ある執政官補の発言−1



執政官制度の始まりが、衆愚政治への対抗のためだったと言われているのはキミも知っての通りだよ。
どんな馬鹿でも無能でも、票さえ集めりゃ議員様なわけ。
そう、第四の権力といわれるマスコミ、第五の権力と言われるインターネット。
ボクらが若い頃は、インターネットの方が弱かったんだよ。信じられないでしょ?
だけども、インターネットが常に我々の味方をするとも限らない。
そこで、我々行政官僚が立ち上がったわけだよ。
行政権から飛び出した執政官が第六の権力になった。
後に官僚革命と言った奴もいるらしいが、言いえて妙だとボクも思うよ。

色々な手は考えた。
とはいえ、憲法改正は無理だと考えて間違いないだろう。
挙国一致体制下ですら、第四と第五の権力が邪魔をする。
昔、大減税と引き換えのアレですら失敗しただろ?
憲法は改正できない、そういうわけ。

ならね、憲法の解釈でなんとかできないか、ってなるのは当然の流れなわけだよね。
15条は覚えてる?
憲法15条1項『公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。』
憲法15条3項『公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。』
そう、国会議員以外の公務員を選挙しちゃいけないなんて、どこにも書いてないわけ。
極端な話、法律さえ作れば全ての公務員を選挙することだってできるわけ。
ま、手間考えたらありえないけどね。

もちろん、41条はそのまま残ってるからね。
『国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。』っての。
でもね、その憲法下で、ずっと官僚が法案作ってたわけでしょ?
細かいことを除けば、民意のあるなしの差でしかないんだよ。
なら、我々も民意で補強しようじゃないかってのが、当時の法務官僚の考え。



                    ――ある執政官補の発言

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