視覚奪い





人は、情報を得ることに貪欲な生き物です。
人間の目は前面しか見ることはできません。しかし、もしも背後も同時に見られる能力を手に入れたら、
もしも離れた場所を同時に見られる能力を手に入れたら、それを使わない人間はいないでしょう。
テレビやインターネットの映像で、行ったことのない場所に旅行した気分を味わう。
そういった番組でテレビカメラが未だに肩にかつがれて使われているのは、
視聴者の臨場感を生み出すためのものなのです。



『千の瞳(サウザンド・アイズ)』



私、みやながあずさが使用する、情報系レベル8の夜想曲(ノクターン)です。
他人の視覚を無断で共有し、見ているものを盗み見ることができます。
視覚を共有された本人は何も気付かないまま、自分の目で見続けることができます。
とはいえ、プライベートを覗き見る気はありませんので、ご安心ください。
もちろん、私自身の視覚は常に有効です。自分から目を閉じたりしない限りの話ですが。
ここまでならせいぜいレベル6程度の力でしょうけれど、それだけではありません。
能力を行使する距離に制限がないのです。これでやっとレベル7相当の能力になりました。
もちろん、それだけではありません。
なんと、近くにいる者の視覚に働きかけて幻覚を見せることができるのです。
あくまで幻覚ですので、害なんてありません。
目を閉じている間、幻覚は見えなくなりますからね。
その間、私は自分の視覚を使って戦わせてもらいますけど。
あとは、視覚の共有を始めるまでに、多少のタイムラグがあるのが弱点ですね。
神1人の視覚を共有できれば解決するのですが、それはできないようなので……。
でも、攻撃されるほど近くで視覚共有を始める必要はないんですよね。距離が無制限なので。
神以外に対しては、無敵の能力だと自負しています。



視覚共有してるときは、どんな景色が見えているのか?
それはお答えできません。
私にだって、説明できないことはあるのです。


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