第3話・第16節・タイトル未定
G M:長かった8月7日の日曜日が終わり、8月8日、月曜日の朝になりました。
ゆうすけが目覚めると、横でふうが眠っています。
ゆうすけと同じく、眠りにつくときに着ていた水色の園児服のままですね。
ゆうすけ :(お礼って、一緒に寝るだけだったのか……。)
G M:あの後は結局、2人で同じ布団で寝ただけにとどまりました。
ゆうすけ :(ドキドキして眠れないかと思ったら、意外と眠れるもんだな……。)
G M:なぜふうと一緒の布団で寝るとこんなに落ち着くのかはわかりませんが、
とても落ち着く匂いなんですよね。
ゆうすけ :(布団に入っている間に、匂いの正体を……。)
ふう :……ゆうちゃん?
ゆうすけ :うおっ!!!?
ふう :……おはよ。
G M:いつの間に起きたのか、いつも通りのふう。
ゆうすけが鼻から息を吸い込んでいたのを知ってか知らずか、いつも通りですね。
そこに、部屋の扉がノックされ、まゆみ先生の声が聞こえます。
まゆみ先生:ゆうすけく〜ん、朝ご飯と、みなさんに指示をお願いしま〜す。
ゆうすけ :わかった、今行く。
G M:午前8時頃。ゆうすけたちは、昨日の夕食と同じホールで、朝食を取ります。
さすがに食糧がギリギリなので、乾パンなどの質素な保存食のみになってますが。
なお、ゆうすけの両隣には、ふうとはるひが座ります。
さて、大半の園児が食事を終えたところで、何か言うことはありますか?
ゆうすけ :はるひ、アメはまだたくさんあるか?
はるひ :もちろんありますわよ。
ゆうすけ :みんなに配ってくれ。
はるひ :わかりましたわ。あと、ゆうさまにはとくべつな1こを後でおわたししますわ。(はぁと)
ふう :……ワキ汗キャンディーだよ……。
はるひ :わきじゃありませんし、あせもついてませんわ、たぶん!
ゆうすけ :(そこは否定しろよ!)
アキラ :……。
ケン :いよっ、アニキ。朝帰りの上にシュラバっすか?
ゆうすけ :みんな、聞いてくれ!
G M:全員にスルーされたケンの発言とは対照的に、全員がゆうすけに注目します。
ゆうすけ :今後、敵が不意打ちしてくることも考えられる。
ケン :ま、基本っすからねー。
ふう :……。
G M:ゆうすけが全員の顔を見回すと、ケンとふうだけが動揺していないのに気付きます。
そして、(ころころ)合計10、と。
全員の顔を見回す余裕があったゆうすけだけは気付きます。
普段オドオドしているまゆみ先生ですが、今の発言に全く動じていません。
ゆうすけ :(!?)だから、最低でも2人以上で行動してくれ。ひまわり幼稚園の中でもだ。
ケン :わかったっす! 連れションっすね!
ゆうすけ :(わかってないだろ!)
ケン :でも、女の子はどうするんっすか?
はるひ :下品ですわ!
ゆうすけ :年中組は交代で見張りを頼みたい。見張りは3人組で、正門と裏門を頼む。
一般園児 :わかりました!
ゆうすけ :まゆみ先生には、見張りの組分けを頼む。
まゆみ先生:わ、わかりました〜。
G M:まゆみ先生は、いつも通りのオドオドした感じで答えました。
さて、今後のスケジュールですが、午後1時から午後4時の間にバトルを開始させる必要があります。
もし時間内に開始しなかった場合、特別の定めがなければ、
午後4時をもって、対戦カードが成立しなかったことになります。
妨害を予測して早めに出発することもできますが、午後1時になるまでは正式なバトルは行えません。
ですので、歩いて行ける隣の幼稚園なら、昼食後の午後0時30過ぎに出発するのが通常ですね。
ゆうすけ :なら、そうしよう。
まゆみ先生:組分け、できました〜。
G M:まゆみ先生は、平仮名で園児の名前が書かれた紙を、ゆうすけに差し出します。
ゆうすけ :(この人、意外とできるんだよな……。)
まゆみ先生:ご飯の後はプールですよ〜。ゆうすけくんは、誰か一緒に入りたい人いますか〜?
G M:ひまわり幼稚園には日課があります。
夏の昼間のプールです。
2週間前、町を挙げての幼稚園お泊り合宿の最中に例の法律が成立して、
園児たちは思ったより長期間のひまわり幼稚園での寝泊りを余儀なくされました。
そこで発生した問題が入浴です。
百年以上前の第二次世界大戦後、銭湯が公衆衛生の向上に無くてはならない働きをしたのも昔の話。
各過程に風呂が普及するにつれ、銭湯は1つまた1つと姿を消し、
今では、郊外にある大型スーパー銭湯の類を除き、ほとんど残っていません。
ひまわり幼稚園もその例に漏れず、近くに浴場設備が無いのです。
園によっては警備員用のシャワー設備がある場合もありますが、ひまわり幼稚園にはそれもありません。
しかし、風呂はなくとも汗はかき、しかも夏場。
苦肉の策として採用されたのが、午前中にプールで汗を流すことです。
みんなで水着を着て入り、石鹸も使いません。
が、汗を流すには十分で、ここまで2週間は、それでしのいできたのです。
ゆうすけ :ふう。一緒にいいか?
