第4話・第15節・タイトル未定
ゆうすけ :だ、誰だっ!!!?
G M:ゆうすけは、慌てて立ち上がります。
眼前には、どこまでも続く白い背景をバックに立つ、白い髪の男子園児。
レオ :つれねーなぁ、兄弟よぉ。
G M:白い髪の園児は、ニヤニヤしながら答えます。
ゆうすけは兄弟の存在に心当たりはありませんし、顔も似てません。
ゆうすけ :俺には兄弟なんかいないぞ! あと、ここはどこだ!!?
レオ :夢の中だ。さっき、吸血鬼みてーな奴の能力で眠らされただろ?
ゆうすけ :くそっ! 早く起きないと……。
レオ :心配すんな。夢の中なんで、時間はそんな経ってねぇよ。
ゆうすけ :……ここが俺の夢の中だとしたら、何で知らない奴が出てくるんだ!?
レオ :ちょっとした知り合いに、夢を渡る能力者がいてよぉ。
眠った隙に、ちょっとお邪魔させてもらったってわけだ。
ゆうすけ :迷惑な能力だな……。
レオ :ホントなら、わざわざこんなことしなくても、直接会やぁいいんだけどよぉ。
テメェの仲間に、面倒な能力者がいやがるからな。
ゆうすけ :ふうのことか!?
レオ :はぁ? あんなクソ女、オレなら完封できるっつー話だ。
ゆうすけ :(面倒な能力者……こいつと相性が悪い能力者でもいるのか?)
G M:現在のゆうすけの仲間といえば、元ひまわり幼稚園と、あやめ幼稚園のメンバーです。
ふうはもちろん、文脈上ゆうすけのことでもなさそうですし、
ふうを恐れていたふしのあるあやめ幼稚園のメンバーとも思えません。
能力不明のリナやケンにしても、最大でもレベル4。
常識的に考えれば、結界系能力者のリョウしか残らないのですが、
今、眠らされたところで目の前の園児が即座に現れたところから考えても、
監視していて、結界から出たところを狙い撃てそうな感じはします。
あと、担いでいる鎌が金属製のようなので、雷使いのアキラかもしれないと思います。
レオ :考えてるみてーだな。ついでに言うと、オレ様の能力は、これだ。
G M:男の子は、肩に担いでいた大鎌を無造作に振ってみせました。
外見はどう見ても金属製なのですが、園児の細腕で軽々と振り回しています。
もちろん、ゆうすけもエクスカリバーは持っているのですが、
こんな大鎌、まともに受けられそうもありません。
レオ :見ての通り。ただ殺しやすいだけの、つまんねー能力だ。
ゆうすけ :……こ……殺しやすい、だと……?
レオ :テメェ、ここが誰も死なねー世界だとでも思ってたのか?
刃物や炎を召喚する能力者がいねぇとでも?
ゆうすけ :……。
G M:それに関しては、薄々感づいていたことではあります。
ケンとの戦いに勝ったときも、最後の一撃は、
万が一にも殺さないように手加減した記憶がありますし。
レオ :本題に移る。今日わざわざここに来てやったのは、警告だ。
ゆうすけ :警告!!?
レオ :あぁ。テメェ、1回負けちまっただろ?
ゆうすけ :ああ。負けた相手がリナで良かったが……。
レオ :オレ様の兄弟の癖に、小悪党ごときにてこずりやがってよぉ。……まあいい。
次負けたらゲームオーバーだ。テメェの大切な人間が、1人死ぬ。
ゆうすけ :……な、何言ってるんだお前は!!!?
レオ :個人的に負けるのは別にいい。みっともねぇけどな。
あやめがテメェ以外に支配権取られたら終わりだ。
ゆうすけ :どういうことだ!!?
レオ :警告は終わりだ。持ち帰れる記憶は少ねーから、どれでも1個、
忘れたくねー情報だけを心に浮かべとけ。ま、頑張ってくれや、兄弟。
ゆうすけ :おい、待て!!!
G M:白い髪の園児は消え、白い空間には、ゆうすけだけが残りました。
G M:時間は少し戻り、黒点領の拠点、おもちゃ屋の内部。
ケン :……っつーわけで、オレが危険を承知でこいつらおびき寄せて来たんすよ、ダンナ!
G M:ゆうすけが眠った直後、ケンは数歩前に出てくるりと踵を返し、
黒マント2人を背に、はるひと対峙しました。
男の子 :……知り合いか?
女の子 :いや……。
はるひ :あなた、またうらぎる気ですの!?
