事務官の飲み会−2





G   M:法務省の建物内の一室。
      一般的なワンルームマンションより狭い室内で、2人の事務官が缶ビール片手に乾杯しています。

事務官A :今週もお疲れ様でした。かんぱーい!

事務官B :かんぱーい!

事務官A :……。

事務官B :……。

事務官A :……マコトさん、近々異動だそうです……。

事務官B :そりゃ、そういうこともあるだろうな……。

事務官A :……思った以上に早かった……。

事務官B :正規ルートの中で最年少だからな……覚悟しとくべきだったかもなー……。

事務官A :あの堅物と同じ高校受かってたらしいし……。

事務官B :聞いたことないし! 蹴ってきたの!?

事務官A :三等試験で合格証書見せるために受けたって……。

事務官B :そんなバカな……。

事務官A :東大よりは全然楽じゃね?

事務官B :……バカ……うちの兄貴、あそこ落ちたんだぞ……。

事務官A :やっぱ、偉い人は中学の頃から違うな……。

事務官B :うちの兄貴、大学だけなら俺らより上なんだぞ……。

事務官A :……で、数々の名門大卒を泣かせてきた知能テストに一発で受かる……。

事務官B :その後、どういうわけかあの堅物に気に入られて……。

事務官A :なのに俺らみたいな若い事務官にもさん付け。

事務官B :俺らのが年上だけどな。

事務官A :いやいや、例の文科(もんか)代理のクソガキとか、やりたい放題だったらしいし。

事務官B :見た目と悪ふざけだけはお子様な上司か。最悪だな。

事務官A :それに比べて、マコトさんがどれだけ優しいことか……。

事務官B :言わずもがなってやつだな。

事務官A :あの堅物とは違って。

事務官B :あの堅物とは違うわな。

事務官A :何か考えないとな……。

事務官B :何か?

事務官A :送別会で何渡すかだよ。


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