ある虚言者の記録−4





『王子』



むかしむかし あるところに ひとりのおうじさまがいました。
おうじさまは とてもかしこく とてもりりしく そして とてもつよいひとでした。
おうじさまのまわりには おんなのこがさんにん。
ひとりはたかびしゃなおひめさまで ひとりはおひめさまのむくちなめしつかいで
もうひとりは さびしがりやのまじょでした。

そのくにには とてつもなくえらいおうさまがいました。
とてつもなくかしこく とてつもなくりりしく そして とてつもなくつよいおうさまでした。
おうさまは まじょにわるさをさせないようにと いつもおうじさまに ねんをおしていました。

おひめさまは おうじさまのことがだいすきで おうじさまと たいへんなかよくしていました。
むくちなめしつかいも おうじさまのことがだいすきでした。
あるひ おうじさまのことがだいすきだったまじょは おひめさまをさらってしまいました。
さびしがりやのまじょは ついでに おひめさまのめしつかいもさらっていきました。

おうさまのめいれいで おうじさまは まじょをたいじしにいきました
おうじさまがおしろにかえってきたとき おうじさまのまわりには おんなのこがさんにん。
ひとりはたかびしゃなおひめさまで ひとりはおひめさまのむくちなめしつかいで
もうひとりは さびしがりやのまじょでした。

でむかえたおうさまに おうじさまは とつぜんきりかかりました。
まじょはおうさまにじゅもんをとなえ おひめさまとめしつかいも ふしぎなじゅつをつかいます。
けれど おうさまには かないません。
おうさまは とてつもなくかしこく とてつもなくりりしく そして とてつもなくつよいのですから。

はんらんをおこしたつみで おうじさまは ろうやにいれられました。
おうさまは いっしょにはんらんをおこした さんにんのおんなのこにいいました。
「がいこくの つよいぐんたいがせめてくるまで だいすきなおうじさまの せわをしていなさい。」
おうさまは とてもやさしかったのです。



                    ――ある虚言者の記録


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