能力系統



今回は、能力系統について解説しましょう。

夜想曲(ノクターン)には、いくつかの系統があります。
しかし、これらの系統分類は便宜的なものにすぎず、
複数の系統に当てはまる能力も多々あります。
例えば、武器に電気を帯びさせる能力は戦闘系のみに分類されますが、
停電時の照明や緊急電力に使うなら生活系能力の一種といえますし、
敵の情報機器をショートさせるなら情報系の能力といえます。
結局のところ、能力は使い方次第なのです。

・戦闘系能力

戦闘に役立つ能力です。補助・牽制ではなく、戦闘時のダメージを
直接上昇させることができるのが大きな特徴です。
本来は戦闘系能力として使用可能であるにもかかわらず、
本人の性格などから戦闘には使用しないという能力者もいます。
例えば、移動系能力は高速で体当たりするなり死角に瞬間移動するなり、
その気になれば戦闘に応用できるものばかりです。

・情報系能力

情報収集やその妨害に役立つ能力です。
能力モノの漫画では地味なキャラクターが使うことが多いですが、
情報社会である現代においては、花形の一つです。
念話や文字読解などの補助的な能力だけでなく、
高位能力者ともなると、相手の視覚を奪う能力者すらいます。

・結界系能力

世界の一部を外界から隔離する能力です。
隔離の方法は、隠れるだけ、物理的な壁、道の迷路化など、
能力によってさまざまです。
隠れるだけなら情報系能力の一種ともいえるでしょうけど、
最大の違いは、多数の味方に一度に能力を及ぼせる点にあります。
結界の優劣は、発見しようとする者の能力との相性にもよりますが、
レベルが高い能力者ほど、強力な結界を作れる傾向にあります。

・生活系能力

日常生活に役立つ能力です。
兵站・戦闘補助などの能力もここに含まれます。
戦闘に役立つものから冗談のような能力まで、
バリエーションに富んだ能力カテゴリーです。

・移動系能力

移動に役立つ能力です。
足を速くする能力はもちろん、乗り物の操作や飛行や瞬間移動まで広く含まれます。
定義上は全てが生活系能力の一種といえ、瞬間移動の場合は世界系能力の定義にすら当てはまりますが、
通常はそれらを兼ねない純然たる移動系能力として扱われます。

・回復系能力

戦闘に役立つ能力です。
回復の威力を直接上昇させることができるのが大きな特徴です。
この能力を応用して、敵の体調を悪化させる能力者もいます。

・世界系能力

個人レベルを超えて、世界の法則に影響を与える能力です。
結界を強制的に破るなど、他者の能力を否定する能力もこの系統にあたります。
なお、情報系能力にも似た効果の能力がみられることもありますが、
世界系能力は世界法則の改変、情報系能力は情報のみの改ざんという点で
両者は質的に大きく異なります。
神のごとき強力な能力から、実質的に何の役にも立たない能力まで、
能力レベルの上下差が最も激しい系統であるといえるでしょう。



なお、上記のような分類とは別に、『召喚系能力』『パペット系能力』など、
能力の外形に応じて分類される場合もあります。



能力系統について、具体例を挙げて説明しましょう。

例えば、傘下の幼稚園の建物1つを城砦化する能力があったとします。
その能力系統は、戦闘時にそこにいる自軍の与えるダメージが上昇するなら戦闘系能力、
書類上その建物の存在履歴を抹消するなら情報系能力、
不可視の壁で敵の攻撃を防げるなら結界系能力、
不思議な力で食糧を自給自足できるなら生活系能力、
くぐると傘下の幼稚園に瞬間移動する扉があるなら移動系能力、
戦闘時にHPの回復量が増加するなら回復系能力、
建物ごと地上1メートルの高さまで浮き上がるなら世界系能力、
ということになります。
もしこの中で2つ以上の能力を兼ねるなら、双方の能力系統であるといえます。

例えば、上空100メートルの位置まで幼稚園の建物ごと浮かび上がり、
空中要塞として町内のどこにでも進軍できる能力があるとします。
とすると、それは敵の攻撃を妨げるため結界系能力であり、
移動能力を持つため移動系能力であり、
重力を盛大に無視しているため世界系能力であることになります。
もちろん、そんな無茶な能力が実在するかはまた別の話ですけどね。



                    ――ある虚言者の記録


ある執政官の記録−1 へ
事務官の飲み会−3 へ

トップページへ