リナ@音声:ケン、君は何を考えてるの!? 本気でやってるなら降格よ!!
G M:通話機能をオンにしたままの『リトルグラフ』から、リナの怒声が聞こえます。
男の子 :おお。新たなイケニエの声が聞こえるぞ。
ケン :へっへっ。あの力があれば、女子高生のお姉さん楽々ゲットっすよ!
女の子 :犯罪だぞ。 ←ドン引きしている
はるひ :……こんなのをしんようしたわたしがバカでしたわ。 ←悔しそう
ケン :やーい、バーカバーカ! バーカ!!
G M:ポーズを変えることによってさりげなく後ずさりしつつ、ケンははるひをバカにします。
はるひ :きぃぃぃっ! 後でおぼえてなさいな!
男の子 :人間の中には、好んで吸血鬼のしもべとなる者も多いと聞く。
G M:思わず一瞬素に返った女の子とは対照的に、男の子はまだ役に入り込んでいます。
ケン :さあ、ダンナ。さっきの能力で、あんな女やっちゃってくだせぇ!
はるひ :……! ←身構える
男の子 :いくら吸血鬼といえど、完全に身構えた相手を眠らせるのは困難だ。
ケン :……そ、そーっすよねー。でも、3対1なら、はるひさんくらい……。
はるひ :ゆうさま、おきてくださいな! ←ゆうすけの体を揺する
ゆうすけ :……うう……。……!
G M:はるひに揺すられたゆうすけが目を覚ましました。
はるひ :ゆうさま!!
ケン :……へ?
男の子 :そして、吸血鬼の力といえど、熟睡させるわけではないので、叩けば起きる。
ケン :え? え?
女の子 :我輩よりバカだな。……それ!
G M:女の子は懐からなわとびを取り出し、片方の端を持って、もう片方の端をゆうすけに投げつけます。
相手は倒れてるので(ころころ)出目6で、楽々命中。ダメージはありません。
女の子 :吸収できないぞ……まさか能力が!?
G M:そうこうしている間に、ゆうすけが立ち上がり、プラスチックソードのエクスカリバーを抜きます。
ゆうすけ :ひとまず、大事な話は後だ。状況は大体わかった。
ケン :ひぃぃぃっ!! 何で寝てる間にさっさとやっちゃわないんすか!?
男の子 :主(ぬし)が我らの前に立ちふさがったのだろう。
女の子 :我輩よりバカだな。
ケン :でも、3対2なら軽く……。
ゆうすけ :いや、こいつらはコンビニを支配してない。だから、ろくに食べてないはずだ。
男の子 :うむ。我ら高貴な吸血鬼は、民家の冷蔵庫の食糧があれば十分である。
ゆうすけ :高貴な奴が人ん家の冷蔵庫あさるな!!
しかも、吸血鬼って設定なら、民家の冷蔵庫で満足するな!!
男の子 :おのれ……言ってはならんことを……。
はるひ :ゆうさま、かっこいいですわ!(はぁと)
ゆうすけ :さて。悪いが、不意打ちしてきた以上、決着は着けてもらうぞ。
男の子 :望むところだ!
ゆうすけ :今から2対2で戦って、負けたらカードを差し出してもらう。
もちろん、こっちも1枚賭ける。そっちが負けたらうちの傘下に入ってもらうが、
勝っても負けても2人の食糧は保証する。悪くない条件だろ?
男の子 :……どうする?
女の子 :我輩はそれでいい。
ケン :これって、3対2が無理になったってことっすよね?
ゆうすけ :そうだ。で、お前がもしこの戦いに参加しないなら、この戦いで勝った方に付くことを許す。
それと、こっちが勝ったら、お前の幽閉は避けるようにリナに取り成してやろう。
それか、俺とはるひを相手に、お前ともう1人で来るか、どっちでも好きな方を選べ。
男の子 :我ら吸血鬼は共に戦う。
女の子 :我輩も同じだ。
ケン :や、やだなぁアニキ。そんなの当然勝った方に付く……
じゃなくて、アニキを信じてるに決まってるじゃないっすかぁ。
はるひ :今、さらっと本音が出ましたわね……。
ゆうすけ :失敗したら、ボスに俺の首を差し出す。それでいいか?
リナ@音声:オーケーよ。ただし、首はいらないから勝ちなさい!!!
ゆうすけ :おう!!!
はるひ :ゆうさま、今日はとってもやせいてきですわ!(はぁと)
G M:かくして、戦いが始まります。
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