第3話・第2節・タイトル未定





はるひ  :ゆうさま、あ〜ん。

G   M:ゆうすけがひまわり幼稚園のリーダーになってから数時間が過ぎ、夜になりました。
      ひまわり幼稚園のホールには机と椅子が並べられ、年少組以上の園児が揃って夕食を食べています。
      晩ごはんは、ひまわり幼稚園の冷蔵庫にある残り少ない材料を使って、
      まゆみ先生が作ったチャーハンです。
      食糧が残り少ないという割には、全員にちゃんとした量が割り当てられていますね。

まゆみ先生:先生、腕によりをかけて作っちゃいました〜。

ゆうすけ :(この人、意外とできるんだよな……。)

まゆみ先生:でも、明日の夜の分はもうありませ〜ん。最後の晩餐(ばんさん)で〜す。 ←半泣き

ゆうすけ :(なら、1回の量を少なくしろよ!)

ケン   :最後のバーサン?

ふう   :……晩餐。マフィアがするやつ。

ゆうすけ :(なぜマフィア限定……。先生も、園児相手の単語を選んでくれ……。)

はるひ  :ゆうさま、『あ〜ん』してくださいな。さめちゃいますわよ?

G   M:ゆうすけの右隣の席では、銀のスプーンでチャーハンをすくったはるひが身を乗り出しています。

ゆうすけ :……ちょっと待て! いつから『ゆうさま』になった!?

はるひ  :つよくってステキな人によりそうのは、女としてとうぜんですのよ。

アキラ  :……っ!

G   M:そして、はるひの右隣には、目を閉じてぷるぷる震えているアキラが。
      持っていたスプーンも一緒に震えて、チャーハンがおぼんの上にこぼれ落ちています。

はるひ  :新しいリコーダーのおせわをするのは、わたしのやくめでしてよ。

ゆうすけ :(俺はたて笛か!)

はるひ  :なんといっても、もとはわたしがリコーダーだったんですから。 ←えっへん

ゆうすけ :(お前もたて笛だったのか!)

はるひ  :それに、あのとき言ってくださったじゃありませんの。「おまえがひつようだ!」って。

ゆうすけ :……『お前の力が』って言わなかったか?

はるひ  :そんなこまかいことはどうでもいいですわ。

ふう   :……ゆうちゃん……はい。

G   M:ゆうすけの左隣にいたふうも、スプーンに載せたチャーハンを差し出します。
      さすがに、布団は自分が座っている椅子に引っ掛けていますね。
      とはいえ、布団の中に何が入っているのかはよくわかりませんが。

はるひ  :しばはらふう! またしてもわたしのじゃまをしますのね!?

ふう   :……2号は黙ってて……。

はるひ  :……にごう、ですの?

ケン   :2番目の女ってことっすよ、はるひさん。それにしても、いきなり2人なんて、さすがアニキっすね〜。

はるひ  :1ごうがつくったチャンスを広げますのね。わるくありませんわ。 ←えっへん

ゆうすけ :(2号って、そんな役目だったか……?)

ふう   :……じゃあ、ゆうちゃん選んで。

はるひ  :そうですわ。ゆうさまが食べてくれないと、わたしたちが食べられませんわ。

ゆうすけ :(これは、両方食べるしかないよな……。よし、食べるぞ。)

G   M:ゆうすけは、両手で左右2人の手を取って、スプーンを自分の口に運びました。
      手が触れ合うと、お互いの体温を感じます。
      チャーハンは一連のやり取りの間に多少冷めてますが、味はおいしいです。

ゆうすけ :……うん、うまい!

はるひ  :とうぜんですわ! わたしがうでによりをかけてはこんだチャーハンですのよ!

ふう   :……運んだ距離、1メートルくらいだよね……。

G   M:そして、2人とも自分の皿から2口目をゆうすけに差し出そうと……。

ゆうすけ :わかった。2人同時だと食べにくいから……。

はるひ  :まずはわたしのをどうぞ。みぎききですから、たいせいがくるしいですわ。

ゆうすけ :(なら、なんで左の席が空いてるのに俺の右側を選んだ?)

ケン   :さすがアニキ、モテモテっすね〜!

ゆうすけ :わかった。まず、はるひちゃんのをもらおう。

はるひ  :もう、みずくさいですわよ。はるひでいいですわ、ゆうさま。

ゆうすけ :わ、わかった。……は、はるひ、頼む。

ふう   :……。 ←不満そう

ゆうすけ :違うんだ! 先に食べる楽しみもあるし、後に残す楽しみもあるから!

はるひ  :それなら、おしょくじがおわったら、とっておきのアメをさしあげますわよ。

G   M:そのとき、アキラが突然立ち上がります!
      アキラが座っていた椅子は、大きな音を立てて倒れました。


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