願いの魔法








前々回の冒険では、不可抗力的にミゴリが復活し、パーティーが全滅してしまいました。
各自に与えられる経験点は、各自が使命を達成できたか否かで決定され、
必ずしも敵を倒す必要はありません。特に、ミゴリの降臨は不可抗力に近いものがあり、
これを使命達成に必須とするのはあまりに酷です。もっとも、
モンスター・レベル20のミゴリが使命達成のための最大の障害ということになります。
達成すべき使命は、最低でもマシェンスを倒した上で、なおかつ、
自らが生存すること、又は、自らの手で誰かを生存させることが使命となります。
ただし、カトレアのみ、自らの生死に関係なく、
マシェンスを破滅させることが使命となります。
さて、マシェンスは死亡してアンデッド化しましたが、ミゴリによる蘇生の途は残るので、
カトレアの使命は完全達成とはいえません。
そして、生存したレイディアと、レイディアを生存させたマリアのみ使命は完全達成。
他は不完全達成となり、経験点は半分となります。
結局、レイディアとマリアは10000点の経験点を得、
それ以外の全員は5000点の経験点を得ます。
もっとも、魂の破滅するマリアには、経験点の使い道はありませんが……。






G   M:マリアは、自らの精神力1点と、
      レイディアが距離拡大のディスペル・マジックのために取っておいた
      最後の4点の精神力を使って、コール・ゴッドを唱えます。
      1ゾロならば神が降臨しないので魂は砕けませんが、
      精神力は消費するので、結局振りなおしはできません。
      (ころころ)出目は8。コール・ゴッドは成功です。
      マリアの上半身にヴェーナーが降臨します。持続時間は、
      10分か、マリアの魂が身体から解放されるかの、どちらか短い方です。






まず、ヴェーナーは神の力で、マリアの身体を再生させます。
これにより、コール・ゴッドの効力が消えるか、
マリアの体が再び破壊されるまで、マリアの魂は身体から離れません。

対するミゴリは、神の知覚により、ヴェーナーの降臨を察知。
ミゴリはヴェーナーのコール・ゴッドが不完全であることは把握しているため、
時間切れを狙い、ヴェーナー降臨の一瞬後に、異世界へのゲートを開いて逃げ込みます。

ミゴリが逃げている間に、ヴェーナーはリマンドを唱え、
気絶しているレイディアと、他全員の死体を召喚。
ヴェーナーは、神の力で、全員からマリアに関する記憶を奪おうと試みます。
生きているレイディアだけは6ゾロのみで抵抗できますが(ころころ)失敗。
全員、マリアに関する記憶の全てを失います。
ヴェーナーはレイディア以外の肉体を完全に再生します。
そして、問題の振りなおしの利かないリザレクションは(ころころ)×5。全員成功。
最後にレイディアの肉体を癒し、全員の傷が完全に癒されます。
ヴェーナーはゲートを開き、レイディアの意識が戻る前に、
全員をミゴリの入り込めない異世界へ送り込みます。
これで、マリアの望みは全て叶えられました。

続いて、ヴェーナーはミゴリが逃げた異世界へのゲートを開き、
ミゴリを元の世界へと引きずり出します。
が、ヴェーナーはここまでにかなりの時間を消費しています。

対するミゴリは、これ以上逃げようとしている間に肉体を消滅させられるリスクを考え、
逃げることを諦めました。



ヴェーナーとミゴリは、戦場となった森の上空に、10メートルの距離で対峙します。
二柱の神の知力は互角。相手の行動が読めないミゴリは、
ヴェーナーが敏捷度0でディスペル・マジックを唱えることを恐れ、下手に動けません。
ミゴリの行動後、あるいは敏捷度0に落としても即応性を確保できないミゴリと同時に
ヴェーナーが敏捷度0でディスペル・マジックを唱えると、
ミゴリは行動後なのにインスタント・キャンセレーションを唱えるほかなく、
次のラウンドのディスペル・マジックをどうやっても防げなくなるからです。
そして、ミゴリにとって有用な魔法であるルーン・アイソレーションを唱えようとしても、
ヴェーナーのインスタント・キャンセレーションで即座に打ち消されてしまいます。
また、ミゴリが先にディスペル・マジックを唱えようにも、
達成値を上昇して唱えるだけでかなりの精神力を消耗することになり、
そればかりかインスタント・キャンセレーションの的になるため、
1回のミスが命取りになります。

結局、時間切れ狙いで様子を見るのがミゴリの主戦術になります。
最初に動いたのはヴェーナーでした。敏捷度ゼロで、達成値+8のギアスを唱えます。
達成値は(ころころ)36。対するミゴリは、
もちろんインスタント・キャンセレーション達成値+8(ころころ)32。
抵抗に失敗したミゴリに、禁止命令が与えられます。
与えられた命令は『魔法を使うな』。ミゴリの魔法が封じられました。

