真昼に驚く犯罪者








G   M:一方、カトレアたち。こちらはまだ1日目の朝です。場所は、全滅した町。
      カトレアに、ディビネーションによる啓示が下されます。
      「4日後まで、レイディアたちは来ない。」という趣旨のようです。

カトレア :ははは。ありがたい情報ですねー。

G   M:誰に伝えますか?

カトレア :伝えて問題ない情報だから、全員に伝えますよ。

マリア  :今日を入れて、4日でカタをつけよということか。

カトレア :そうなりますねー。

フアナ  :……神だって……絶対じゃない……。

カトレア :ははは。今にわかりますって。

G   M:さて、これからどうしますか?

フアナ  :……昨日食べた物の残骸とか……広場に捨てとく……。

G   M:ゴースト達も、特に抗議はしません。

カトレア :同志たちにプリザーベイションを。(ころころ)×4。成功です。

G   M:抵抗しません(できません)。ゴーストたちはこれ以上腐敗しなくなります。

カトレア :これで、行動しやすくなりましたねー。

フアナ  :……カウンター・センス……(ころころ)成功。

マリア  :我は唱えずともよいな。

G   M:ゴースト達も準備は整っています。どうしますか?

カトレア :地道に、集団の足跡を追うしかありませんね。

マリア  :なんとも骨の折れる作業であるのう。

フアナ  :……雨が降る前に、追いつかないと……。

G   M:では、捜索を。足跡追跡の技能を持つのはカトレアのみです。
      成功する度にある程度の距離を追跡できます。
      近付くたびに新しい足跡になりますが、最初は数日経過した足跡なので、
      目標値はかなり厳しいです。有利な材料は、相手が大人数なので、
      速度で負けないこと。そして、不利な材料は、
      散らばられるとどれを追跡すべきかわからなくなることです。
      モンスターデータのゴーストとマリアに6ゾロ成功はありませんから、
      成功はかなり厳しいです。
      (ころころ)失敗です。追跡していた足跡を見失いました。
      しばらく道なりに進んでみて、新しい足跡を発見すれば再挑戦可能です。
      しかし、その足跡が賊のものであるという保証はありません。

カトレア :んー。なんとかして追跡能力を高めないといけませんねー。

マリア  :しばらくは適当に進むしかないのう。

フアナ  :……残念……。

カトレア :これでは、あまり大胆に進むこともできませんね。いやー、参りました。

G   M:その日は手がかりを見つけらず、野営となります。
      結局、1日目はあまり進めませんでした。そして、2日目。






G   M:結局、時間をかけて同じことを繰り返すしかありません。

カトレア :んー。参ったなー。

G   M:昼頃。道を歩いていると、レイディアたちと別れたウルサンの街の方向から、
      男が駆け寄ってきます。ちなみに、けっこうな美形。
      街の惨状を見たのか、かなり慌てた様子ですね。

男    :す、すみませーん! あ、あれ、一体どうなってるんですかっ!?

カトレア :おやおや、どうされました?

マリア  :気持ちはわかるが、慌てるでない。

G   M:ゴースト達は、事前の指示通り、フードを目深に被って顔を隠します。

男    :ひ、久しぶりに行ってみたら、まっ、街が……!

カトレア :僕らもびっくりしちゃいましたよ。いやー、参ったなー。

男    :い、いや、あ、あれって……だっ、誰の仕業ですか!?

フアナ  :……ダークエルフは……見てない……。

G   M:センス・ライは探知系魔法なので、
      フアナのカウンター・センスが発動します。
      かけられた探知魔法は、嘘を発見するセンス・ライ。術者は目の前の男。
      探知魔法がかけられたことにより、カウンター・センスは効果消滅。
      センス・ライの効果は1ラウンド後に消滅。
      消滅までは効果が持続しますので、
      フアナによるカウンター・センスの使用と、
      「ダークエルフは見ていない」という発言内容が嘘であることは
      男に対して露見します。

フアナ  :こいつが犯人っ!!

ゴースト達:うおおおおおおっ!!!

男    :!!?

カトレア :へぇ。なんでわかったんです?

フアナ  :……一味が戻って、話しかけてくる理由……他にないから……。

G   M:男も迷います。ボスの息子の失踪に関与しているとわかれば、
      おいそれとテレポートで逃げるわけにもいきません。
      テレポート単独では、一度離れた移動中の相手を追跡できませんから。

フアナ  :……戻ってくる率は高くなかったけど……罠は、しかけておいた……。

マリア  :……そうか……広場に捨てた食べかすか……。

フアナ  :……まともな神経してる奴は……あそこで食事なんかしない……。

カトレア :まずは情報をもらわないといけませんねー。ま、無いよりはマシでしょう。

フアナ  :……最低5レベルの、ソーサラー……ただのパシリじゃない……。

カトレア :……へぇ。ゴーストの皆さん、首領の情報を引き出すまで我慢してください。

フアナ  :……重要な手がかりだから、殺さないで……。

G   M:ゴーストにも知能はありますので、ひとまず承知します。
      この4体は、この男に殺されたわけではありませんし。
      ゴーストたちは、フードを取り、顔を見せます。

男    :なっ、なぜゴーストと一緒に!?

