、
第一、この報酬じゃどうにもならない。
正直言って報酬の割には拘束期間が長いし、
あんたらに断られるとあきらめてもらうしかないねぇ。
(と言って、フィーエルのほうをチラリと。)
フィーエル:受けよう!
オルフ :わたくしは構いません。受ける方に1票を投じます。
フアナ :……鍵……ないの?
おばちゃん:??
トゥエリ :あ、気にしないでください。受けましょうカ……どうしますかネ?
レイディア:受けましょう。みんな、いい?
ディース :異議なし!
フアナ :……もーまんたい……。
おばちゃん:決まりだね。これが村までの地図。あと、前金の300ガメル。
無事に帰ってきたらもっといい仕事も紹介するからね。頼んだよ。
かくして、一行は初めての依頼解決に乗り出しました。
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