苦労の断章








各自に与えられる経験点は、各自が使命を達成できたか否かで決定され、
必ずしも敵を倒す必要はありません。特に、ミゴリの降臨は不可抗力に近いものがあり、
これを使命達成に必須とするのはあまりに酷です。
もっとも、降臨時に近くにいたにもかかわらず生き残った人員に関しては、
モンスター・レベル20のミゴリが使命達成のための最大の障害ということになります。

さて、ミゴリの降臨により、各自の使命は当初予定されていたそれとは
大幅に異なることになりました。そこで、前回のシナリオで、
各自の今後にとって有用な行動をとれたか否かを基準に、
使命を設定しなおし、経験点の基準とします。

ロベール及び車輪騎士団に関しては、邪神の復活をしかるべき先
(最終的にはオラン国王)に報告するため、
死なずに戦場から離脱するのがひとまずの使命となります。
ミゴリあるいはイブリバウゼンのメテオ・ストライクを受ければ一撃で
全滅していましたから、非常に困難な使命であったといえます。
そして、ミゴリのモンスターレベルは20。
したがって、生き残った全員が10025点の経験点を得ます。
これにより、ロベールはセージ技能を9レベルに伸ばし、
また、レンジャー技能1レベルを修得しました。
そして、一般技能のジェネラル技能が9レベルに上昇します。
生き残った民兵は、全員がファイター4レベルとレンジャー2レベルを取得。
騎士は、全員がファイター5レベルから6レベルに上昇します。

オドソフは、前回のシナリオでは特に誰とも戦っていませんが、
車輪騎士団がマシェンスと接触するより先に、
レイディアたちを現地に到着させることに重要な役割を果たしました。
そして、マシェンスは10レベル。したがって、5000点の経験点を得ます。
オドソフは、ファイターを6レベルに上昇させます。

ジャクロスは、特に冒険していないので、
経験点は初期経験点+地道な努力で得た3000点にとどまります。
これにより、セージを3レベルに上昇させました。
なお、一般技能のマーチャント技能が、3レベルから5レベルに上昇しています。

エタニカについては、年齢が1つ上昇。あとは、成り行き次第です。






G   M:ミゴリの降臨直後。賢者の国オラン、とある商会の支店の最上階の部屋にて。

ルーシュン:いやはや、参りましたな。てっきり偶然の一致かと思っておりまして。

フィーエル:いや、言ってなかったアタシが悪いのさ。息子が世話になったねぇ。

ルーシュン:はっはっはっ。これもチャ・ザのお導きですかな。

フィーエル:そういうことになるかねぇ。不肖の息子だけどさ。

ルーシュン:いえいえ、お美しい方でしたよ。

フィーエル:雑談はそのくらいにして……これでどう?

ルーシュン:ほうほう……。

G   M:マーチャント技能の商談の結果次第で、交渉がまとまることになります。
      フィーエルの達成値は(ころころ)23。
      ルーシュンの達成値は(ころころ)13。
      相場が全部合わせて100万ガメルですので、
      30万ガメル引きの、70万ガメルの提示になります。

ルーシュン:……うっ……これはさすがに……。

フィーエル:うちに来たってことは、アタシと交渉しても利益出るってことじゃない?
      あんたのことだ。1個1000ちょっとで仕入れたんだろ?

ルーシュン:た、確かに元が元ですけど、輸送のコストが……。

フィーエル:そっちは、ベルローズで捌いた分で元は取れてないかい?

ルーシュン:情報が早いですな……参りましたなぁ。せめて、1万まかりません?

フィーエル:まかりません。お互い大もうけで、いいじゃないかい。

ルーシュン:うう……仕方ないですね……普段儲けさせてもらってますし……。

G   M:そのとき、女商人が左手にしていた指輪の白い宝石が、突如砕け散ります。

フィーエル:……うおっ!?

ルーシュン:だ、大丈夫ですかっ!!?

G   M:指輪が砕けただけで、他には何もありません。
      ですが、異常を聞きつけ、双方の部下が集まってきます。

隊商幹部A:な、何事ですか!?

隊商幹部B:ボス、お怪我は?

ルーシュン:わ、わたくしは大丈夫です。

ジャクロス:会長、その指輪は……ま、まさか……シェルマ様が?

フィーエル:……あー、そうみたい。

ジャクロス:お騒がせして申し訳ありませんでした。後日、改めてお詫びに伺います。

ルーシュン:それには及びません。もしや、感知系の指輪ですかな?

ジャクロス:申し訳ありません。お話の続きはまた後ほど……。

フィーエル:……。

ルーシュン:ほ、本当に大丈夫ですか?

フィーエル:たいしたことないって。馬鹿息子が死んだだけだから。






G   M:ルーシュンの援助の申し出を丁重に辞退し、ジャクロスと会長は相談します。

ジャクロス:シェルマ様ですか……。カール様にご連絡しますか?

