第43話・天使界は衰退しました



みつばたちは、ついに動き出した天の箱舟に乗り、天使界へ。
天使界では、数人の天使を従えた長老オムイが、世界樹に祈りを捧げていた。
そこに、みつばたちの乗った天の箱舟が到着した。



長老オムイ
「天の箱舟が、われわれを救いに来てくださったのだ!」
天使
「長老オムイ様! 中から、誰か出てきます!」
長老オムイ
「おお……!」



もちろん、出てきたのはみつばだった。



長老オムイ
「なっ……なんと!
 みつばっ!? お前はみつばなのか!? どうして、天の箱舟から……
 しかも、その姿はどうしたのだ!
 天使の翼も、頭の光輪もなくなっているぞ!
 なに? 人間界へ落ち、翼を失ったお前を、天の箱舟が送り届けてくれた…じゃと!?
 では、他の天使たちはどこだ? まさか、お前一人だけか?
 ……いや、すまぬな。ともかく、みつばよ。よくぞ、無事天使界へ帰った。
 さあ、おいで。地上で何が起きているのか、わたしたちに教えておくれ。」



みつばが人間界から無事に帰ったという知らせは、天使界へと伝えられた。
さらに、人間界のあちこちで異変が起こったことを、オムイに知らせる。
あの後、何人かの天使が地上に降りたが、みつば以外は誰も戻ってこないという。



サンディ
「さてと。これで、天使界にみつばを送り届けるって約束、
 ちゃーんと果たしたからね。
 なんか、タイヘンそうだけど、がんばってね。
 そんじゃ、アタシ、やるコトあるから。
 みつば。短いつきあいだったけど、おたがいおつかれー。バーイ♪」



久しぶりに訪れた天使界を見て回るみつば。
ラフェットは、石碑の前で祈りを捧げていた。



ラフェット
「……偉大なる天使エルギオスよ。
 みつばとイザヤールが、どうか無事に帰りますよう……」
ラフェット
「え……。みつば!?
 よかった…! 無事だったのね! ねえ、イザヤールは?
 いっしょに帰ってきたんじゃないの!?」



イザヤールも行方不明か。
けがないといいのだが……。



ラフェット
「…………そっか。
 てっきり、イザヤールも一緒だと思ったんだけどなあ。
 あのね? イザヤールは、あなたを探しに人間界に降りてから
 ……ずっと帰ってないんだ。」



はげしく心配だ。



ラフェット
「だから、私、この石碑の前で、ずっと祈りを捧げてたのよ。
 ぶたりが無事帰りますようにって。
 これは、エルギオスの石碑。
 エルギオスのことを忘れぬため作られたもの……。
 読もうか? えっとね……」



いだいなる天使 エルギオス
その けだかき魂と人間を愛する美しい心
われら 忘るることなし
そして ちかおう
神の国に帰れる その日まで
この世界を 見守っていくことを




ラフェット
「……エルギオスというのは、かつて……何百年も前、
 イザヤールの師だった天使。
 ある村の守護天使だったエルギオスは、人間たちを守るため、地上へ降り、そして……
 ある時、消息不明になってしまった。
 何が起こったのか、もはや知るよしもなく、私たちは、こうして祈るしかないの……。
 ……イザヤールは心配だったのよ。
 みつばまで、エルギオスみたいに帰らないんじゃないかって。
 たぶん、今も、人間界のどこかで、あなたを探してるんじゃないかな。
 ……偉大なる天使エルギオス。
 イザヤールの師よ。どうか、お守りください。
 あなたの弟子イザヤールが、無事天使界へ帰れますように……。」



なんのけなしに覗いた部屋で、重要そうな情報を聞いた。


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