第5話・第3節・タイトル未定





G   M:さて、ここから先は、お互いに相手の動きの読み合いです。
      したがって、かしこさを基準に判定します。
      一人見つかったらアウトなので、あやめ幼稚園側は、
      さくら幼稚園全員の数値を上回る必要があります。
      もっとも、見つかったのがライムだけならば、
      ヒビキはとっさに手を離して、自分だけは逃げるという選択も可能ですが。
      あやめ幼稚園側も、同じくかしこさが基準ですが、完全に透明なので、
      ヒビキの能力レベルと同じ+6の修正があります。
      ただし、相手は完全に疑っている上に、脱出できないように
      してしらみつぶしに探していることから、−2の修正が加わります。
      つまり、あやめ幼稚園側に、合計+4の修正ですね。
      かしこさの数値は、以下の通りです。タイガ2、シャオ3、すぐる5、
      ライム6、ヒビキ2。+4して、基準値はライム10、ヒビキ6です。
      では、判定します。(ころころ)タイガ5、シャオ8、すぐるが出目5で、10。
      ライムは12、ヒビキは10。
      すぐるは、ヒビキとライムの近くで、不意にドリルを振り回します。
      消えている最中は激しい動きができないので避けられません。
      そして、ドリルはヒビキへと迫ります。

ヒビキ  :!!

G   M:あやめは1人でも見つかるといけない状況なので、すぐるとヒビキが同点決勝です。
      (ころころ)すぐるが5、ヒビキが5で、再び同点決勝。
      (ころころ)すぐるが3、ヒビキが6。
      攻撃はヒビキのすぐ横をかすめました。

ヒビキ  :……!

タイガ  :そこさっき、おれっちが調べたっしょ?

すぐる  :……気のせいか。

G   M:安心したのも束の間、『ピコーン!』という電子音が部屋に鳴り響きます。
      『リトルグラフ』に付いている音声通信機能の、デフォルトの着信音です。

ライム  :……!!!

シャオ  :あっ!?

すぐる  :……まずいな……はい、すぐるです。

キンダイチ@音声:一体どこで油を売っているのかと思えば、まだれいめい幼稚園の内部のようですねぇ。
         ということは、交渉はさぞ順調に進んで、歓待されているんでしょうねぇ?
         それはもう、報告を忘れるほどに。

すぐる  :すみません。実は、それどころの話ではなくて……

キンダイチ@音声:一度建物を出て、もう一度入ったようですが……?

タイガ  :(小声で)知ってたんなら、さっさと話進めろよ、ボケ。

シャオ  :(小声で)しーっ!!

すぐる  :……だれもいないんです。建物の中に。

キンダイチ@音声:誰もいない? 他に拠点が? そんな筈は……
         それにしては妙な動きでしたが……まあ、今はいいでしょう。
         それより、あやめ幼稚園が黒点領を併合したのはご存じですか?

すぐる  :はい。それらしい全体メッセージを見ました。

キンダイチ@音声:彼らは危険だと判断せざるを得ません。早めに潰す必要がありますが、
         中央地区から攻め込んでくれた誰かさんのお陰で、
         生憎、次に戦うのは困難な状況というわけです。

すぐる  :……すみません。

キンダイチ@音声:キシシシ。その件はもういいんですが。

タイガ  :(小声で)なら言うな。

シャオ  :聞こえたらどうすんのよっ!?

タイガ  :バカ、声が大きいっ!

キンダイチ@音声:おや? 何か言いましたか?

すぐる  :すみません!

キンダイチ@音声:まあいいでしょう。
         で、報告も忘れて油を売っている間に、何かいいものでも見つかりましたか?

すぐる  :……いえ。

キンダイチ@音声:……そうですか。それは結構なことです。
         首を長くして待っていますので、早く帰ってきてください。
         できる限り、ね。

G   M:『プツン』という分かりやすい効果音と共に、通信は途絶えます。

すぐる  :走って帰るぞ! 全部おれの判断ミスだ!

シャオ  :えっ、でも……。

すぐる  :すぐに報告しなかったのはおれが悪い。

シャオ  :あの時はアタシもショックだったし……変なこと言い出したのはタイガだよね?

タイガ  :悪かったよ。

すぐる  :おれやシャオはまだいいが、タイガはまずい。いいな?

タイガ  :すまねぇ……。

G   M:さくら幼稚園の3人は、扉を開けて、そのまま走り去っていきました。
      3人の姿が園外に消えるのを確認し、姿を消したまま、ライムが声を発します。

ライム  :危なかったね。

ヒビキ  :そうでござるな……。みな、心配しているでござろう。すぐに通信を……

ライム  :いや、誰かが遠くから監視してる可能性もある。消えたまま慎重に戻ろう。
      ぼくらが無事なのは、見てくれてたらGPSでわかるよ。

ヒビキ  :なるほど。わかったでござる!



その後、リナたちは、位置表示機能によって、
姿を消しているような速度でゆっくり移動し始めたライムとヒビキを確認し、ひとまず安心しました。
そして、アジトの喫茶店から出て、2人を出迎えます。
なお、2人が帰ってくる頃には日は沈み、時刻は6時になっていました。
その後、全員が喫茶店の中に入り、ライムとヒビキは、
れいめい幼稚園で見聞きしたことを、全員に報告しました。
そして、ゆうすけの提案によって、喫茶店で少し早めの夕食をとりながら、会議が始まります。


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