ふう :……うん。
G M:ちょっとだけ嬉しそうなふう。そして……。
はるひ :ゆうさま、しばはらふうの体なんか見てもしょうがないですわよ!
ゆうすけ :(どうせみんなぺったんこだろ! ていうか、一緒に寝たことよりそっちに抗議がくるのかよ!?)
アキラ :……。←目を閉じているが、眉毛がひくひくと。
ゆうすけ :違う、2人以上で行動しないといけないんだ! ふうと仲いいやつ、そんなにいないだろ!?
ふう :……。
はるひ :この前、年中組の子と話してましたわよ!
ゆうすけ :(話してただけかよ!?)で、それ以外のメンバーは……。
ケン :(耳打ちで→)アニキ、オレはまゆみ先生と2人っきりにしてください!
ゆうすけ :(いつの間に後ろに来たんだよ!? 立場上OKも断るのもしたくないし……。)先生、決めてくれ!
まゆみ先生:えっ!?
G M:まゆみ先生にとっては、想定外の一言でした。
慌てた先生は、ランダムで(ころころ)ケンとアキラが組になり、はるひとまゆみ先生が組になります。
まあ、異性同士で組むと着替えるときに面倒なので、結果的に順当な組み合わせですね。
まゆみ先生:じゃ、じゃあ〜、ケンくんとアキラくんが組んで、はるひちゃんはまゆみ先生と組んでくださ〜い。
ケン :アキラさん、なんかあったときはお願いします!
アキラ :……。←頼られて悪い気はしないらしい。そもそも、昨日何言われたか覚えてるのか?
はるひ :ゆうさまが言うんなら、しかたありませんわね……。
ゆうすけ :はるひ、先生は戦力にならないから、女の子1人選んで一緒にいてくれ。
はるひ :しんぱいしてくれますのね。わかりましたわ。(はぁと)
G M:かくして、表門と裏門に3人ずつの見張りを立て、最低でも2人で行動する方針が決まりました。
さて、プールの時間は、男女別に部屋で着替えるのが基本ですが、
ふうは器用にも布団の中で着替えを済ませてしまいます。
そして、ゆうすけを待たず、既に多くの園児がいるプールに入ります。
ケンとアキラも早々に入っていて、残るは……。
はるひ :ちょっと! 早くしてくださいな!? こうしている間にも、しばはらふうは……!
まゆみ先生:待ってくださ〜い。大人は色々大変なんですよ〜。
G M:園児用スクール水着に着替えたはるひと、ようやく着替え終えたばかりのまゆみ先生、
そして、もう1人、着替えを終えた一般園児の女の子が、女の子が着替える部屋に取り残されています。
(ころころ)×数回。ありゃ、はるひがまさかの3連クリティカルで、成功値24ですね。
はるひは気付きます。部屋の中に、折り紙で作った手裏剣を持った、忍者のような服を着た園児と、
フーセンガムをふくらませている明るい色の髪の男の子が手をつないでいて、歩いて近づいてきます。
フーセンガムの園児は、藍色のような園児服。はるひは見たことがない色ですね。
物音も聞こえませんでしたし、どうやってここまで入ってきたのかもわかりません。
でも、2人は音を全く立てないものの、確かにそこにいます。
2人とも、全く気付かれていないかのように振舞っていますね。
事実、一般園児とまゆみ先生は、全く気付いていないようにみえます。
そして、はるひが事態を飲み込めないでいる間に、
忍者服の園児は折り紙で作った手裏剣を複数取り出し、一般園児の女の子の背後から、彼女に狙いを定めます。
まったく気付いてないので、警告したところで間に合わないでしょうね。
はるひ :その子を引っぱって、あと、わたしの服をひろいますわ!
G M:敵が逆に油断しているので、はるひの素早さがあれば可能ですね。
はるひがダッシュして女の子の水着を引っぱったことによって、すんでのところで手裏剣は空を切ります。
はるひはそのまま前転しつつ服を拾い、一瞬でスクール水着の上から水色の園児服を着ました。
そして、ポケットに両手を突っ込んで、アメを手にします。
はるひ :女の子の部屋に入ってくるなんて、おぎょうぎ悪いですわね。
忍者の園児:!?
フーセンガムの園児:!!!
G M:2人の侵入者は、はるひを見て、驚いた表情を浮かべます。
忍者は口元も隠れていますが、目で表情は大体わかります。
一般園児とまゆみ先生もようやく侵入者に気付いたようで、慌てて身構えます。
そして、はるひを見て驚いていた忍者は、笑うように目を細めました。
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