次のラウンド。ヴェーナーの自滅を諦めたミゴリは、
ディスペル・マジックを唱えられる隙ができるのを覚悟の上で、勝負に出ます。
ミゴリは、3メートル前進。
そして、自らの存在の力と引き換えに、ギアスによる制約を一時無効化します。
ミゴリが唱えたのはディスペル・マジック達成値+8。達成値は(ころころ)38。
ヴェーナーは敏捷度0でライトニング・バインドを唱えようとしていましたが、
もちろんキャンセル。ヴェーナーはインスタント・キャンセレーション+8で応戦します。
(ころころ)37。ディスペル・マジックは打ち消されず、
そして、この魔法には抵抗できません。
コール・ゴッドの達成値も20しかなかったため、
マリアの唱えたコール・ゴッドは解除されます。
ヴェーナーは再び肉体を失い、マリアの魂は砕け散りました。
同時に、後述の理由によりルーン・アイソレーションが発動し、
ミゴリは3分の間、この結界から出られなくなります。



さて、ミゴリの生命力は、イブリバウゼンとの戦いで2点減少し、残り98点でした。
精神力は、イブリバウゼンとの戦いが終わった時点で、残り100点。
そこからテレポートで3点、距離2倍のメテオ・ストライクで8点消費し、
ヴェーナー降臨前は89点の精神点を持っていました。
そして、ヴェーナーとの戦いでは、インスタント・キャンセレーションに18点、
ディスペルに9点の精神力を消費しています。これで残り62点。
実は、ミゴリはさらに、ヴェーナーに異世界から引きずり出されることを見越して、
その世界でトリガーと併用して、達成値+8で距離を半径9メートルに縮小した
ルーン・アイソレーションを唱えていました。これに消費した精神力は54点。
ということは、ミゴリの精神点は残り8点しかありません。

さて、このトリガー+ルーン・アイソレーションには、
ヴェーナーを一撃で倒す計算が込められていました。
ミゴリが定めたトリガーの基準は、ディスペル・マジックの詠唱。
つまり、ヴェーナー(又はミゴリ)がディスペル・マジックを唱えた時点で、
トリガーが発動し、範囲を半径9メートルに縮小したルーン・アイソレーションの力で
空間が魔法的に分断されます。このルーン・アイソレーションを打ち破らなければ、
効果範囲外から唱えられたヴェーナーのディスペル・マジックは効果を発揮しません。
その上、ミゴリはディスペル・マジックの発動を、
インスタント・キャンセレーションで打ち消そうと試みることができます。
さらに、次のラウンド、ルーン・アイソレーションのぎりぎり外側にいたヴェーナーを、
打ち消し不能のかみのいかずちで攻撃し、衝撃で境界をまたがせます。
仮にマリアのコール・ゴッドが出目11であっても、達成値は23。
(そもそも、なぜ残り精神力1のマリアがコール・ゴッドを使えたのか
ミゴリにはわかりませんが、)仮に達成値を+5していたところで、達成値は28。
ミゴリの魔力は20+達成値の上昇8+出目なので、
ほぼ確実にコール・ゴッドを解除できます。
一方、ヴェーナーは、ミゴリが異世界でトリガー付きの魔法を唱えてきていることなど、
全く想定していませんでした。
ただ、(いくら打ち消しのリスクがあるとはいえ、)ミゴリが最強の盾となる
ルーン・アイソレーションを唱えるそぶりが全くなかったことと、
確率やコスト・パフォーマンス的にそう不利でない筈のディスペル・マジックを
唱えてこなかったことを不審に思い、様子を見ながらミゴリの力を徐々に殺ぐ作戦に
変更しました。そして、ヴェーナーの意図としては、
ギアス→ライトニング・バインド→ディスペルの順で唱えてみる予定でしたが、
ミゴリは最初のギアスの時点で、ヴェーナーがミゴリのたくらみを読んでいた可能性に
気付いて計画を放棄し、ディスペル・マジックによる力押しに切り替えました。

結果、ミゴリの勝利。ただ、残り生命点は98点、精神点はわずか8点。
魔法使用も禁じられています。さらに、自ら存在の力を減じたことにより、
モンスター・レベルが1点減点され、ほぼ全ての数値が1ずつ低下しました。
それらの犠牲を払いはしましたが、ミゴリは互角以上の力を持つ相手に勝利しました。
いくつかの能力が封じられたとはいえ、神の力は精神力を消費しないで使える上、
その気になればメテオ・ストライクかデス・クラウドを1発使えるので充分強いんですが。





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