第4話・第13節・タイトル未定





G   M:時は少しさかのぼります。競技開始前、みどり幼稚園では……。

かすみ  :あー。とりあえずだな、さくら幼稚園との交戦は避けろアホ共。

G   M:大人用の白いYシャツを羽織った茶髪のボサボサ頭の女の子が、
      白いシガレットタイプのラムネをタバコのようにくわえつつ、器用にしゃべってみせました。

るな   :えー、あやにゃんはー?

あやか  :わたくしも 同じ意見で ございます。

G   M:野菜の入った木製のカゴを傍らに置き、俳人のような帽子を被った女の子が、
      目を閉じたまま五七五口調で返答します。

れな   :えー、そんなこと言われても……

るな   :いやだにゃー。

れな   :いやだにゃー。

るな&れな:ふたりそろって、いやだにゃー!

G   M:左右対称のポーズでお互いの手を合わせつつ、双子が答えました。

かすみ  :あー……なら勝手にしろアホ共、って言えたら楽なんだがなー。

るな&れな:にゃんだがなー♪

あやか  :わたしたち 真面目な話 しています。

G   M:多少むっとしつつもすぐに抑えて、慣れた様子で五七五が出てきました。

かすみ  :さくら幼稚園の奴ら、中央区の奴らに勝ちやがった……。
      で、飛地(とびち)になったから、次はうちを攻めてくる公算が高いわけだ。

あやか  :能力が 事前にもれて 不利になる。

かすみ  :そういうマヌケな事態は避けたいんだ。わかるだろ?

れな   :るなちゃんわかった?

るな   :れなちゃんわかった?

るな&れな:わかんないよねー。

G   M:顔を見合わせる双子に対して、白衣の子はシガレットをくわえたままでため息をつきました。

かすみ  :あー。あやかに話すからもういい。黙っててくれ。
      でだな、あたしらがさくら幼稚園とのバトルに勝ったら、領土が中央区に接することになるわけだ。

れな   :川のむこうは行ったことないよねー。

るな   :ないよねー。

かすみ  :ま、あんまいいことはないわけだ。

あやか  :いいことが 無いなら勝負 したくない。

かすみ  :でも、あたしらがさくらとやり合わなきゃ、さくらは飛地のまんまってことだ。

るな&れな:とびちるにゃ? ←左右対称に首をかしげつつ

かすみ  :あじさいとふじは、どうせ烏合の衆だろ。これ以上の同盟は望み薄だ。
      てことは、隣にある2ブロック繋がった領地を手にしたらだな、
      うちが南地区で最大の勢力になるわけだ。わかるか? 無理だろうな。

るな   :うにゃ? どういうことかにゃ?

かすみ  :あー、早い話が、次のターゲットはあやめだ。
      タマモとおまえらの力がありゃ、負けるビジョンは無い。あいつら潰すぞ。

れな&るな:おーっ!!

G   M:双子は、それぞれが左右対称に片手を突き上げました。

かすみ  :でだな、次のバトルはあやめに攻めてもらえりゃ一番いいわけだ。
      お互い希望したら、確実に対戦できるからな。
      でも、うちはさくらに挟まれてるから、嫌がられるかもしれない。

るな   :むずかしいにゃー。

れな   :こまかいことはまかせるにゃ。

あやか  :手短に お願いします かすみさん。

かすみ  :あー、まあ、要するにだな、競技ってやつで勝ちゃいいんだ。
      カードは多いにこしたことないからな。わかるだろ?

るな   :なんとなくわかるにゃ。

れな   :かすみにゃん、頭いいにゃー。

かすみ  :(そこは普通にわかれ。)特に、あやめに勝たれたら不利だ。
      あやめは全力で潰すぞ。

るな&れな:おーっ!!



G   M:一方その頃、さくら幼稚園では……。

キンダイチ:僕の領土が飛地とは……のぞみ幼稚園の侵入は計算外でしたね。
      まあ、その程度の相手だから楽に勝てたわけですが。キシシシ。

そうた  :ガハハハ。思ったより骨があったじゃねえか!

みずき  :……微妙。

G   M:おかっぱ頭でメガネの少年がメガネの位置を直しながら語り、
      ペットボトルを肩に担いだダンボールアーマーの少年は豪快に笑い、
      黒と黄色の横縞の筒を持った少女は、一言だけつぶやきました。

キンダイチ:こうなった以上、みどり幼稚園の領土を手に入れなければいけませんね。
      あの双子が考えて動くとも思えませんが、あやめ幼稚園は未知数です。
      あやめがみどりかうちと戦おうとすると、計算が狂いますね……。

そうた  :どうすんだ? キンダイチよぉ。

キンダイチ:キシシシ。ここは、あやめ幼稚園の皆さんに『お願い』しないといけないかもしれませんね。

そうた  :ガハハハ。よくわからねぇが、さすがはキンダイチだ!

キンダイチ:僕たちの力なら、1人で1軍倒すことも可能でしょう。

そうた  :おうよ!

キンダイチ:しかし、戦力の分散は……おっと。
      あやめを潰すのには、念のため僕とそうたさんであたることにしましょう。

そうた  :ガハハハハ! 任せておけ!

キンダイチ:みずきさんは、その間にれいめいの様子でも探ってきてください。

みずき  :承知。

キンダイチ:キシシシ。これほどまでに胸が高鳴るとは。
      あやめ幼稚園……久々に本気を出せそうですね。


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