第5話・第13節・タイトル未定
浅丘の声 :今からそっちに行くんで、待っててください。
ゆうすけ :……だそうだ。どういう風の吹き回しかは知らんが……。
はるひ :そんなこと言われたって、待つわけありませんわ!
リナ :行き違いになっても仕方ないから、待つしかないかしら。
ゆうすけ :たしかにその通りだな。
はるひ :し、知ってましたわよ!
G M:プールサイドには、あやめ幼稚園の5人と、なわとびで後ろ手に縛られたかりん。
ゆうすけは、かりんに優しく声をかけます。
ゆうすけ :お前の仲間に会っても、取り乱すなよ。
その状態でプールに飛び込んだら、本当に死ぬぞ。
かりん :……うん。
G M:その間に、ましろはかりんに聞かれないように、リナに耳打ちします。
ましろ :(小声で)ボス、こいつは方向感知の能力だ。
リナ :んふふ。君、使えるわね! で、コントロール・ルームはここからどのくらいの距離にあるの?
ましろ :(小声で)どっちが北かわかるだけみたいだ。
リナ :……そっちは使えない能力ね。まあいいわ。これからも頼むわよ。
ましろ :……御意。 ←言ってみたかったらしい。
G M:さて、これからかりんを連れてコントロール・ルームを目指そうとした矢先に聞こえた浅丘の声。
向こうから来ると言っている以上、こちらから無闇に動くわけにもいかず、
戦闘準備をしたまま、少し待つしかありません。
なお、このフロアに通じる入り口はいくつかあるのですが、現在の位置にいる限りは、
敵がどこから出てきたとしても不意打ちされるような距離ではありません。
また、かりんと戦ってみた限り、彼女の戦闘能力はあやめ幼稚園より数段劣るようです。
かりんとほぼ同じ強さの相手が多少策を弄したところで、実力差を覆すのは難しいでしょう。
さて、あやめ幼稚園は、リナの指示のもと、各自が割り振られた入り口を見張ります。
そして、待つこと数分。待ちかねていた筈の敵の到来に対し、
ましろが明らかに狼狽した声を上げます。
ましろ :ボ、ボスっ……!!
G M:ましろの見張っていた方向に目を向けた一行は、海パンにゴーグルの男の子が三輪車に乗っているのを
見つけます。水泳帽を装着し、左手にはピンクのプラスチックバット。
腰にはY字型のパチンコを挿したポシェットが装着されています。
水着一式という点ではこの場にマッチした格好なのですが、他の装備、
とりわけ、まともな頭をしていればここでは絶対に乗らないであろう三輪車が異彩を放っています。
普通に考えれば、プールサイドは三輪車が走りにくそうではありますが、
彼の真の武器がパチンコであることを、ゆうすけたちは既に知っています。
リナ :彼は、十二神将とかいう……。
はるひ :あ、頭おかしいですわ……。
アキラ ;……きぐうだな。こっちもだ。
G M:突如、最悪のタイミングで、元々の文脈に合わないセリフを口走るアキラ。
きっと、大好きな戦隊モノで、ライバルと会話するシーンが頭の中で展開されているのでしょう。
なお、ましろは怯えています。
ジョー :ヒャッハー! 女の子だらけの楽園だぜーっ!
ゆうすけ :俺達は無視か。ていうか、こいつらみんなカオスだな……。
はるひ :なんとなく、おなかが空いてきましたわ。
アキラ ;……きぐうだな。こっちもだ。
かりん :へ、変態だーっ!
G M:もちろん、かりんのセリフは、ジョーへと向けられたものでした。
ゆうすけ :お前は休んでろ。その状態で転んだらまずいし、逃げるなよ。
かりん :わかった!
ましろ :ボ、ボスぅ……。
リナ :落ち着きなさい。皆でかかれば、勝てない相手じゃないわ。
ゆうすけ :(しかし、うちもましろ以外は緊張感無いな……。
でも、俺らは前より強くなってる。こいつも同じくらい強くなってるとして、
れいめいの残り4人がこいつと組んだとしても、勝てない相手じゃない筈だ。)
ましろ :(てんまじゃないにしても、何でこいつがまた……。)
ジョー :ジオテール十二神将の一人、クレイジー・ジョーとはオイラのことだぜベイビー!
はるひ :クレンザーですわね。知ってますわよ!
ゆうすけ :(洗剤じゃねぇよ!)
ジョー :せんざいじゃないぜぇ、おじょうちゃん。
ゆうすけ :(ツッコミがかぶった! ていうか、お前ら同い年だろう……。)
ジョー :ほらよ!
G M:ジョーは、きらきらと光る1枚のカードをゆうすけに投げます。
ゆうすけは、寸分違わず放たれたそのカードを、片手でキャッチしました。
ゆうすけ :何のつもりだ?
ジョー :ッヒャー! この前のカードだーっ!
