昇進のすすめ





G   M:法務省の建物内の一室で、2人の執政官補が会話しています。

狩谷   :……で、話っていうのはね……何だと思う?

マコト  :……2人っきりってことは……ヒミツのお話っすよね?

狩谷   :よーし、特別にヒントをあげようか。一色、二等、補欠。以上だ。

マコト  :……一色一等のところの二等に何かあったんすね。
      で、問題は解決済みか、それに近いところにあるんすかね?

狩谷   :ほぼ正解だ。小波(こなみ)二等のデータは?

マコト  :……データベースを参照させていただいていいっすか?

狩谷   :いや、うろ覚えでいいよ。

マコト  :小波英一。26歳。一色派二等執政官補で執政官代理。現在は……赴任地不詳っす。

狩谷   :小波二等の件の詳細は、関係者以外は一等しか知らないんだけどね。

マコト  :……『あれ』絡みっすか?

狩谷   :一応そうなるか。

マコト  :……? ……となると、結構な重大事項っすよね……。

狩谷   :『あれ』を使った最先端分野に携わっていた、一色派の小波二等が辞任するそうだ。

マコト  :……緊急じゃないっぽくて内緒話ってことは……まさか、ボクに!?

狩谷   :……まあ、待ってよ。ボクだって、キミに無茶をさせたいわけじゃないからね。

マコト  :……無茶、っすか……?

狩谷   :小波は失敗したんだよ。アレはもう駄目だね。

マコト  :……でも、小波二等って、確か凄いエリートっすよね? 狩谷さんほどじゃないっすけど……。

狩谷   :ああ、心身の故障らしいよ。

マコト  :……『あれ』の件で今更……ってこともないっすよね?

狩谷   :ないない。二等止まりとはいえ、エリート馬鹿にするんじゃないよ。

マコト  :とんでもないっす! ボクなんか、まだ三等っすよ。

狩谷   :……彼の後任になるんなら、キミ二等ね。で、執政官代理。

マコト  :マジっすか!!?

狩谷   :そりゃ、先端だからね。それなりに根回しはしたけどもさ。

マコト  :ありがとうございます!!!

狩谷   :『あれ』の件で眉一つ動かさなかったキミならどうか、ってことになってね。

マコト  :でも、大体予想つくっすからね。

狩谷   :……今はそれが頼もしいよ。ああいうのはキミみたいなののがいいかもわからんね。

マコト  :……ボク、狩谷さんについてきてよかったっす!!!

狩谷   :……ボクの下にキミが来てくれただけで奇跡だけどね。
      で、残念ながら一色派のホープが失敗しちゃったわけ。
      ま、この件がうまくいけば、『あれ』は伏せてもいい宣伝になるよ。
      結果次第では、一等執政官補の座をキミに譲ろう。

マコト  :!!!?

狩谷   :譲るからには、勝ってよ。

マコト  :………………ボク、がんばります!!!

狩谷   :……内容聞く前に返事しちゃってもいいの?

マコト  :ボクは狩谷さんを信じてます!! 狩谷さんについていくっす!!

狩谷   :……ああ、ありがとうね。


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