成功判定のチュートリアル−10





G   M:前回に引き続き、特殊な成功判定の形態をご案内します。

はるひ  :またですの?

ケン   :はるひさんの言うとおりっすよ!

アキラ  :……。

ふう   :……で、どうすればいいの?

G   M:目の前には幅約2メートルの小川があります。
      4人は向こう岸に渡りたいと思っていますが、橋が見当たりません。
      川はとても浅くて流れもゆるやかですが、
      その分淀んでいるのか、水底がヘドロのように汚いんですね。
      歩いて渡ると、しばらくニオイが取れないでしょう。

ケン   :橋をかけるのがベストっぽいっすね。

はるひ  :そんなのわかってますわ。アキラくん!

アキラ  :……わかった。

G   M:しかし、橋にできそうなものは見当たりません。

アキラ  :……なん……だと……。

G   M:ダッシュジャンプして飛ぶなら、すばやさ基準で難易度は7ですね。

はるひ  :……とべそうですの?

G   M:成功率は、はるひ6分の5、アキラ6分の4、ケン6分の5、ふう6分の1です。
      他にいい手がありそうなら、提案してみてください。

ケン   :水は浅いんすよね?

G   M:浅いです。5センチ以下といったところでしょう。

ケン   :へっへっ。いいこと思いつきやしたぜ!

はるひ  :早く言いなさいな。

ケン   :ふうのふとんひっぺがして、橋にするんすよ!

ふう   :!?

はるひ  :へぇ……いしけんにしては、なかなかやりますのね。

アキラ  :……。

ケン   :おら、ふとんよこせよ。オマエ、どのみち飛べねーだろ?

ふう   :いや。

ケン   :ケチくさいこと言ってんじゃねーよ。どうせオマエ、ふとんごと落ちるだろ?

ふう   :……下に何も着てないから、ちょっと待って……。

ケン   :な、なんですとー!!!?

ふう   :……ふとんの中にパンツとかあるから……今からはくから……。
      川の方向いて、ふとんの前側だけ開けてごそごそやるよ。

ケン   :へっへっ。回り込んでのぞくに決まってんだろ!

G   M:回り込んだところ、ふうは最初から服を着ていたわけですが。

ケン   :……へ?

ふう   :ふとんの重みも加えて、突進する。

G   M:至近距離からの突進による不意打ちだと避けようがありませんので、
      ふうはちから基準、ケンはしぶとさ基準で非対称判定を。
      あと、言い忘れてましたが、勝者がただ1人決まる形式で同点だった場合、
      最上位で同点だった全員がサイコロの振り足しを選択できることになります。
      レースの途中とか、勝者がただ1人決まる形式以外では起こりませんので、注意してくださいね。
      なお、今回、ふうは不意打ちで+2、加速で+2の修正を得ています。
      今回は背水の陣という一歩下がったらアウトな状況なので、加速に+2の修正をつけました。
      基準が7対9なので、それでもケンがだいぶ有利ですが。

ふう   :(ころころ)11……。

ケン   :楽勝だぜ! (ころころ)11!?

G   M:まさか本当に同点になるとは……。例としてはありがたいですが。

ケン   :ちくしょう……。

ふう   :(ころころ)+6。止める。

ケン   :(ころころ)……3……だと……。

G   M:さて、スケベ心丸出しで、のこのことふうの罠にかかったケン。
      ふとんを背負ったまま加速をつけて体当たりしてきたふうの突進を
      一度は止めたかに思えましたが、結局そのまま弾き飛ばされ、
      仰向けで川へと転落し、大の字になったのでした。
      歩幅くらいの距離なら判定無く渡れますし、渡っていいですよ。

ケン   :……ち、ちくしょう……。

ふう   :……橋、できたよ……渡るね……。

ケン   :げふうっ! お、重い……。

G   M:ケンを足場にして、ふうは無事に向こう岸へと渡れます。

アキラ  :あぶないから、いっしょにわたろう。

ケン   :ちょ……2人は……。

アキラ  :……おれが前でわたる。よいしょっと。

ケン   :ぐおっ!

はるひ  :わたしもアキラくんの手を取って、わたりますわ。

ケン   :ぐおおおおっ!

はるひ  :うるさい橋ですのね。上見たら、かおふみつぶしますわよ。

ケン   :ひぃぃぃっ! 目ぇつぶりますぅぅぅ!

G   M:今回のチュートリアルはいかがだったでしょうか?
      このように、GMが提示しなかった行動を選択してもいいわけですね。
      提案の際には、できる限り具体的な方法をGMに示してください。
      今回は全く違うアプローチで問題を解決しましたが、
      例えば、どうしても解けない知恵の輪を力ずくで曲げて外したりとか、
      基準となる能力値や難易度が違うだけといった場合もあるでしょう。
      提案に対して、GMは、行為の可否と、可能ならば難易度を設定します。
      もちろん却下しても構いませんし、最終的な決定権はGMにあります。
      今回は川の幅が狭くて浅かったので、1人を犠牲にすれば全員が渡れるケースでした。
      成功判定のチュートリアルは、これで終了です。それでは!

ケン   :(……お、覚えてやがれ……。)


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