バトルのチュートリアル−25





はるひとケンが敵のさくら幼稚園側につき、アキラも倒され、
ゆうすけとふうはさくら幼稚園から逃げ去ります。
ふうに至っては、重い布団を脱ぎ捨てて逃げざるを得ませんでした。



G   M:さくら幼稚園を出た2人でしたが、どういうわけか、追手の気配はありません。
      とはいえ、一本道ではないので、先回りが不可能というわけでもありませんが。

ゆうすけ :なんで追いかけてこないのかわからないけど、助かったか……。

ふう   :……布団……。

G   M:逃げるときに布団を脱いだふうは、普通の水色の園児服です。
      真夏に布団を肌身離さなかったと思えば、
      今回わりとあっさり脱ぎ捨てたりで、ゆうすけには、
      あの布団が大事な物なのかどうなのかも、いまひとつ判断がつきません。

ゆうすけ :……歩きながら話そう。

ふう   :……うん。

G   M:では、ひまわり幼稚園に向かって歩きつつ、2人は色々と話し合います。
      さて、逃げ出したはいいものの、進退窮まってるんですよね。
      2人はひまわり幼稚園すらまとめ上げてませんので、
      帰って一般園児全員の助力を得るのも難しいでしょう。
      ましてや、一番人気があったはるひが裏切ったとなると……。
      そして、2人だけでの正攻法で勝てる相手ではありません。
      3対1ですら勝ちきれなかったんですから。

ふう   :……はるちゃんがあっちについた理由、わかったって……本当?

ゆうすけ :ああ。聞いたことがある。
      銃を持った銀行強盗が、その場で人質を取るとするだろ。

ふう   :……うん。

ゆうすけ :で、その強盗が意外と酷いことしなかったら、人質はいい人みたいに錯覚しちゃうんだ。
      強盗やってる時点で極悪人なのに。

ふう   :……そんなもんなの……?

ゆうすけ :そんなもんらしい。

ふう   :……そう。……敗因は……?

ゆうすけ :強いリーダーがいなかったからだと思う。
      だから、はるひちゃんが単独行動して、さらわれちゃった。
      帰ってきたアキラともめて、すぐに助けに行けなかった。
      ケンも一緒に戦ってたら、あのボスにも勝てたと思うし……。

ふう   :……そうだよね……。……逆転の目は?

ゆうすけ :……ない。

ふう   :……!

ゆうすけ :……ただ、はるひちゃんは酷いことされてないみたいだから、
      今さらだけど……降伏するのはアリだと思う。

ふう   :……。

ゆうすけ :はるひちゃんをさらったり、裏切ったあいつを受け入れたり、人を集めてるみたいだから。
      顔に怪我してたのも、ひょっとしたら、もっと強い奴がいるのかも……。

ふう   :……役に立ったら……生かされる……。

ゆうすけ :だから、普通に降伏するより、俺を捕まえたことにして、差し出した方がいいと思う。

ふう   :……。

ゆうすけ :はるひちゃんとケンへの態度が違いすぎる。
      どのみち男は雑用かもしれないから、どうせなら……。

ふう   :……わかった……無駄にはしない……。

ゆうすけ :剣、預けとく。

ふう   :……うん。

ゆうすけ :もし……もし次があったら……絶対に負けない!

ふう   :……うん!

G   M:そうこうするうちに、2人はひまわり幼稚園に到着します。
      門をくぐったあたりで気がつきますが、様子がおかしいですね。
      遠くから見ても色はわかります。何人か、桃色や緑色の園児服を着た園児がいます。
      そして、2人を見つけたのか、こちらに向かってきますね。

ゆうすけ :先回りか!? なら、なんで俺らを逃がした!?

ふう   :……!

G   M:桃色の制服を着た園児が走ってきますね。相変わらず、凄い速さです。

はるひ  :おーっほっほっほっ。2人とも、のろまですのね!

ふう   :……こいつを、取り押さえてた……降伏する……。

ゆうすけ :この通り、武器も取られちまった……。

はるひ  :いい心がけですのね!
      女王のわたしが、とりなしてあげなくもありませんわよ! おーっほっほっほっ。

G   M:そして、緑色の園児服の女の子は、少し離れた位置から、
      例の、黄色と黒の縞の筒をふうたちに向けています。

はるひ  :さあ、武器を渡しなさいな。

ふう   :……はるちゃんに……剣を渡す……。

G   M:ふうがゆうすけの剣をはるひに渡す間も、ずっと照準がふうに合わせられていました。
      飛び道具の中でも、思った以上に射程が長い武器なのでしょう。

はるひ  :おーっほっほっほっ。いいきみですわね!

ふう   :……。

G   M:ゆうすけの剣を受け取ったはるひは、少し離れてから、
      おもむろに、野球みたいな素振りを始めます。左右が逆のような気もしますが……。

はるひ  :1回やってみたかったんですのよ。おーっほっほっほっ。

ゆうすけ :もう、俺らには武器もない。

ふう   :……降伏する……。

はるひ  :いい心がけですわ! まずは、わたしのどれいにしてあげましてよ! おーっほっほっほっほっ!

G   M:緑色の園児服の女の子も、筒をいったん下ろしました。
      そして、素振りをしているはるひをよそに、大きく息を吸い込み、筒をくわえます。
      もちろん、筒は、ふうとゆうすけの方向に向けられています。

ゆうすけ :……嘘だろ?

G   M:筒から、いくつものトゲのような形の紙が発射されます。
      どうやら、一吹きでいくつもの弾が発射できる、散弾タイプの吹き矢のようですね。
      吹き矢は、武器を持たないゆうすけとふうに命中。
      紙製で針こそついてないようですが、中に何か入っているのか、かなり痛いです。

ゆうすけ :ぐああっ!

ふう   :……っ!

G   M:実は、人間の息は収束させると馬鹿にできない威力があって、
      くしゃみに至っては台風を上回る風速を持っていたりします。
      ちなみに、吹き矢は毒を塗って狩猟の武器として使われていた時代もあります。
      見方を変えれば、針をつければ獣の皮すら貫くということ。
      そして、下手な手投げ武器より射程が長い上、精密性もかなり優秀なんですよね。
      さて、女の子は、残弾がなくなった吹き矢の筒を投げ捨てます。

みずき  :……ことわる……。

はるひ  :……ちょ、ちょっと! 何してますの!?

みずき  :……。

G   M:吹き矢の女の子は、背中に仕込んでいた新しい筒を取り出します。
      そして、再びゆうすけとふうにむかって発射しました。
      はるひは想定外の事態に戸惑いますが、みずきの近くにいる緑色の園児服の女の子を見て、
      逆らうのは諦めます。

はるひ  :(小声で)……このせかいでは、よわい人は生きていけませんのよ……。

G   M:本拠地も仲間も武器も奪われたところに、射程外からの攻撃。
      しかも、先回りの人員に選ばれるということは、おそらく足も速いのでしょう。
      完全な射程外から一方的に行われる攻撃に、ゆうすけとふうはなす術もありません。
      やがて、2人とも倒され、倒れた後にも吹き矢の攻撃を受け続けます。
      ひまわり幼稚園は全滅しました。


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