第3話・第29節・タイトル未定





リナ   :ただいま! んふふ。勝ったわよ!

G   M:時刻は、太陽が頂点へと達する正午前。戦いの後、ゆうすけたちは、特に縛られもせず、
      あやめ幼稚園の隠れ家の喫茶店へと連れて来られました。
      ふうだけは捕虜として、布団ごとなわとびで縛られたままあやめ幼稚園の建物へと
      連行されていきましたが、リナいわく、身の安全は保証するそうです。
      もちろん、ひまわり幼稚園のメンバーは、異議を述べられる立場ですらありません。
      さて、喫茶店のテーブルにはマージャンやルーレットなど、壁にはダーツがあります。
      一般園児たちが思い思いにトランプやサイコロ遊びなどに興じていましたが、
      リナたち幹部の姿を見て、一時手を止めます。
      ゆうすけが単身攻め入った時とは対照的に、リナの姿を見るまでは、みんなだらけていました。
      命令がないときは、わりとゆるい幼稚園のようですね。

一般園児 :お帰りなさい、ボス!

まゆみ先生:あらあらみなさん、おかえりなさ〜い。

G   M:ソファーに座って、テーブルでトランプゲームに興じていたまゆみ先生は、笑顔で答えます。
      はるひと一緒にさらわれた女の子も、その横でトランプを持っています。

ゆうすけ :……た、ただいま……?

まゆみ先生:……。←相手が手を伸ばしたカードによって、表情があからさまに変わっている

G   M:まゆみ先生と同じテーブルでトランプを持っていたあやめ幼稚園の園児が、
      まゆみ先生の顔色を見ながら、先生が扇のように持ったカードの1枚を取ります。

まゆみ先生:もう〜。なんでわかるんですか〜!? ちょっとは手加減してくださいよ〜。

ゆうすけ :なじむなっ! 本気になるなっ! あと、顔に出すぎだっ!

ケン   :アニキ、こいつら物凄いワルですよ。子供だけで喫茶店なんて……。

ゆうすけ :(いやいや。)

ケン   :しかも、髪染めてフーセンガム食べてるやつもいたし。

ライム  :……。 ←無言でフーセンガムをふくらませている

ゆうすけ :髪はまだいいとして、フーセンガムが何か問題あるのか?

ケン   :虫歯になるから子供は食べちゃダメじゃないんすか!? 骨が溶けるんすよ!?

ゆうすけ :溶けはしないだろうし、ちゃんと歯磨きすればいいだろ……。

ケン   :しかも、ダーツとか不良っしょ!?

ゆうすけ :確かに、子供は普通やらないと思うが……。

ケン   :それだけならまだしも、マージャンはヤバイっしょ!?

ゆうすけ :園児の遊びじゃないよな……。

リョウ  :麻雀、奥が深いネ。中国四千年の歴史アルヨ。

ゆうすけ :(ていうか、こいつのエセ中国人口調はなんなんだ? サングラスの奥の顔も大陸系っぽくないし……。)

ヒビキ  :ダーツの代わりに、拙者の手裏剣を投げてもいいでござるよ。

ゆうすけ :(そして、こいつはもっとなんなんだ? 忍者?)

ヒビキ  :……実はせっしゃ、こう見えて忍者でござる。

ゆうすけ :こう見えてっていうか、どう見ても忍者だろ! ていうか。なんで忍者なんだ!?
      忍者があっさり正体を明かすな! その服、余計目立つだろ! あと、心を読むな!

ヒビキ  :せっしゃもツッコミには自信があったでござるが、おぬしもなかなかやるでござるな!

ケン   :おお、さすがヒビキのアニキ! かっこいいっす!

ゆうすけ :(さっそく取り入ろうとしてるし……。)紛らわしいから、俺はもうアニキじゃなくていいよな?

リナ   :記事でどう呼ぶかは大切よ。新しい呼び方を考えるべきじゃないかしら?

ゆうすけ :(そして、ボスのお前はそれ以上になんだ? 新聞部か?)別に、俺はアニキじゃなくてもいいんだが。

ケン   :何言うんすか!? アニキはアニキっすよ!

リョウ  :義兄弟の絆、血より濃いネ。

ゆうすけ :(こいつはこいつで、ふうみたいな古風な言い回しが好きだし……。)

はるひ  :『こい』……いい響きですわ。 ←うっとりとゆうすけを見つめる

アキラ  :……。

リナ   :……。

ゆうすけ :(多分だけど、漢字間違ってるからな!)

はるひ  :でも、横文字のほうがかっこいいですわね。英語ではなんて言いますの?

ゆうすけ :(横文字苦手なくせに、好きだったのかよっ!?)

リョウ  :『ブラザー』ネ。

ケン   :でも、どっちもブラザーって感じじゃないっすね。むしろ、どっちもアニキのが近いっす。

ヒビキ  :せっしゃはどちらかというと、『兄者(あにじゃ)』ではござらぬか?

ケン   :じゃ、間を取って『ブラ者(ぶらじゃ)』で。

ゆうすけ :間を取るなっ!

ヒビキ  :……むむ、さすがにきゃっかでござる。

ケン   :『ノー・ブラジャ』ってことっすね。

ゆうすけ :それには『ノー』をつけるなっ!

ライム  :もっともだね。

ケン   :略して『ノーブラ』っす!

ゆうすけ :略すなっ!!

ライム  :もっともだね。

ケン   :『武羅者(ぶらじゃ)』だったらどうっすか!?

ヒビキ  :……む、なぜかかっこいいひびきを感じたでござる。少し心が動いたでござる。

ライム  :もっともだね。

ゆうすけ :字だけかっこよくしてもダメだろ! 事情知らない奴が聞いたら誤解されるだろっ!
      あと、少し心動くなっ! 全然もっともでもないし!

はるひ  :いいひびきですわね。なら、『ブラジャー』はわたしとゆうさまがいただきですわ。

ゆうすけ :伸ばすなっ! いただくなっ!(そりゃ、商品名だから響きはいいだろ!)

はるひ  :おーっほっほっほっ! わたしのママのブラジャーは、頭にかぶれるくらい大きいんですのよ!

ゆうすけ :知ってて俺までブラジャーにしようとしたのかよ!? (そもそも、お互い必要ないだろっ!?)
      ていうか、こういうときだけ正確に理解するなっ!! (あと、どんだけでかいんだよっ!!!)

ケン   :マジっすか!!?

ゆうすけ :食いつくなっ! 同級生のお母さんだからっ! それ以前に、人妻だろっ!
      (……待てよ。ということは、はるひもでかくなるってことかっ!!!?
       いや、落ち着け! 今はそんなことを考えてる場合じゃない! 落ち着くんだッ!)


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