第5話・第9節・タイトル未定





リナ   :アキラ、頼んだわよ!

アキラ  :……まかせろ!

G   M:リナの指名を受けて、ピコピコハンマーを持ったアキラが前に出ます。

ましろ  :クックックックッ。やはりそうきたか。さすがは我らが主(あるじ)!

浅丘の声 :お互い遠慮は要らないんで、存分に殺し合っちゃってください。

ゆうすけ :(こいつ……!)

かりん  :わかったぜ、きょーちゃん!



・まゆみ先生からのおねがい

よいこのみなさんへ

ぷーるでたたかっては いけません
あぶないから ぜったいにやめましょう
いろのついたおみずのなかに
こどもだけで はいるのも いけません




ゆうすけ :(今、何か聞こえたような……。)

G   M:さて、緑色のプールに浮かぶビニールのワニと、時折顔を出す女の子。
      その様子を見た限りでは、呼吸補助の能力ではなさそうです。
      なお、表示された能力名の『羅針盤』という文字列からは、
      方向感知という意味ではないかという印象を受けました。
      あと、競泳用のプールなので、明らかに園児の足が届く深さではありません。
      この底が見えないプールで溺れると、大変危険です。
      溺れた後に浮かべばまだいいのですが、もし沈んだままだとまずいですね。
      沈んだ場所がわからなくなれば、もはや助けようがありません。
      機械を操作して水を抜くにも時間がかかりますし、
      そもそも排水溝に引っぱられるので、危ないとかいうレベルではないです。

ゆうすけ :(当然、こいつ以外の誰かが探知能力は持ってるんだろうな?
       もし持ってないのにこんなことをやらせてるんなら……。)

かりん  :きょーちゃん、始めていいかっ!?

浅丘の声 :いいっすよ。始めてください。

G   M:水面から顔を出した少女の叫びに対応して、
      浅丘が戦闘開始を宣言します。そして、少女は水中に潜りました。

はるひ  :アキラくんののうりょくだと、水の中でたたかえないんじゃありませんの?

アキラ  :……はるひちゃん、だいじょうぶ。

はるひ  :わたしののうりょくなら、かおを出したときにねらいうちできますのに……。

ゆうすけ :無駄に能力をバラすなっ!

はるひ  :だいじょうぶですわ! アメを出すのうりょくだなんて、まだ言ってませんし。

リナ   :あ、頭が痛くなってきたかしら……。

ゆうすけ :(俺は、こんな奴を倒すのに苦労してたのか……。)

ましろ  :(我輩より、はるかにバカだな……。)



夜想曲(ノクターン)発現! 『雷神衝(ライジン・インパクト)』!!



G   M:アキラのピコピコハンマーが、「バチバチッ」と音を立てる
      青白い電撃をまうと同時に、リナの『リトルグラフ』上に
      いつもの文字列が表示されます。
      能力名が表示される射程距離は定かではありませんが、
      もしかすると、浅丘たちの『リトルグラフ』にも表示されたかもしれません。

ましろ  :クックックッ。我輩(わがはい)の闇の力ほどではないが、素晴らしい!

ゆうすけ :(ましろは、緊迫した場面で中二スイッチが入るのか……。)

アキラ  :こうさんするなら今のうちだ!

G   M:しかし、反応はありません。

ゆうすけ :水中には聞こえないだろ……。

はるひ  :水に入る前にかみなりを使う手がありましたのね! 知ってましたわよ!

ゆうすけ :(明らかに今気づいただろ……。)

はるひ  :さっさとむきずでたおしますわよ!

ましろ  :……。 ←プールに向かって左手を前に突き出し、
      目を閉じて何かをつぶやいている。

G   M:渋々といった表情で、アキラはプールサイドへと近づき、しゃがみこんで、
      電撃をまとったピコピコハンマーの頭を水中に入れます。

アキラ  :うおぉぉぉっ!!

G   M:アキラが気合の声とともにハンマーを入れる瞬間、
      「バチッ!」と大きな音がした後、周囲が静まり返りました。
      ピコピコハンマーの頭は水面下にあるので見えませんが、
      もちろん、依然として電撃を放ち続けているのでしょう。

ゆうすけ :(電気は水中で拡散するから、死にはしない筈だよな……?
       電気風呂とかいうのもあるらしいし。)

リナ   :(まあ、あのワニがあったら死ぬことはないでしょ。
       あっさり降参してくれたらいいけど……。)

G   M:戦闘開始以来、ぷっつりと途絶えた浅丘の声。
      反応を見せない水中のかりんと、ぽつんと残ったワニ。
      あやめ幼稚園一行が固唾を呑んで毒々しい色のプールを見守る中、
      他のプールから聞こえるわずかな水音だけが、
      確かに時間が経過していることを物語っています。
      そして、アキラがハンマーを水に入れてから十数秒の後、状況は動きます。


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