リナ :どういうこと?
ゆうすけ :あの時、襲われる前に、カードを賭けるとか言ってたんだ。
はるひ :そんなことがありましたのね……。
ゆうすけ :(お前はその場にいただろ!)ああ、そういや、賭けるとか言ってたな。
ジョー :こっちは2枚賭けるからなぁーっ! そっちも2枚賭けろよぉーっ!
はるひ :2たす2で、4ですわね! おーっほっほっ! らくしょうですわよ!
アキラ :……。 ←腕を組んであさっての方向を向き「ふっ、当然だ」とでも言いたげな表情。
ましろ :(合ってる。合ってるが、こいつらは大丈夫なのか?)
ゆうすけ :決着はこの前着いただろ。多分俺達は、この前より強いぞ。
ジョー :バカにしやがって……。
ゆうすけ :バカにはしてない。ていうか、何で毎回、こっちがよそともめてるタイミングで現れるんだ……。
ジョー :クライムカイザーの……っと、これ以上はまずいな。
G M:(ころころ)クリティカルで17を出したゆうすけと、奇跡の3連クリティカルで27を出したましろは、
クライム=犯罪、カイザー=皇帝ではないかと思いました。
また、クライムには『上る』という意味があったことも思い出します。
ただ、今回については、おそらく『犯罪皇帝』だろうと思いましたけど。
リナ :クライムカイザー?
はるひ :水……ですわよね? 水がどうかしましたの?
ゆうすけ :(間違えてる! 絶対に何かと間違えてるぞ!)
ましろ :犯罪皇帝か……クックッ、胸が熱くなるなっ!
G M:厨二のハートをくすぐられて、立ち直ったましろは思わずマントを翻します。
ゆうすけ :(厨二マインドに火がついた!?)
? :おしゃべりが過ぎるんじゃないかい?
G M:マントを翻したましろでしたが、声の主の姿を目にして、固まります。そして、再び怯え始めました。
ましろたちが見たのは、茶色の園児服の上に、白いYシャツを羽織った女の子。
両手には、メリケンサックのような形状の鈴をはめています。
そして、彼女がまたがっている三輪車こそが、
ジョーの仲間だということを如実に物語っていたのでした。
なお、ゆうすけ、リナ、ましろはもちろんのこと、
実は戦闘に長けているはるひやアキラですらも、事の重大さに気付きます。
ジョー1人なら勝てないこともないでしょうけど、
もし仮に、この援軍がジョーと同程度の力を持っているとしたら……。
ジョー :ユズか! 遅かったなーっ!
ユズ :チッ、気安く呼び捨てするんじゃないよ。
リナ :(二人の力関係が同程度の可能性……まずいわね。)
ユズ :アタイはユズ、はやぶさのグラディアトゥール……つまりは剣闘士ってことさ。
他一同 :……。
ユズ :……ボケないのかよっ!
ゆうすけ :……あいにく、それどころじゃないんでな。
はるひ :今はまじめな話をしてますのよ!
ゆうすけ :(なんていうか、酷い天然だな、こいつ……。)
ユズ :それより、姉御を見なかったかい?
リナ :姉御?
ユズ :アタイも尊敬する、ジオテール最強のナンバーツーさ。
ジョー :三輪車に乗った女の子だぜーっ。ユズじゃない方のなっ!
リナ :知らないわね。
ユズ :そうかい。それより、アンタら。
ゆうすけ :何だ?
ユズ :逃げる気配がないけど、正気かい?
アキラ :……。
ゆうすけ :この状況で、そっちの男が逃がしてくれるとは思えないんでな。
こっちにはお荷物もいることだ……(うん? 待てよ……まさか……!)
G M:縛られたかりんに一瞥をくれながら放ったゆうすけの言葉は、
何かを思いついたことにより、中断されます。
かりん :……。
G M:当のかりんは、刻一刻と悪化していると思われる状況に、
怯えるばかり。そして、ましろも……。
ましろ :ボスぅ……。
リナ :(無視して)で、拒否権はあるのかしら?
ジョー :おねぇちゃん、オイラにゃ後がねぇんだよ。 わかる?
G M:今までふざけた調子だったジョーが、急に真顔になって答えました。
ゴーグルの向こうにある目は見えませんが、底知れない何かを感じます。
夜想曲(ノクターン)発現! 『渇いた月(ドライ・ムーン)』!!
ゆうすけ :(例の遅発型能力、か?)皆、突然現れる黒服に気をつけろ!
ジョー :ヒャハハハ! 来い来い来ぉーいっ!
夜想曲(ノクターン)発現! 『雷神衝(ライジン・インパクト)』!!
アキラ :……言われるまでもない!
G M:アキラのミョルニルが電撃を纏い、戦いが幕を開けます!
第5話・第12節 へ
第5話・第14節 へ
トップページへ