能力奪い





とても残酷な話ですが、人間は平等ではありません。
生まれつきの能力からして、大きな個人差があります。
ある人には簡単にできることでも、あなたにはとても難しいことかもしれません。
もちろん、逆もまた然りですが。
しかし、自分より優れた他人の長所を無断でちょっぴり貸してもらえるのなら。
いつもとは少し違った世界が見られるかもしれません。



『吸血鬼(ヴァンパイア)』



さわきたましろが使用する、世界系レベル7の夜想曲(ノクターン)です。
他人の能力を1レベル分奪い、一時的に自分のものにすることができます。
この能力の行使には、素手か愛用の武器で、相手に触れることが必要です。
奪える能力は、一度に1つだけ。
新しい能力を奪おうとして上書きに成功すれば、上書き前の能力は使えなくなります。
それでも上書き前の能力を使いたければ、もう1度相手に触れて、上書きしなければいけません。
もちろん、その上書きの前に使っていた能力は使えなくなりますけどね。



能力を奪われた相手は、能力レベルが1レベルだけ下がった状態で、
能力を使用することができます。
とてもレベル7とは思えない、実に慎ましい能力です。
もっとも、大人が道具を使っても再現できない超常現象のほとんどは、
最低でもレベル5は必要ですので、能力を奪われたことによって
レベルが4以下になると、能力が使えなくなってしまいます。
また、重力に逆らう能力、例えば飛行能力だと、
奪われたことによってレベルが5以下になると、使えなくなってしまいます。



なお、奪った能力を返すには、原則として、
奪った相手にもう一度触れなければいけません。
したがって、戦闘系の仲間の能力を借りて初撃を食らわせ、
すぐさま能力をオフにして今から攻撃する仲間に返す、といった芸当はできません。
また、返したい相手に触れなくても、新しい能力を上書きすれば、
上書き前の能力の維持は彼女の能力の限界を超えるため、
元々奪っていた能力は自動的に持ち主に返ります。



あとは、能力に目覚めた相手であれば、能力の内容を知らなくても、奪うことはできます。
奪った能力は、基本的にその内容を知らなければ使えませんが、当てずっぽうで使ってみることもできます。
例えば、感知系の能力と当たりをつけて、色々感知しようとしてみることができます。
もちろん、能力値そのものは奪えない上、能力ごとの発動条件を満たさなければ使えませんが、
工夫次第で可能性は無限大です。



ところが、いくら多彩な能力行使の可能性があるとはいっても、
彼女が行使できる他人の能力は、所詮レベル1にすぎません。
もう一度能力を行使したところで、決して2レベル分奪えたりはしないのです。
彼女らしい、実に慎ましい能力です。
ですから、味方の能力を借りたところで、たいしたことはできません。
そう。この能力の真価は、敵に対する嫌がらせにあるのです。
戦闘系能力者の自慢の攻撃力を地味に奪い、ときに相性のいい相手の能力を封じます。
突然あなたの能力が減退し、目の前の人間がそれらしい能力を使っているとしたら?
あるいは、戦闘中に、突然能力が使えなくなってしまったとしたら?
慎ましくも嫌らしい、彼女らしい能力といえるでしょう。


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