バトルのチュートリアル−24





G   M:桃色の園児服を着たはるひの口から語られたのは、衝撃の事実。
      そして、未だベルの鳴り響くホールに向かって、
      さくら幼稚園の園児たちの足音が迫ります。

ゆうすけ :もうダメだ。そこの窓開けてダッシュで逃げるぞ!

アキラ  :……お前、はるひちゃんに何をした……?

ふう   :窓、開けたよ! 早く!

G   M:ふうが1箇所の黒いカーテンと窓を開けると太陽の光が射し込み、薄暗かった室内が少し明るくなりました。
      そうこうしているうちに、数名の男子園児を伴って、
      茶色く塗ったダンボールの鎧で武装(?)した大柄な園児が、ホールに入ってきました。
      両手には、ジュースの入った1.5リットル入りのペットボトルを持っています。それも、軽々と。
      キンダイチは、その園児の後ろ側にさっと移動し、安全な位置から話しかけます。

キンダイチ:待ちくたびれましたよ、そうたさん。

そうた  :ガハハハハ。ずいぶんやられたみてぇだな、キンダイチよ。

キンダイチ:これだけ囲まれると、さすがの僕も大変ですよ。

そうた  :きりふだはつかってねぇのか? おめぇにおられたツノ、まだなおってねぇんだぜ?

ゆうすけ :とりあえず、はるひちゃんの理由はわかった! 後で説明するから、今は逃げるんだ!

G   M:さらに、ホールの入り口に、緑色の園児服を着た新手の女の子の姿が見えます。
      数名の女子園児を従えてますね。これも緑色の園児服です。
      遠くなのでよくわかりませんが、黄色と黒の縞模様の筒のような物をこちらに向けています。

キンダイチ:おやおや、みずきさんもお早いご到着で。

みずき  :……。

アキラ  :ぶっころす!

G   M:アキラはペットボトルを持った園児に、ミョルニルで殴りかかります。
      しかし、園児は右手のペットボトルでミョルニルをさばきました。
      両者とも、一瞬の隙ができます。
      そこにケンのけん玉が飛び、アキラを直撃しました。

ゆうすけ :どこ狙ってんだ!?

ケン   :いやー、同じさくら幼稚園のメンバーとして、当然のことをしたまでっすよ。

ふう   :…………。

そうた  :……ちっ、じゃますんじゃねぇよ。

アキラ  :……。 ←無言でケンをにらむ

ケン   :ひぃぃぃっ!

キンダイチ:まあいいでしょう。女王様、彼はウスバカゲロウかゴキブリのどちらでしょうか?

はるひ  :よくわかりませんけど、ゴキブリですわね。

キンダイチ:キシシシ。ゴキブリですか。まあ、無いよりはマシでしょう。

G   M:そして、女の子は筒を口にくわえ、ゆうすけに照準を合わせます。
      おそらくは、吹き矢の類でしょう。
      前衛がいるのに離れた位置で照準を合わせるということは、
      おそらく、あの距離から当てられる自信があると思われますが。

キンダイチ:どうします? 逃げるのなら追いませんが。

ゆうすけ :アキラ、今は逃げるんだ!

アキラ  :おまえにめいれいされるすじあいはない!

キンダイチ:仕方ありません。自ら望んで、暗い暗い闇の中に落ちていくというのなら、
      それも仕方がないでしょうね。

G   M:そう言いつつ、キンダイチはポケットに手を突っ込み、目を閉じました。
      この中から武器が出てくるとすれば、はるひと同じタイプの小型投擲武器か
      小型装備武器の可能性が高いと思われます。
      同時に、誰も気付かない程度ですが、女の子は筒をくわえたまま、向きを少し変えました。
      そして、キンダイチに少し遅れて、はるひとケンを除く
      さくら幼稚園の園児たちのほとんども目を閉じます。      

ゆうすけ :「目つぶれ!」って言いながら、ふうちゃんの頭を抱いてかばう!

G   M:ゆうすけの読みは正解です。キンダイチの発言の中に何か合図が含まれていたらしく、
      さくら幼稚園の園児によって明るい電灯がともされ、辺りはまぶしい光に包まれます。
      アキラ、はるひ、ケンの3人は目がくらみ、ライトがつくタイミングがわからなかった
      ゆうすけとふうも、少しの間目を閉じたまま。
      その間に、キンダイチを含むさくら幼稚園の幹部3人がアキラを攻撃したようで、
      アキラの悲鳴が聞こえます。

アキラ  :ぐあーっ!!?

G   M:目を開けたゆうすけとふうが見たのは、
      ジュースが入ったペットボトルの一撃を受けて倒されるアキラの姿でした。
      アキラの周りには、何か小さな物が散らばっていますが、
      注視する余裕が無くて、正体まではわかりません。
      女の子の武器が吹き矢、キンダイチが小型投擲武器だったんでしょうけど……。

ゆうすけ :ふうちゃんだけでも、連れて逃げる!

ふう   :布団は、捨ててく……。

G   M:どういうわけか、さくら幼稚園の幹部たちは追ってきません。
      追い立てるように、一般園児がついてくる程度ですね。
      程なく、2人は侵入時に靴を隠しておいた場所までたどり着きます。
      そこから敷地を出るのは簡単ですね。どちらに逃げますか?

ゆうすけ :一旦、ひまわり幼稚園に帰るしかない!






G   M:一方その頃、ベルが鳴り止んださくら幼稚園のホールでは。

働きアリ :キンダイチさん、2人とも、さくら幼稚園を出ました!

キンダイチ:キシシシ。どちらに逃げたかは言わなくていいですよ。
      ……では、これより、ひまわり幼稚園に進軍します。

はるひ  :!?

ケン   :……お、追わないんじゃなかったんすか、ダンナ……。

キンダイチ:ええ、追ってなどいませんとも。どこに逃げたかも『知りません』し。
      もしかすると、ひまわり幼稚園を制圧する過程でお会いするかもしれませんが。

ケン   :……そんな……。

そうた  :ガハハハハ。さすがはキンダイチだ!

みずき  :……おろかな……。

キンダイチ:どうやらまともなリーダーもいないみたいですし、幹部が留守の間に攻め滅ぼすことができれば、
      新しい城が手に入りますよ。新しい城主にふさわしいのは……。

G   M:キンダイチは、そうたに意味ありげな視線を向けます。
      意味がわかっていないそうたに代わって、みずきが口を開きました。

みずき  :……それがしが……。


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