G   M:さんざんひどいことをやっていますので、
      ゴーストは当然見たことがあります。
      ミゴリの存在はあまり知られてないので、ゴーストを従えている
      (実際には、支配力は及びませんが)理由はわかりませんが。
      では、ここから戦闘ラウンドに入ります。
      カトレアたちの外見は、宗派不明の神官衣の男に、エルフに子供と不審な従者4人。
      神官と精霊使いと子供だと思って、逆探知には無警戒でした。
      まさかエルフがソーサラーだとは思いませんし。
      それと同時に、ソーサラーが精霊魔法にも習熟しているケースは
      きわめてまれであることも悟ります。
      情報は欲しいものの、手加減はしません。
      殺してしまっても、死体ごと持ち帰ればリザレクション+クエストが使えますから。
      さて、知力ではフアナとカトレアに敵いませんので、行動宣言は男が先です。
      情報収集のために話しかけたので、ヘイストすら唱えていません。
      ひとまず、テレポートで距離を取ろうとします。
      それでは、行動宣言をどうぞ。

マリア  :あの詠唱はテレポートか。これはまずいのう……。

フアナ  :……パラライズ、達成値+4……。

マリア  :我もパラライズじゃ。達成値は+2が限度であるがのう。

カトレア :クエスト『再び我らにまみえよ』。達成値+2で。

G   M:では、敏捷度順に解決します。3人とも敵より先ですが。

フアナ  :……パラライズ……(ころころ)18+4で、22……。

G   M:10レベルですけど、抵抗力が12しかないんですよね。
      (ころころ)21。麻痺して、フアナが集中する限り動けません。
      ずっと自分より弱いのばっかり殺してて、
      カンタマ護符すら持ってなかったのが命取りでした。

マリア  :詠唱キャンセルじゃ。

カトレア :僕もです。

マリア  :本を開いてページを向けるとするかのう。我は見とうない。

G   M:本の白いページに文字が浮き出し、それを見た男は顔色を変えます。
      男の名はソリッシュ。与えられた使命は、ピニーズの探索。
      技能は、ソーサラー8、シーフ10、レンジャー5、セージ8。
      数年前から、野盗団の一員として、無防備な町や村を荒し回っています。
      ボスの側近として、数々の犯行で主導的な役割を果たしてきました。
      動機は金ではなく、ボスに気に入られるため。
      直接殺した人数は、本人の認識だけで3桁。
      カトレアのいた村にはたまたま行っていませんでした
      (襲う対象により、参加人数を調整する傾向にあります)が、
      他所でもっとひどいことを繰り返しています。

カトレア :あのダークエルフを逃がしたのは、失敗でしたねー。

フアナ  :……同感。

マリア  :じゃが、あの時点では、ああ判断するしかなかったであろう?

G   M:次に、ソリッシュが知られたくないボスに関わる情報について。
      ソリッシュは、ピニーズを連れ戻す役目として、ボスに選ばれた。
      一番の理由は、魔法で長距離移動のできる唯一の人材であること。
      ソリッシュは、全滅した街の少し外にテレポートし、様子を伺いながら中へ。
      ピニーズが閉じ込められた食料庫の扉が開いており、
      中にピニーズの姿はなし。
      追跡のため、ロケーションでかつてピニーズに与えた指輪を探知。
      ロケーションの効力で指輪を追跡するも、
      町外れで捨てられたピニーズの指輪や服を発見。服に外傷や血痕はなし。
      街を捜索するも、ピニーズの死体は見つからず。
      靴すら置き去りにされていることから、生きたまま連れ去られた
      可能性があると判断。しかし、子供を連れ去る際に
      有用であると思われる馬車等の車輪が最近通った跡は発見できず。
      捜索の途中、ごく最近(確実に村が全滅した後)の生活痕を発見。
      ごみの量及び村から出たと思われる最近の足跡から、
      村で一時的に生活した人数は十人以内と断定。
      また、新しい馬の足跡がないことから、騎士はひとまず無関係と断定。
      街から出た足跡は、東に向かうものと、南に向かうものがあった。
      特に、東への足跡はごく最近のものであり、まだ近くにいると思われる。
      通話の護符で全てをボスに連絡。
      ボスは、本隊は既にそこから追いつけるような位置でなく、安全だと判断。
      ソリッシュの安全を最優先し、可能ならばピニーズの行方を探るよう指示。
      ソリッシュは、ボスとの個人的関係から、
      出来る限り後者の目的を遂げようと画策。
      すぐさま街を出て、東方面に進んだ足跡を追う。
      ソリッシュは、前方に、エルフと子供を連れた男を発見。
      怪しいローブの人影も4人、男に従って歩いている。
      ピニーズとは背格好が違い、また、自発的に歩いていることから、
      この中にピニーズはいないと断定。
      そして、エルフが発見したダークエルフをその場で殺さない理由に
      思い至らず、ピニーズの行方には直接関与していないと判断。
      集団の位置と進行方向から察するに、街の異変に気付いているのは
      間違いない。しかし、本隊は遥か遠くにいることから、始末の必要はない。
      しかしながら、ピニーズ探索の手がかりになることも否定できないことから、
      一旦下がり、センス・ライを唱える。そして、相手の嘘を見破りながら
      一方的に情報を引き出そうと、再び接近して、声をかけた。
      冒険者だとしても、子供連れで強い筈などないと思っていたから。

