第87話・歌割れるもの



エルシオン学園で、モザイオが墓の下に消えるのを目撃したみつばたち。
さて、思えば、多少ガラが悪かったものの、そんなに悪いヤツではないはずだ。
今まさに困っている彼を助けるのが急務と判断し、ルーラを唱えた。


みつばたちがルーラで飛んだのは、エラフィタだった。
教会の外の窓辺で歌っている男がいる。



あらくれ
「ぼ わ わー♪ えへん。ぼ わ わー♪ !
 な…なんだ、お前は! 今、オレのことを見ていただろう!
 このガオガ様のことをにらみつけるとは、イイ度胸だな。
 そ…そうだ! さえずりのみつを持ってくれば許してやる! いや、持ってきてください!」
みつば
「いいえ」
ガオガ
「な、な、な、なんだと!?
 どこまでもキモのすわったヤツだな。
 お前なんか、さっさとどこかへ行ってしまえ!」



結局、受ける。



ガオガ
「さえずりのみつを持ってきたのか?
 もちろん、オレにくれるんだよな? いや、お願いだから、ください!」
みつば
「いいえ」
ガオガ
「なんだと!? てめえっ! さっさとさえずりのみつを持ってきてください! お願いします!」



渡す。ガオガがさえずりのみつを飲むと……。



ガオガ
「や、やあ、フーリさん! 今日も、おいしいリンゴをとってきたよ!」
フーリ
「まあ! いつもリンゴを窓においてくれるやさしい人。あなたは誰なのですか?」
ガオガ
「私は通りすがりのただの小鳥です。すてきな声でしょう。」



お前のようなでかい小鳥がいるか!



フーリ
「ええ。とてもすてきな声。またきっと、声をかけてくださいね?」
ガオガ
「もちろんです。それでは。」



ガオガ
「彼女と会話ができるなんて! いい夢が見れたぜ。」



みつばは、お礼にグビアナきんかをもらった。
クエスト025『窓辺のダミ声男』クリア!

かくして、今まさに困っていた、多少ガラの悪い男が助けられた!

さて、冗談はその辺にして、本題に入ることにする。

思えば、ちょっと迷惑をかけられたりもしたが、
あんな危なくて寒そうなところに1人いれば、心細いだろう。
すぐにでも助けてあげなければいけない。


みつばたちは、ルーラでカラコタ橋に飛んだ。



あらくれ
「うう、さみい……。
 前の家主は、どこまでバカだったんだ。カベにあんな大穴、あけやがって!
 なあ、あんた。オレはバルコってんだけど、何かいいもの持ってねえか?
 あったかくって、フカフカ、フワフワ!
 そんな物があったら、オレ、ポッカポカで眠れるよ。」



思えばこいつ、女神の果実をラボオ爺さんに大金で売った、あの男なのである。
ていうか、その金で穴を塞げバカ。



みつば
「いいえ」
バルコ
「なんだい。何かくれないのかい? 身も心もさみいぜ、チクショウ。」



結局、受ける。



バルコ
「それで、どれだい? フカフカ、フワフワなあったかい物ってのは。」



何も渡さなくても、メッセージは出ない。
ここは、色々渡してみることにしよう。



バルコ
「そうか、どくがのこなか! おお、このカンショク……フッカフカで、フーワフワー。
 ……って、ちげえなあ。何かほかにないのかい?」



こいつ、ノリツッコミしたぞ……。



バルコ
「おおっ、このカンショク! フニフニやわらか。おまけに、ほんのりあたたかい……。
 ……って、うしのふんじゃねえか! ばっかやろう、なんてことさせやがる!」



こいつ、なかなかやるな!



バルコ
「おおっ、このカンショク! フニフニやわらか。おまけに、ほんのりあたたかい……。
 ……って、うまのふんじゃねえか! ばっかやろう、なんてことさせやがる!」



こいつ、芸人になれるぞ。



バルコ
「そうか、てつのクギか! おお、このカンショク……フッカフカで、フーワフワー。
 ……って、ちげえなあ。何かほかにないのかい?」



やる前に気づけよ!

飽きてきたので、やわらかウールを渡す。



バルコ
「おおっ、これだよ!
 フッカフカでフーワフワ!! はあッ……あたたかい……………………。
 ム、ムハッ!! すまねえ。あんたにお礼しなきゃな。よし、こいつでどうだ?」



みつばはしょくにんのベルトを手に入れた!



バルコ
「フッカフカのフーワフワ。
 むはッ……心も身体も、ぬくぬくでポッカポカだぜ」



まず、穴を塞げよ……。



かくして、以前ちょっと迷惑をかけられたものの、
危なくて寒そうなところにいる男は助けられた。


さて、これ以上待たせるのは、さすがにかわいそうだ。
みつばはルーラを唱え、今度こそ、エルシオンへと向かった。



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