事務官の飲み会
G M:法務省の建物内の一室。
一般的なワンルームマンションより狭い室内で、2人の事務官が缶ビール片手に乾杯しています。
事務官A :今週もお疲れ様でした。かんぱーい!
事務官B :かんぱーい!
事務官A :防音だとわかっててもちょっと声を抑えてしまう悲しい習性。
事務官B :あるある。(笑)
事務官A :今日もお仕事しんどかったです。今日も狩谷一等怖かったです。
事務官B :あるある、ありすぎる。(笑)
事務官A :今日も狩谷一等が事務官にムチをくれ、マコトさんはアメをくれます。
事務官B :あるなー、ありすぎるなー。(笑)
事務官A :マコトさんはなぜか狩谷一等にも強いです。秘密を教えてほしいです。
事務官B :あるけどなー、この前もブログに『ハンターハンター』とか書いてたし。(笑)
事務官A :あの呼び方、狩谷一等怒るんだよな、当たり前だけど。でもマコトさんだけ怒られない。
事務官B :法務省七不思議の1つだよなー。戸籍たどっても、赤の他人だし。
事務官A :あの堅物に限って隠し子とか絶対ないし。
事務官B :身辺調査で必ず見つかるし、見つかったら一等になれるわけないし。
事務官A :じゃ、あるあるネタに続いて、あるないネタいっとこう。
事務官B :よっしゃ、来い!
事務官A :マコトさんが面接に来たとき、狩谷一等はイスから転げ落ちた。あるかないか!?
事務官B :あの堅物がそれはないわ(笑) ……それ、試験の話?
事務官A :面接って言ったら試験だろ。
事務官B :なら、逆にありか……ありだな!
事務官A :……正解! 賞品は……何もなし!
事務官B :……何もないのかよ!
事務官A :……と、ちょっぴり声を抑えてしまう悲しい2人でした。
事務官B :で、なんで転げ落ちたの?
事務官A :異動した先輩に聞いた話だし、よくわからん。
事務官B :……まさか、異動の理由って……その人が2人の秘密を知ったからとか……?
事務官A :あの堅物がそんなことしないとは思うけど……。
事務官B :イスから落ちるってことは、びっくりしたってことか? 誰かに似てたとか……。
事務官A :それだと、近くに置いてるうちに違ってるところが見えてきて、幻滅するもんだろ。
事務官B :そうかもなー。お前はどう思うよ?
事務官A :あまりのカリスマ性に衝撃を受けたってのがひとつ。
事務官B :ありそうだな。他のは?
事務官A :他の派閥の取り込み策を入れ知恵したとか。
事務官B :あるかもなー。狩野派や一色派にまで支持してる奴いるっていうし……。
事務官A :何か面接にあるまじき天然発言をしたという可能性も。
事務官B :ありそうだなー。ブログで『ハンターハンター』だもんなー。
事務官A :いや、「ボクは狩谷派ですけど、他の派閥の皆さんにも支持してほしいです!」には負ける。
事務官B :派閥の意味ねー。(笑) あの人、どこまで天然でどこまで計算なの?
事務官A :三等ってことは知能テストはいいはずだし……マコトさんって、他の三等よりも有能じゃね?
事務官B :てことは、二等にはなれるか……なんでだろう、ずっとあの人の下で働きたい気がする。
事務官A :実は俺もだ。これがあの堅物をうならせたカリスマか……。
事務官B :明日からも、マコトさんが二等になる日まで、がんばろう!
事務官A :よし、今日はとりあえず飲むぞ!
事務官B :おー!
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