冒頭



西暦2050年。

子どもが被害者となる犯罪が相次いだことを背景に、
国会によって、ある法律が制定された。
目的は、犯罪に弱い子どもの法的地位を強め、社会から保護することである。
その法律によって、自分より下のカテゴリーの学生に対する暴力などには、
いかなる理由であれ無期懲役も含めた厳罰が下されることになった。

これにより、小学生以上の学生及び社会人たちは、
幼稚園児を物理的に止める手段を失ってしまった。
すなわち、幼稚園児の無敵化である。

幼稚園児であるから腕力は強くないが、
なにせ彼らに対して罪を犯すことができないので、暴れだすと大の大人でも止められない。
園児たちは仲間を集め、問題行動はエスカレートしていき、
協調性のない園児たちによって、一般社会はひどく混乱した。

さらに、誰の入れ知恵か、無敵化した園児の集団による国会占拠によって立法がなされ、
園児以外の所有物を園児が自由にしてよいという法律までが制定された。
これによって、私有財産の喪失を恐れた多くの企業や一般家庭は園児の多い都市部から撤退。
幼稚園が密集する都市部では、大人たちがほとんどいなくなってしまった。
そして、物資の流入の減少により、園児の食料が不足することが予想された。
それを受けて、不足する食料を確保するため、
園児同士が都市での覇権を競いはじめた。
それは、園児による戦争。

園児戦国時代の幕開けである。

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