ユキたちはロザリーヒルでさらに情報を集める。
スライム「ぷるぷる。ぼく、聞いちゃったんだ。
ピサロ様、ロザリーちゃんのお墓にひとりでこう言ってたんだ。
二人で暮らす約束は生まれ変わって必ず果たすって。
ピサロ様、死ぬ気なのかなあ……。」
ロザリー「いけない。本当に急がなくては……。」
確かに、事態は急を要するようだ。
……ていうか、お前らラブラブかよ!
さて、ロザリーヒルの村を出ると、ドランが何事かしゃべり始めた。
ロザリー「なんですって? まあ……。」
エルフのロザリーには、ドランの言葉がわかるようだ。
ドラン「グゴ…グゴゴゴン、グゴン!」
ロザリー「ええ、わかりました。」
ドランは大急ぎでどこかへ行ってしまった……。
ロザリー「ドランさんは世界樹の花のことを天空の人々に伝えにいかれたそうです。
それが天空のしきたりなのでしょうか……。」
……いや、単なるご都合主義だと思う。
ロザリー「さあ、わたし達も急ぎましょう。」
一行はひとまず移民の町に立ち寄り、ライアンに破壊の鉄球を買ってやる。
あとはデスピサロの元へ急ぐのみだ。
ライアン「早まってデスピサロを倒しに行かず、よかったのかもしれませんな。
このライアン、これから何が起こるか久々に楽しみですぞ。」
クリフト「愛ですよ愛。愛っていいなあ……。」
めいめいが思い思いのセリフをつぶやきつつ、気球でゴットサイドへ飛び、天空の塔を登る。
ほどなく洞窟を抜けた一行は魔界へと辿り着いた。
そして、すぐさまデスキャッスルへと向かう。
ロザリー「感じます。ピサロ様が次第に近づいているのを……。」
一行は次々に現れる敵をものともせず、ひたすら進む。
ロザリー「間違いありません! ピサロ様はこの先にいます!」
ユキたちはデスキャッスルを抜け、ついにデスピサロの待つ火山へと辿り着いた。
ライアン「さて……いよいよですな。」
ロザリー「ピサロ様……。」
デスピサロはすでに進化の秘法を使い、怪物に姿を変えていた。
ユキとライアンは、意を決してデスピサロに話しかけてみる。
デスピサロ「ぐはあぁぁぁっ……!
何者だ、お前たちは……?
わたしの名はデスピサロ。
魔族の王として目覚めたばかりだ。
うぐおぉぉぉ……!
わたしには何もわからぬ……。
何も思い出せぬ……。
しかし、何をやるべきか、それだけはわかっている。
ぐはあぁぁぁっ!!
お前たち人間どもを根絶やしにしてくれるわっ!!」
……やはり、倒さねばならないのか!?
ロザリー「ピサロ様! お待ちください!」
突然、ロザリーがデスピサロの前に飛び出した!
デスピサロ「ぐ…ぐはあぁぁぁっ……!
だ…だれだ……。
我が名を呼ぶその声は……。」
ロザリー「……わたしです。ロザリーです。
わかりませんか……。
あなたが授けてくれたこの名前さえも……。」
ロザリーの瞳からルビーの涙がこぼれ落ちた……。
ロザリー「……思い出してくださいピサロ様。
わたし達が出会ったあの日のことを……。」
デスピサロ「ぐ…ぐわあぁぁっ……!」
……回想シーンが始まった。
ルビーの涙をねらう人間に追われていたロザリー(注:初対面)を助けたピサロが、
名前のなかった彼女に強引にロザリーという名前をつけていた。
そして、ピサロはロザリーに自分の名を告げ、去っていった。
ロザリーはピサロの去った先を見つめながらつぶやいた。
ロザリー「ピサロ……様……。」
いきなり「様」付けかよ!
……回想はそこで終わる。
デスピサロ「…ロ……ザ……
……ロ…ロザリー……。」
ルビーの涙がデスピサロの進化の秘法を打ち消していく!
……デスピサロの巨大な体が消え、1人の男が現れた。
ピサロ「…………!」
ロザリー「ピサロ様!!」
ピサロ「ロザリー……。
ロザリーなのか?
ならば、ここは死の国なのか……?」
ロザリー「いえ。ユキさんたちが世界樹の花でわたしに再び生命を与えて下さったのです。
そして、信じ難いのですが…わたしをさらったのは魔族に操られた人々かと……。」
ピサロ「世界樹の花……。
魔族に操られた……?
……人間たちよ。
面白くはないが、おまえ達に礼を言わねばならんようだな。
お前達はロザリーとこのわたしの命の恩人だ。素直に感謝しよう。」
……態度でかいね、アンタ。
ピサロ「人間こそ真の敵と長年思い込んでいたが……
わたしは間違っていたのか?
……この心が定まるまで、わたしは村に戻り、
ロザリーと暮らすことにしよう。」
……何だと!?
ピサロ「しかし……一つだけやることが残っている。
あいにくかもしれんが、わたしも行く道は同じだ。
しばし同行だな。」
こうして、ピサロが仲間に加わった!