第3話・第1節・タイトル未定
G M:ここは、あやめ幼稚園の領内にある喫茶店。
今や園児様のたまり場と貸した薄暗い喫茶店で、園児たちは、ソファーに座ったり寝そべったりしながら、
ボードゲームなど、思い思いの遊びに興じています。園児たちの制服は、濃い青色。
中でも一際目立つのは、フーセンガムを膨らましながら、壁に向かってダーツを投げる
明るい色の髪をした男の子。その様を、多くの園児たちが見つめています。
壁に架けられたコルクボードには、3枚の写真が。
1枚は、ドラキュラのようなコスプレをした、八重歯がとても長い男の子。
1枚は、カメラ目線で左右対称のポーズを取り、ご丁寧に笑顔でピースまでしている双子の女の子。
そして、もう1枚は、金髪縦ロールの生意気そうな女の子です。
さて、明るい色の髪の男の子が投げたダーツは、3枚の写真が貼られたコルクボードに刺さりました。
他にも数本刺さっていますが、写真そのものに当たっているダーツは1つもありません。
リョウ :グズグズするのよくないネ。とっとと当てろアル。
G M:部屋の中でも帽子と丸いサングラスをつけたままの園児が、ダーツを投げた園児を叱ります。
ヒビキ :やはり、ここはせっしゃが……。
G M:なぜか忍者の服を着た園児が、古風な口調で横槍を入れました。
リナ :んふふ。いいじゃない、当たるまでやらせるんだから。
G M:ダーツを投げた子の後ろでソファーに座っていた、絵描きのかぶるようなベレー帽をかぶった
金髪の女の子が口を開くと、口出ししていた園児たちは一様に黙ります。
それに呼応するかのように、一般園児がコルクボードからダーツを抜いて、
明るい色の髪の男の子に渡しました。
リナ :んふふ。次は当たるよね?
ライム :……がんばります!
G M:男の子は、今度はガムを膨らませず、緊張した面持ちでダーツを投げます。
手から放たれたダーツは、金髪縦ロールの女の子の額に突き刺さりました。
見守っていた園児たちから、歓声とどよめきが起こります。
リナ :んふっ。やればできるじゃない。
ライム :……あ、ありがとう、ございます。
リナ :ひまわり、セット。
G M:女の子の合図で、一般園児たちは壁に掛かっていたコルクボードを別ものに取り替えました。
コルクボードには、5枚の写真が貼られています。
リナ :シェマハ、進軍予測は?
G M:シェマハと呼ばれたそれは、望遠鏡を持ったネズミの立体映像です。
望遠鏡も、ネズミの体に合わせて小さなサイズですね。
リアルなネズミではなく幾分コミカライズされた姿と、空中に浮かんでいること、
足元に黒い石版型のプラスチックがあることから、立体投影画像だとわかります。
シェマハ :まだルートが決まってないんで、正確なことはわからないでやんす。
リナ :役立たず。
シェマハ :でも、ひまわりは攻めてきやす。コンビニ持ってないでやんすからねぇ。
ライム :こっちがぼうぎょ側、ってことだよね?
シェマハ :向こうの方が人数が多いでやんすからねぇ。
リョウ :1人さらっとくと後々楽になるアルね。
リナ :んふふふ。そうね。
ヒビキ :せっしゃ、隠密行動は得意でござる。
ライム :……。
リナ :一番強いのって、リーダーのこの子?
G M:ベレー帽の女の子がソファーに座ったまま投げたサイコロは、金髪縦ロールの女の子の写真に命中します。
シェマハ :違いやすぜ、ボス。あっしの調査によると、リーダーはその右の男でさぁ。
リナ :あそこから逆転したの!?
ヒビキ :なんと!?
リョウ :アイヤー、これは、めのうちにつんどかないと大変なことになるネ。
シェマハ :まだ、ひまわりが相手になると決まったわけじゃないでやんすよ。
リナ :んふっ。弾かれたら、またダーツ投げさせたらいいじゃない。相手なんか誰でもいいんだから。
ライム :……。
リナ :ライム、ダーツ。……で、ひまわりのそいつの名前は?
G M:ライムは、手元に残っていたダーツを素直に渡します。
シェマハ :ゆうすけでやんす。
リナ :んふふふっ。スクープのにおいがするわ。どっちが散るか、勝負といこうかしら。
ただし、ダーツが許したら、ね。
G M:リナが座ったまま投げたダーツは、ゆうすけの頬へと突き刺さったのでした。
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