バトルのチュートリアル−23





G   M:1ターン目のひまわり幼稚園の攻撃は、不意打ちのターン。
      不意打ちのターンは相手の防御態勢が全く整っていないため、
      10以上の出目が出るまで何度でもサイコロを振りなおすことができます。
      通常の集団戦で不意打ちできそうな場合、回復を捨てて攻めに徹するかなどの駆け引きもあるのですが、
      今回は敵がたった1人な上、元々まともな回復役もいないことから、ひまわり幼稚園はひたすら攻める構成です。
      とはいえ、敵の本拠地真っ只中なわけですから、敵の行動前に倒せなかった場合は覚悟しておいてください。
      以下、振りなおしの表記は省略します。攻撃どうぞ。

ゆうすけ :(ころころ)11! ダメージが(ころころ)3・2・1・1・4・5!

G   M:ゆうすけのロンゴミニアト!
      プラスチックソードによる突きが命中し、メガネの園児は後ずさりします。
      出目1の分は無効なので、合計14点のダメージを与えました。
      キンダイチのHPは、残り66です。

ふう   :(ころころ)……10……ダメージ(ころころ)2・1・1・1・2+2……。

G   M:ふうの二十歯痛咬撃(ベインテ・ペイントゥース)!
      しかし、噛み付きが浅く、6点のダメージを与えるにとどまります。
      キンダイチのHPは、残り60。

キンダイチ:なっ、なんですかこいつは!?

アキラ  :……しね! (ころころ)11だ!

G   M:怒れるアキラのミョルニルが、キンダイチに迫ります。
      ダメージは7D+3です。どうぞ。

アキラ  :(ころころ)5・3・2・6・4・1・2! 追加(ころころ)4!

G   M:1を除いて3を足して、29点のダメージ!
      キンダイチのHPは、一気に残り31です。

キンダイチ:ぐおっ!?

G   M:アキラのミョルニルは、なんとかガードしようとしたメガネの園児の肩を捉えます。
      勢いでよろめきながら、メガネの園児は壁際まで追い詰められました。
      不意打ちなので、1ターン目の裏、さくら幼稚園は何もできません。
      続いて、2ターン目の行動をどうぞ。今度は、ミスもありうる通常のターンです。
      倒しきれなかった場合、2ターン目の裏にはさくら幼稚園は行動を開始します。
      全員、出目10以上で命中ですね。

ゆうすけ :(ころころ)6か!

G   M:壁際に追い詰められていたメガネの園児は、さっと横に動いてゆうすけの突きをかわします。

ふう   :……(ころころ)惜しい、9……。

G   M:ふうの噛み付きも、またしても横に動いたメガネの園児に、あとちょっとのところでかわされます。
      そして、アキラ以外のひまわり幼稚園のメンバーは気付きます。
      一見ただ追い詰められていると見えたメガネの園児の行く手の壁には、
      非常用の火災警報ベルのボタンがあることに。

ゆうすけ :アキラ、そいつを止めろ!

アキラ  :言われなくても! (ころころ)6!?

G   M:機転を利かせて火災警報器の前を狙ったアキラのミョルニルは空振り。
      メガネの園児は、まるでアキラの動きを予想していたかのように火災警報器の前でしゃがみました。
      そして、一気に飛び上がって、ボタンを押します。

キンダイチ:……『強く押す』っと。キシシシシシ。

G   M:火災警報器の『強く押す』と書いたボタンが押され、
      辺りにジリリリリリリリリ……という警報音が鳴り響きます。
      大人が逃げてしまったこの町では、消防車が来ることはありません。
      しかし、押されてから数分間鳴り続けるこの警報音が鳴らされた理由を調べるため、
      程なく、さくら幼稚園の園児たちが、この部屋に押し寄せることになるでしょう。

ケン   :あいつ、漢字が読めるのか!?

ゆうすけ :こっち見てたんなら手伝えよ!

G   M:火災警報器のベルが鳴り響く中、メガネの園児は、
      呆然とするひまわり幼稚園のメンバーの方に向き直ります。
      そして、メガネの位置を直しつつ、余裕綽々の表情で、口を開きました。

キンダイチ:キシシシ。これはこれは、ようこそおいで下さいました。
      まさに飛んで火に入る夏の虫。ご苦労なことです。キシシシ。

G   M:ここまでくれば、ゆうすけ、ふう、アキラの3人も、
      目の前の園児がただのザコではないことに気付きます。

ゆうすけ :……お、お前は……!?

キンダイチ:自己紹介が遅れました。僕はさくら幼稚園の王、『かねだはじめ』といいます。
      もっぱら『キンダイチ』と呼ばれていますけどね。以後、お見知りおきを。

ゆうすけ :……王、だと!?

アキラ  :はるひちゃん! いっしょににげよう!

はるひ  :……。

G   M:はるひに手を差し出したアキラは、はるひの異変に気付きます。
      普段のはるひなら、ここで悪態をついたりとか、何らかの反応を示すはずですが……。

アキラ  :はるひちゃん!?

キンダイチ:お陰様で、僕の城は今、蜂の巣をつついたような騒ぎですよ。
      最初に駆けつける忠臣は、カブトムシか女王蜂か、それともアリ共か……。キシシシ。

G   M:そして、ゆうすけ、ふう、ケンの3人も、何かがおかしいことに気付きます。
      違和感というか、何か、とんでもない前提が間違っているような気がします。

キンダイチ:今のうちに、腹いせに僕を殴るという手もあるでしょう。しかし、大した意味はありません。
      さくら幼稚園を、頭を潰したくらいで動けなくなる生き物と一緒にしないで頂きたいものです。キシシシ。

G   M:ひまわり幼稚園のメンバーがすべきことははっきりしているはずでした。
      目の前の敵を倒して、囚われのはるひを連れて逃げる、ただそれだけのことです。
      しかし、敵のボスがおしゃべりに興じているこの好機に、はるひが動こうとしないのです。

キンダイチ:とはいえ、実際は、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑うしかないでしょうけどね。
      捕獲された弱い昆虫の末路はご存じでしょう? キシシシ。

G   M:そう言いつつ、キンダイチは意味ありげな視線をふうに向けます。
      対して、ふうは一歩も退かずにその視線を受け止めました。

ふう   :……うちのナワバリで女の子さらって行くって……どういう了見?

G   M:ふうの声は、静かでありながら、園児に似つかわしくない重さを伴っていました。

キンダイチ:キシシシ。これはとんだ誤解です。誰もさらってなんていませんとも。
      ところで、戦いの疲れを取るために、甘い物が食べたいのですが。ねぇ、女王様?

G   M:はるひは、キンダイチに向かって、アメを軽く放り投げました。

ひまわり一同:!!!?

キンダイチ:キシシシ。ありがとうございます、女王様。

はるひ  :べつに、あなたのためにあげたんじゃありませんわ!

G   M:ゆうすけ、ふう、ケンの3人は、違和感の正体に気付きます。
      ひまわり幼稚園ではかなりの実力者として知られているはるひが、
      先程の戦いでは、こちらに加勢する素振りがなかったのです。
      アメを取り上げられてたならともかく、どうやらそうでもない様子。
      しかも、たった今、女王様と呼ばれた上に、敵にアメを与えるという行動に出ました。

アキラ  :はるひちゃん!!!

ゆうすけ :……ど、どういう……ことなんだ……?

はるひ  :同じさくら幼稚園のメンバーとして、とうぜんのことをしたまでですのよ。


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