フィーエル:いいよ。アザーンから呼び戻すわけにもいかんし。

ジャクロス:しかし、近場に適切な人材が……。

フィーエル:この件はあんたに任せる。オーファン詳しいだろ?

ジャクロス:えええっ!!?

フィーエル:ここ数日であれだけ仕入れたのに、アタシ無しで捌けるかい?

ジャクロス:い、いえ……しかし、私などにこのような重責を……。

G   M:会長は、懐から2つの袋を取り出します。
      外見と重さから判断するに、中には多数の宝石が入っているようです。

ジャクロス:これは……。

フィーエル:それで60にはなるから、賢者の学院からファンに飛んで、
      遺品を持ってくること。それと平行して、
      ファンのステュワード導師にお願いして、現在位置を探知してもらうように。
      彼へのお土産は学院で例の物を。
      ファンにはイェーガーの別荘があるから、うちの名前を出して、
      導師のトールフォードか、いたらだけどサンブーカに場所を聞くように。
      ファンの支店にある通話の護符はしばらく持ってなさい。
      追加で、両支店の金を各50まで使える権限を与える。
      50の使途は詳細に報告するように。

ジャクロス:ご、合計160……ですか……。

フィーエル:アンタにはそれだけの信用がある。
      後で補填するのはアタシだから、使いすぎるなよ?

ジャクロス:かしこまりました。行ってまいります!

G   M:ジャクロスは、走って部屋を出ていきました。

フィーエル:…………ちっ……あの馬鹿息子が……。






G   M:ミゴリ降臨から1時間後、とある細い街道。
      戦場から逃げおおせた車輪騎士団は、歩く馬に乗って逃走中。
      もちろん最初は走っていましたが、馬は全力疾走で疲れてしまっています。
      なお、徒歩の民兵には既に解散命令が出され、
      思い思いの方向に逃げ出しています。
      さて、さすがに疲れたのか、ほとんどの馬の足がほぼ同時に止まります。

ロベール :? ……停止命令は出していないぞ。せめて歩かせろ。

騎士A−1:そんなこと言われても……。

G   M:騎士の1人が自分の馬の足を見たところ、石になっています。足だけ。

騎士C−1:うあああっ!

騎士D−1:馬を降りろ!

ロベール :ひ、ひいいいっ!!

G   M:周囲に敵の気配はありません。
      1時間経ったので、ミゴリが予め唱えていた
      ディレイティブ・ストーンカースが発動しました。
      10キロ以上離れているので、魔力は5分の1=4です。
      19頭の馬が、足から順にゆっくりと石化していきます。
      石化を免れた馬が(ころころ)2体。うち1体はロベールの白馬です。

騎士B−1:ど、どうなっているんだっ!?

ロベール :落ち着け! 落ち着くんだ!

G   M:続いて、馬から降りた騎士たちの中にも石化する者が出始めます。
      (ころころ)気付けば、5人の足が石になっています。
      各隊の隊長で石になったのはA−1だけですね。

騎士A−1:俺の足がーっ!!

騎士B−1:あ、足を切り落とせば……。

騎士A−1:そのようなことができるか!!

G   M:当のロベールの抵抗は(ころころ)ミゴリの達成値が1ゾロ。
      1人だけ、何の異常もありません。
      他の全員は、なんらかの攻撃を受けている自覚があります。

騎士E−1:ロベール様、これは一体!?

G   M:目標値の20に達する可能性があるのは、ロベールだけですね。
      セージ技能で判定を。

ロベール :(ころころ)20だ。

G   M:ロベールにはわかります。
      おそらく、ミゴリが戦場で遅発性の魔法を使っていたのだと思われます。
      あるいは、特殊な遠隔攻撃魔法か。1人だけ影響がないことから、
      おそらく前者ではなかろうかという推測はできます。
      もし後者であれば、もう一度使ってきてもおかしくないですからね。
      馬が石化する様をみたところ、窒息する前に石化しきるので、
      即死はしないでしょう。そして、石化は高位の神聖魔法で癒せます。

ロベール :落ち着け! ただの石化だ。後で治せる。

G   M:結局、仲間に遺言を伝えたりしつつも、5人の騎士が石になります。
      残ったのは騎士が15人と、馬が2頭。

ロベール :ひとまず、石像は道端に寄せておけ。丁重にな。
      私は国王陛下に謁見して、援軍と石化の解除を請う。お前、ついてこい。

E−1  :はい!

G   M:ロベールと隊長の1人は、馬に乗って、王都オランへと急ぎます。
      さて、E−1の乗った馬はそろそろ体力の限界ですが、
      ロベールの馬はかなり体力のある馬です。
      途中で別れれば、あと1時間程でオランに着けるでしょう。

ロベール :陛下への報告が先決だ。後は任せろ。

E−1  :は、はい……。

G   M:結局、ロベールは単身王都オランに向かいました。





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