第181話・



みつばは、天使界の長老オムイの前にいた。
オムイは、堕天使エルギオスが全ての元凶であったことを知って、ショックを受けていた。



オムイ
「……みつばよ。堕天使エルギオスは、自らが新しき神になるため、神の国へ向かったのじゃな?
 ……みつば、本来なら、お前にエルギオスを追いかけ、やつを止めてほしいのじゃが……。
 天使は上級の天使には逆らえぬのが習わし。
 もはや、エルギオスを超える天使はどこにもおらぬ。……このわしでさえもな。」



たいしたことねーな、長老……。



オムイ
「神よ転々いずこにおられます。どうぞ神よ……我が祈り、お聞き届けくだされ。
 怒りに捕らわれしエルギオスの心を、どうかお救い下され。
 人間界をお守りくだされ。神よ……。
 ……報告ご苦労じゃった。もう行ってよいぞ。」



立ち去ろうとすると、どこからともなく不思議な声が聞こえてくる。



……守護天使 みつばよ……
あなたに伝えたいことがあります
……どうか こちらへ……
世界樹のもとへ 来てください……




さっそく、世界樹のもとへと向かう。
途中、外で星を見ているラフェットを見つけた。



ラフェット
「……暗い雲がジャマしてるけど、あの向こうにはきっと、今もきれいな星空が見えるはず。
 ねえ……みつば。知ってる? 夜空の星は、みんなもともと天使だったんだって。
 役目を終えた天使の魂は、空へと昇り……星になるんだって。イザヤールも、きっと……。」



そして、みつばは世界樹のもとへ。
世界樹は、金色の輝きを放っていた。



……悲しみが 空を おおっています……
堕天使エルギオスの 悲しみと 怒りが
世界を 染めようとしている……
……このうえ 堕天使エルギオスに
罪を かさねさせては いけません……
あの者の心は 汚れきってはいない……
……みつば……
あなたが これまで助けてきた
人間たちを おぼえていますか?
あなたに 出会い
悲しき運命から のがれることができた
たくさんの人間たち……
彼らは あなたに
心から 感謝をささげています……
清き心をもつ 人間たちが……

リッカの姿が見える。
祈りを捧げながら、金色の光を放っている。
そして、金色の光が、世界中から世界樹へと集まってきた。

あなたが 助けた 人間たちが
……今度は あなたの……
みつばの チカラとなる……

みつばのもとに、女神の果実が降りてきた!

その果実は あなたが助けた
人間たちの感謝の心が 結実して
たった今 生まれたものです

みつばは女神の果実を手に入れた!

みつばよ その果実を食べれば
おそらく あなたは
人間に なってしまうでしょう
けれど……人間ならば
天使の理に しばられることなく
堕天使エルギオスと 戦えるでしょう

つらい選択を 強いていることは
わかっています転々
ですが もう この方法しか……




世界樹の金色の光が弱まっていく……



……みつば 神の国へ…行き……
……エルギオス…止め…て……


世界樹の光は消え、あとは静かに佇むばかりだった。

女神の果実を食べて人間になるかどうか。
みつばの選択は……。

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