ある暴君の発言−2



オレらがやらなきゃいけねぇことはわかってる。
気は進まねぇが……しばらくの間、執政官代理を守りきる。

あのくそ真面目そうなガキだよ。
どうせ研究施設の天才児かなんかだろ。

今は、中央と連絡取れねーように、太陽ホテルのスイートに閉じ込めてある。
もちろん、快適な生活は保障してるぜ?
なのに、窓から紙飛行機で助け呼んでるらしいぜぇ。
ムダだっつーの。

ホテルのエリアは押さえてるが、この辺以外は、レジスタンスの大人が潜んでねぇとも限らねぇ。
黒服の話、テメェも聞いたことあるだろ?

あとは、執政官代理を信用させて、オレらが代理になる。
これはテメェにしかできねぇことだ。
代理の代理だよ。そんな法律あっただろ?
オレもよく知らねーけどな。

他の奴らもあのガキの身柄は欲しいだろーが、時間切れまで守りきりゃ勝ちだ。
時間はかかるが、その分信用も得られるだろーよ。
オレらが執政官代理になれりゃ、乗り物なんかどうにでもなる。
で、精鋭で一気に中央に乗り込む。
国会占拠してる中央の園児共を排除して、俺らが英雄だ。
できそうな気がしてきただろ?
頼むぜ、兄弟。



                    ――ある暴君の発言


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