フアナ  :……だってさ。

マリア  :いちいち読み上げずともよい。

G   M:続きがあります。ボスのピニーズに対する思いについて。
      実は、ボスはピニーズを大事に思っている。
      それゆえに、クエストをかけて手伝いを強要する。
      一皮剥けさえすれば、血も涙もない犯罪者になると見込んでいるから。
      そのためには虐待も辞さない。それがピニーズのためなのだから。

カトレア :あのダークエルフ、思ったより重要人物だったみたいですねー。

マリア  :それを放置するとは、うかつよのう。

フアナ  :……死んでも、神信者なら、復活させられるから……。

G   M:野盗団の幹部は残り3名。
      1人はボスのマシェンス。
      シャーマン9、ダークプリースト9、シーフ10、レンジャー10。
      1人は引き込み役の商人サイル。(普段は偽名)
      ダークプリースト8、シーフ10、レンジャー3、マーチャント3。
      1人は斥候のイングィー。
      シーフ8、レンジャー8、セージ3。
      幹部は連絡用に、ボスと直通の通話の護符をそれぞれ所持。
      残りの雑魚は30名程度。その多くが5レベルのシーフ。
      幹部以外は、『裏切ってはならない』とのギアスをかけられている。
      次の襲撃位置は、北東の村。ボスと本隊の現在位置は、その近く。
      ……ソリッシュから得られる情報は以上です。

フアナ  :……情報ゲット……。

カトレア :ゴースト達に、しばらく見ているように伝えましょう。

G   M:ゴースト達はカトレアを信頼しているので、指示に従います。

カトレア :では、ワードパクト(小剣)を。
      (ころころ)6ゾロですよ! ははははは。ミゴリがついてます!!

G   M:(ころころ)抵抗は6ゾロではありません。
      ソリッシュは小剣から守られ、小剣のダメージで気絶したり、
      死亡したりすることはなくなりました。

カトレア :まずは舌を切り取りましょう。これで、自ら死ぬことはできません。

G   M:出血しますが、死にません。以後、詳しい描写は控えます。

カトレア :麻痺したままの五体を、小剣でバラバラにしましょうか♪

G   M:出血はしますので、魔法の神官衣が血まみれになりますが。

カトレア :そんなのぜんぜん構いませんよ。

フアナ  :(パラライズの集中を解いて)……うわ、ぐろっ……。

カトレア :フアナさん、もういいですよー。

フアナ  :……こんなの見て……集中できるわけない……。

G   M:周囲は血の海。切り取られた腕や足がぴくぴくと動いています。

カトレア :皆さん、この剣でどんどん刺しちゃってください!
      動いてるでしょ? 生きてるんですよ、それ。
      痛みは感じますけど、永遠に死にません。
      剣以外で攻撃したらだめですよ。死んじゃいますからねー。
      順番ですよ、順番。

G   M:ゴーストたちは、嬉々として、地面に転がった頭などをどんどん刺します。
      お互いに仲間意識があるので、剣の奪い合いになるほどではありません。

マリア  :…………。

フアナ  :……ぐろいけど、ダークエルフの仲間だから……当然……。

マリア  :……(小声で)恨みとは、これほどのものであったのか……。

フアナ  :……これから、どうする?

マリア  :まず、ボスとやらをこらしめるべきではないか?

カトレア :ボスの位置がわかった以上は、そちらでしょうねー。

フアナ  :……そうだね。移動されたら、面倒だし。

G   M:先ほどの情報の中に、次の襲撃対象の村の位置もありました。
      徒歩でも、途中で1日野営すれば到着できる距離です。

フアナ  :……フライトは、色々ときつい……。

カトレア :そうですねー。普通に進みましょうか。

フアナ  :……あいつの懐にある、通話の護符だけど……。

カトレア :あ、うっかりしてましたねー。
      ま、こちらから異変を知らせることもないでしょう。

フアナ  :……放置プレイで……。

G   M:さて、ゴーストたちは飽きずに残骸を刺しまくっているわけですが。

カトレア :皆さん、ボスの居場所がわかりましたよ。

G   M:ゴースト達は次々に歓声を上げます。
      さて、残骸の処理はどうしますか?
      這い回るための指にも不足し、既にぴくぴく動くだけの存在です。
      放置すれば、いつか獣に食われて死ぬでしょうが。

残骸   :………………。

カトレア :仮にボスが復活させたところで、1週間は戦えませんね。

フアナ  :……放置プレイで……。

マリア  :……せめて、殺してやらぬか?

カトレア :却下です。

フアナ  :……すぐ復活されると……情報が伝わるかも……。

マリア  :…………わかった。

残骸   :………………。






かくして、カトレアたちは、ボスがいるであろう次の襲撃対象の村を目指します。
レイディアたちの到着まで、あと3日。





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