第06話・光輪なくし、旅芸人の少女。



気が付くとそこは、天使像がある、ウォルロ村の滝の前だった。



ニード
「うん? 誰かと思ったら、この前の大地震のどさくさで
 村に転がり込んだみつばじゃねえか!」



説明的なセリフをどうも。
いつの間にか、天使の力の源である天使の輪がなくなっている。
人間から見えてしまうのは、そのためだろう。



ニード
「お前、こんなところでなにボ〜ッとしてやがんだ!?
 は〜、リッカってば、なんでこんな得体の知れないヤツの面倒見てるんだ?
 どこから来たのかも言わないし、着てる服はヘンテコだし、
 どう考えても怪しいだろ?」



そりゃ、下着でうろついてたら怪しいわ。




「きっと、あれッスよ。
 こいつの名前が守護天使と同じだから、それで気に入ってるんですよ。」
ニード
「……フン。その名前も本当だかどうだか?
 大方、売れない旅芸人が、天使の名前を騙って、ただメシにありつこうって魂胆なんだろ?
 いいか。よく覚えとけ! この村で妙なマネしやがったら、
 オレがただじゃおかねえからな。」

「ニードさんはなあ、リッカがあんたばかり構うのが面白くなくていらっしゃるのさ!」
ニード
「バッ バカやろう! 余計なこと言うなっ。」



女同士ですが何か……?



ニード
「あっ……。」



そこには、リッカの姿が!



リッカ
「ちょっと、ふたりとも!
 うちのみつばに何の用なの?」
ニード
「よ……よう、リッカ。
 なーに、ちょっとこいつに村のルールを教えてやってただけさ。」



捨て台詞を残して、ニードたちは去っていった。



リッカ
「ところで、みつば。出歩くなんて、もうケガのほうはすっかりいいみたいね。
 ……ここであなたを見つけたときはビックリしたわ。
 あの大地震に巻き込まれて滝から落ちたんだろうけど、ホントにあぶないところだったのよ。」



どうやら、大怪我をしていたみつばを、リッカが助けてくれたらしい。
ケガもなおったようなので、ひとまず、村で情報を集めてみよう。



男の子
「ねえ、みつばって変わった服を着てるよね。
 ホントに旅芸人さんなの? みんなそう言ってるよ。」



そりゃ、下着でうろうろしてりゃな……。
旅芸人とは名ばかりで、実質ニートだし……。

そして、衝撃の事実が判明。大地震で峠の道がふさがってしまい、
リッカの宿屋にお客さんが来なくなってしまったようだ。
ようこそ、ニートの世界へ!

その後、村長の家に行くと、ニードが親である村長に叱られていた。
働けと言う村長に対し、ニードは
本当にやりたいことが見つかったら働く……多分
などとぬかしていた。
こいつは本物のニートだ……。

余談だが、ニートの常套句「明日からがんばる」は、実はまだ序の口。
上級者になると、「明日から」などという甘いことは言わない。
「来週からがんばる」「来月からがんばる」とランクアップしていき、
果ては「来年からがんばる」というニートまでいるのだ。
ニートの世界、奥深し……。

さて、ニートの家を出たところ、いつの間にか夕方になっていた。
それでも、やはり村の入り口をふさいでいる男がいて、外に出ることはできない。
仕方がないので、お世話になっているリッカの家に帰ることにする。



リッカ
「おかえりなさい、みつば。
 ちょうど、ご飯の支度が終わったところよ。
 散歩もいっぱいしたみたいだし、今日はもうご飯食べて休んじゃう?」
みつば
「いいえ」
リッカ
「まだ村の中を見て回るの?
 でも、お料理冷めちゃうからできるだけ早く戻ってね。」



そういうと、リッカは再びかまどの方を向いた。
あくまで、こちらの都合に合わせてくれるのか……。
あまり待たせるのも悪いので、結局、すぐに食べることに。



リッカ
「それじゃ、ご飯にしよう!
 さあ、お皿を並べるの手伝って、みつば。
 食べたらすぐに休むのよ。」



食べたてすぐ寝ると太るんだが……。
こいつ、太らす気か!?




むしろ、太目の少女が好みなのかっ!!?



そして、夜が明けた!
みつばが寝ていた2階の部屋にやってくるリッカ。



リッカ
「おはよう、みつば。
 さあ、起きて起きて! あなたにお客さんが来てるの。
 どういうわけか、ニードがみつばに用があるって訪ねてきてるのよ。
 追い返すわけにもいかないし、とりあえず会ってあげて。」



そして、みつばは階段を降りて1階へ。
家の入り口を塞いでいるニートは無視して、リッカに話しかける。



リッカ
「もしニードに何か嫌なこと言われたら、ちゃんと言い返すのよ。
 場合によっては、チョップ3発までは許すわ。」



同じニート同士なのに、すごい待遇の差だ。



ていうか、リッカ、みつばのこと好きすぎるだろ……。

ニートの話は面倒そうだが、入り口を塞がれてはどうにもならない。
ニートに誘われるまま、彼の話を聞くために、みつばは物陰へと向かう。


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